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『ヴィンスサーガ』卒業式と新サーガへのプロローグ(レッスルマニアXL総括)

40年の終着点を見届けるつもりが。。。『アヴェンジャーズ』の新作を先取りしたようなレッスルマニアだった。この40年の名場面に対する『IF』を盛り込み畳みかけてきたメイン戦のエンディングはまさにプロレス版『マルチバース』とも言えるが、やはりこれは開催地フィラデルフィアにかつて存在した伝説のECWが得意にしていた演出へのオマージュでもある。
レッスルマニアの2DAYS開催については賛否あると思うが、今回に限っては私は2日開催で良かったと思う。あくまで結果的にだが終わりと始まりを感じるに相応しい意義ある2日間だった。

まず今日だから改めて感じたDAY1について敢えて振り返っておきたい。
昨日の記事はなんとなく感傷的なものになったが今思えば当然だった。
DAY1は40年間レッスルマニアを。。。否『ヴィンスサーガ』を観てきた者にとってはヴィンス校長不在での卒業式のようなものだった。もはや公式の場ではまるでヴォルデモートの如く名前を語ることを禁じられた存在になった事がせめてそこにまだヴィンスが存在している証でもある。DAY1とはそんな我々にとっての『シンエヴァンゲリオン』だったのだ。

だからこそメインは夢のタッグ戦で無ければならなかった。レッスルマニア1はハルク・ホーガンが『ロッキーⅢ』の縁でアクション映画俳優のミスターTとタッグを組んでパイパー・オーンドーフという職人タイプのレスラーと対決したメインイベントから幕を開けた。その1年前にNWAが開催したPPV『スターケード』のメインがハーリー・レイスにリック・フレアーが挑戦した伝統的なプロレスマッチだった事を考えると如何に革新的なイベントだったかがわかる。これは良く言われる事だが週刊プロレス創刊号の表紙が初代タイガーマスクだった事に対して順序は後続だったにも関わらず週刊ゴングの表紙がBI(馬場・猪木)だった事にも似ている。やや脱線したが
DAY1夢のタッグメイン戦はWM1でのヴィンスの革新性へのUpdateでもあり『ヴィンスサーガ』としての最後の試合だったとも言える。

DAY2のオープニングでヴィンスの実娘ステファニー・マクマーンは改めて実の夫HHHを敢えて本名のポール・レベックと呼び新なるサーガの幕開けを強調した。夫婦に渡る連日の『NewEra(新時代)』宣言だったが、まさに彼女の最初の言葉『今日は暖かくなって良かったわね』がこの2日間を象徴していた。私は偶然こそ意図した演出で無いからこそ運命と受け止める。
やはりDAY1は『ヴィンスサーガ』をヴィンスが嫌いでも惜しむ春のなごり寒が実際に観客のノリにも影響していたと思う。そして卒業式を終えて晴れ晴れと新サーガのプロローグ(まだ第1章ではない)に向かいあった事がDAY2最初からの盛り上がりを創ったと言っても過言ではない気がする。

さて随分前置きが長くなったがDAY2の全体的な試合の総括である。
私はレッスルマニアXLを前に女子を含むWWEの4大世界王者はワンピースで言うところの『四皇』である!と宣言したが、良くも悪くもこの2日間通して4大王者に対してIC・US王座の格上げを感じざるを得ない。
新IC王者サミ・ゼインについては昨日自分でも若干気持ち悪くなるくらい語ったので今回は割愛するが、US王座をKO、ランディ・オートン相手に完璧な勝利で防衛したローガン・ポールが今大会の隠れMVPと言っても良いかもしれない存在感を示した。彼の活躍を見るにつけ飯伏と朝倉ミクルの。。。つまりは本来日本が得意にしていた何かをメジャーな舞台でなんか勝手に盗まれた感がある(苦笑)。彼こそが新サーガの主役候補の一人である事を認めざるを得ない。『四皇』時代は内藤哲也も含む『七武海』という戦国時代で活性化すべき時代なのかもしれない。結果的にオカダ・カヅチカのAEW移籍は正解だったと言えるかもしれない。

昨日も触れたがこの10年の主役『ザ・シールド』と『フォーフォースウーメン』は昨日以上に明暗が分かれた感がある。まさにプロレス版マルチバースだったセス・ローリンズの黒装姿で登場しローマン・レインズにイスで背後から叩かれたシーンはかつてセスが逆のパターンで『ザ・シールド』を裏切ったシーンの仕返し(まさに五条の借りを安宅で返すの現代版)だったが、そこにもう一人の盟友ディーン・アンブローズの不在を感じなかった。
それはジョン・モクスリー独自の活躍が目覚ましいからでもある。
一方で今回女子王座戦はサーシャ・バンクス(現メルセデス・モネ)の不在が明らかに影を落としていた感がある。リア・リプリー、イヨ・スカイ(紫雷イオ)は共にコンディションも良さそうだっただけに本当に気の毒だった。ブシロードが明らかにイオの為に準備したIWGP女子を無碍にされた仕返しを今回WWEが受けた印象だが。。。『ザ・シールド』10年の『物語』が今回完結した事を考えると『フォーフォースウーメン』というWWEにおける女子レスラー黄金期の『物語』を完結できなかった事でかつて対抗戦時代の後急速にしぼんだ日本の女子プロレス界の歴史を繰り返さない事を切に願う。。。

さて基本的に大満足だったレッスルマニアXLだが敢えて苦言を最後に一つだけ書いてこの記事を締めたい。『ヴィンスサーガ』はある意味独裁時代でもあった。それを風通し良くしたHHH=ポール・レベック体制を揶揄する気はないしそれは時代を反映した流れである。レスラーが幸せである事に越した事はない。但し!そこにはエンターテイメントに出しては無い甘さという穴が目立ちやすくなる隙が起きやすいのも事実だとDAY2のエンディングを観てやや不安になった。メインで勝利したエース格レスラーを祝福するためにバックステージからレスラーが集まり祝福するシーンは過去も何度も観てきた。それこそ『X』の起源たるWM10でのブレット・ハート勝利後のMSGも最たる例である。しかし今回大目付役が居なかったのか?あまりにも後々ドキュメンタリー等で見せるべきシーンがダラダラ続く事でコーディの勝利が更に薄くなってしまった。だからこそ私はこれは新サーガの第1章ではなくプロローグ=新サーガZEROと今回は敢えて受け止めたい。

実際の新サーガ第1章はこれから1年かけてレッスルマニア41に向けて新時代の『エース』を選び出してゆく時代である。なんとなく二番煎じ的で恥ずかしくもあるがこの時代をトランプになぞって『A(エース)』の『物語』としてまたのんびりと楽しんで行きたい。それは残酷なようだがコーディ・ローズの『物語』では無いだろう。。。次回の記事ではレッスルマニアXL番外編と題してコーディについて総括したい。さて苦言を言いながらも

 『やっぱりレッスルマニアが最高のプロレスでありエンタメである!』

というありきたりだけど本音で締めよう!ありがとうレッスルマニア!!











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