架空新書

目次をエスキース|スケッチした思考を束に、一冊の本をイメージする楽しみ

noteに記事を書くネタは以前調べたものや、本を読んでて思いついたもの、Twitterで意見交換するなかで着想したもの、日々の生活のなかで気づいたこと、などなど様々です。

そんなポッとした思考をスケッチするように書き留める場所にnoteは最適。某顔本で書いてもドン引きだった文章たちが、note、そして、それをTwitterに放流することで、いろんなコメントや励ましをいただく機会がたびたび。「書きたいことを書いていいんだよ」と受け入れられているカンジが心地よく、noteをはじめてよかったナと思います。

そして、ポッとした思考のスケッチの束を、もしも一冊の本にしたら、どんな目次になるだろう? 帯文として表現するならどんな謳い文句になるんだろう? と考えてみるのもまた一興です。

書き散らしたnoteたちから似たような内容のものを寄せ集め、「このネタ、このノリなら○○新書っぽいな」みたいなカンジに考え、目次をエスキースしていく。そうすると、「あ、この目次構成だったら、あとこんなことも書きたいな」とか「これとこれはむしろ合体させたほうがいいな」みたいに、新たな着想のキッカケになったり。

そんなふうに、スケッチした思考を束に、一冊の本をイメージしてるのは至福の時間。そして、だいたいは「こんなふうにまとめられるなぁ」と思ったらそこで満足してしまったり。これはちょっと反省。。。

そんな至福の時間にエスキースした目次たちの一部を以下に書き留めてみます。


①申公新書『伝統としての住宅産業―ハウスメーカー草創期の夢』

1970年に前後するハウスメーカー草創期は、未来論と伝統論が入り交じる時代であり、住宅産業論もまたそうした土壌から生まれた。最先端のプレハブ住宅産業=未来産業と、創業者が抱く伝統志向が一体となった世界を紹介する異質の戦後住宅産業史。

はじめに
第1章 未来・伝統・工業化
第2章 石橋信夫-愛国の鉄骨住宅(大和ハウス)
第3章 松下幸之助-神様の住まい(パナホーム)
第4章 三澤千代治-過去の構成(ミサワホーム)
第5章 中村功-憂国の木造住宅(東日本ハウス)
第6章 小屋(ミゼットハウス)への回帰
おわりに


②ちくわ新書『木造建築の語られ方』

1926年から1989年まで続いた「昭和」は戦前・戦時・戦後という社会・政治・生活ともに激動の時代であっただけでなく「木造建築」にとっても栄枯盛衰・紆余曲折に富んだ時代だった。あらためて「木造建築」が注目されるいま、激動の「昭和」に「木造建築」がどのように語られてきたのかを振り返ることで、これからの「木造建築」を模索するためのヒントを探る。

はじめに
序章 はじまりの佐野利器
第1章 木造愛国vs.木造亡国
第2章 木造建築を動員せよ
第3章 明るい農家住宅の嫁と姑
第4章 日曜大工デモクラシー
第5章 ジャパン アズ ナンバーワン
第6章 木造建築の再発見
終章 これからの三澤千代治
おわりに


③講淡社現代新書『住むことの民主主義―戦後日本の居住文化』

戦後の住宅政策によって推進された持ち家主義は、国民自らが住宅を持つことを求めただけでなく、どのように住宅を検討・取得するのか、どのように住まうのか、そして、どのように住宅を維持管理していくのかまで考え、実践することを求めるメンタリティを育んでいった。いわば、住まいを舞台に展開した民主主義の実践例を紹介しつつ、戦後日本の居住文化を探る一冊。

はじめに
序章 民主主義の実践
第1章 日曜大工―住むことの主体性
第2章 団地生活―集住の作法
第3章 間取り集―自分らしさの編制
第4章 家相読本―計画のリテラシー
第5章 百科事典―住知識の殿堂
結章 民主主義の商品化
おわりに


④光丈社新書『誤解だらけの住まいの名著―『徒然草』や『陰翳礼讃』は何を語った?』

「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とう『徒然草』の一文は日本の住文化を知る名言としても何度となく言及されてきました。しかし、『徒然草』をよく読んでいくと作者が言わんとすることは、そう単純ではないことに気づきます。それは谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』もまた同様で、書かれていると思われていることと、書かれていることにはズレがある。このズレ=誤読の場をじっくりと観察していくことで、住まいや建築に対する人々の欲望を考える一冊です。

はじめに
第1章 『徒然草』第五十五段再考
第2章 『陰翳礼讃』が礼讃したもの
第3章 『方丈記』と災害列島日本
第4章 なぜ清家清は「家相」を語ったのか
第5章 自己啓発としての「棟梁・西岡常一」
第6章 『ちいさいおうち』と『小さな家』
第7章 バーバパパのセルフビルド論
おわりに


⑤岩被新書『建築学者・延藤安弘―住宅産業からまち育てへ』

都市研究家・地域プランナーとして知られる延藤安弘。「まちづくりの伝道師」として全国各地、そして海外でも活躍した延藤の「まち育て」とはなんだったのかを再考すべく、本書では、あえて1960年代から1980年代半ばに着目し、いわば「まちづくりの伝道師」となる前の「建築学者・延藤安弘」を描き出し、これからの「まちづくり」の在り方を逆照射する試み。

はじめに 今和次郎から西山夘三へ
第1章 住宅供給研究
第2章 住宅産業研究
第3章 ハウジング研究
あいだに 絹谷祐規と巽和夫
第4章 住教育研究
第5章 計画的ミニ開発研究
第6章 ユーコート的転回
おわりに 延藤安弘から名畑恵へ


などなど。書くことは生きること。妄想は尽きません。

(おわり)

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