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【歴史本の山を崩せ#031】『朱子学入門』垣内景子

《カジュアルな朱子学入門書》

朱子学といえば中国を代表する超有名な思想です。
本場である中国はもちろん、東アジアに多大な影響をもたらした学問でもあります。
しかしながら、その入門書は意外なほど少ないです。
本書は数少ない「朱子学入門」書のなかでも、内容の濃度と読みやすさのバランスが取れた白眉の一冊です。

壮大な体系を持つ朱子学をたった一冊で網羅することは不可能。
そこで、本書は朱子学がいかにひとの「心」を重要視したのか。
朱子学がひとの「心」をいかにして安定させるかを一大テーマとした思想であったことを解き明かしていきます。

「仏教なんてぶっとばせ」「気のせいって何のせい?」という各章のタイトルからもわかるとおり、その語りはなかなかカジュアルです。
従来の「朱子学入門」書とは一味違った…それでいて基本はしっかりと抑えた絶妙なバランスを備えています。

体制を正当化する御用学問ではなく、「こころの学問」として描かれる朱子学の姿は、これまで持っていた朱子学に対する先入観を払拭してくれるに違いありません。

『朱子学入門』
著者:垣内景子
出版:ミネルヴァ書房
初版:2015年
定価:2,500円+税

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