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穴に落ちて「シアワセ」という店を探している

自分を探していたら穴に落ちた。

ヘッドホンで、
ジェファーソン・エアプレイン聴いてたから、
穴に気づかなかったのかも知れない。



それ以来、
わたしは穴の中の街を彷徨って、
シアワセという店を探していたの。

でも、探しても、探しても、
なかなか、
シアワセという店は見つからないの。



似たような名前のお店を見つける度に、
何か手掛かりがあるかも知れないと思って、
入ってはみるの。


ある時、
「夢」というお店を見つけて入ってみたわ、
「夢」の扉を開けると、廊下があるの。

しばらく歩いてゆくと、次の扉があるから、
その扉を開けると、また廊下があるの、

そして、これが最後かな?
という扉を見つけて開けてみると、
見覚えのある場所へ出たわ、
私が元いた道なの。

「夢」は、
そういうお店だったの。



「安全」という名のお店に入ってもみたわ。

そこはサッカー場ぐらい広くて、
お店の周りで何かが蠢いているの。
よく見えないけれど、
気配だけは危険な感じがするの。

だから、壁を作って、
部屋を半分に仕切って、
それでも、危険かもしれないので、
その部屋をさらに半分にして、
念の為、さらに半分に…、

最後は、
四方の壁に手の届く広さの個室を作ったら、
すご〜く近くで何かが蠢く気配がして、
怖くなって私は気を失ったの。

気がつくと、
わたしは、やっぱり元いた場所にいたの。

色々な店に入ってみたわ、
「決意」「努力」「信じる」とか、
なんとなく役に立ちそうな名前の店に、
片っ端から入ってみたけれど、

いつも、元いた場所に戻るの。







今になって思う、

わたしには、
その街を抜ける事ができた「勝因」を、
特定することは出来ない。

勝因って、
特定の何かだけではなくて、
さまざまな要素が絡み合って、
なぜか起きる現象だと思うから。

でも、敗因は見つかったわ。

前ばかり見ていて、
あとは運のせいにしたいのよ。

見ようとしないから、
いつも元に戻るの。




どこかに夢のお店がある は ず
というゴールを持たずに、

よく分からないものから、
ただ逃げるのでもなく、

立ち止まりもせず、
探すのもやめて泳ぐ。



もし、負けたくないなら、
見ようとすること。

別に勝ちたくないから、
このままでもいいかな〜、とも思ったの。
「安定」という名のお店に入った頃だったかな。


でもね…、
負けたくはないのよ、人は。

勝ちたくなくてもね……、
負け続けるのは、やっぱり嫌なのよ。

負け続けると、やっぱり腐るの、
「安定」というお店は、
守りに入っていたから、
朽ちていったの。


だから、

そうねぇ…、

ただ、
ただ歩き続けるのよ。

街を、
出る、抜け出す、というより…、
街を創り続けるのよ。


「シアワセ」という名のお店は、
存在しないかも知れなくても、

そんな事、
気にならなくなるほど遠くまで、
歩き続けるのよ。


思い続けるだけじゃダメなの。
穴からは出れないの、

具体的に歩き続けるのよ。

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