窯焚き

目に見えないものをデザインする-思いがプロダクトになる感動-

今日、KURA COCOLONOで使わなくなった陶器の焼き直しをして、一点物の陶器作品を作ってきました。

焼き直しの意義など詳細については以下の記事をお読みください。

http://heapsmag.com/kura-cocolono-mass-production-to-unique-items-craft-upcycle-ceramic

東京から約2時間半の「とある場所」にあるKURA COCOLONO。

今日はとても富士山が綺麗に見えました。

窯焚きをしていると火花が飛んでくるので、帽子(今回はフードで対応)を被ります。

今日、焼き直しをした陶器にはある物語があります。

ある男性から預かった陶器だったのですが、その方のお母さんが作られた小鉢で、お母さんは陶芸家として活躍されていました。その陶器はとてもユニークで、そのままでも欲しいなぁと思える作品でした。

でもなぜ移動可能な陶芸窯で焼き直したのか。

実はそのお母さんはお亡くなりになられ、誰もその陶器を使うことがなくなってしまったそうなのです。

そこで僕たちは男性のお母さんが好きだった木を燃料に混ぜて焼き直しをすることで「お母さんの思い」を陶器のデザインしようと考えました。

「生前にお母さんが作った陶器をお母さんが好きだった木材で焼き直す」

これがこの窯で焼き直す付加価値になると考えました。

お母さんが好きだった木は「桜」。

桜のチップと桜の木材を炭に混ぜて焼き直しました。

焼き直してみると黒い自然の釉薬になり、一組の親子の思いや愛が詰まった陶芸作品となりました。

誰か分からない人のためではなく、誰か明確な対象のためにプロダクトを作ることは非合理的かもしれませんが、そこから生まれる感動は他には変えがたいものになります。

そしてこの思考はこれから迎えるテクノロジーの時代にも大切な考え方になるのではないかと思います。

今回は陶芸家の方が残された陶器でしたが、今度は僕の亡き祖父が使っていた陶器を、祖父が好きだった木や燃料を元に陶器の焼き直しをして、祖父の思いを自分や自分の子どもに受け継いでみたいなと思います。

TAKEHANAKE design studio

竹鼻良文

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