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「離島で保健師をやってみた」第13回 〜離島に着いたときのエピソード3〜

 島に着いて、道行く人たちから「?」という顔でよく見られました。島には、観光客がたくさんきますが、島の人間とそうでない人たちはすぐに見分けがつくようです。観光客でもないし、島の人間でもなさそうな私は、なじむまで時間がかかりました。保健師という職業柄、顔を売っておかないといろいろと不便もあるので、積極的に島を散策したり、行事に参加する必要がありました。もともと人見知りがちな私は、そういった島の住民の方と打ち解けるまでの努力はわりとたいへんでした。

 実際に保健師として働き始めるまでの数日間、可能な範囲で島の中を散策しましたが、本当になにもないなあ・・・が第一印象でした。金融機関は郵便局のみ、飲食店はいくつかあるけど、商店は2〜3店ほどありますが、もちろん夜間は閉まります。ですので、夜間は食料がなくなったら、お金はあっても、翌朝まで、なにも食べられません。普段から使用していたコンビニのありがたみを痛感しました。夜、どこかでお店が開いている安心感って、内地(本州)では思いつきもしなかったし、考えすら浮かびませんでした。

 そのほか、本屋さん、床屋さんはもちろん、娯楽施設もありません。あたりまえですが、マックも吉野家もありません(笑)。島の人たちは、どうやって暮らしているんだろうかと最初は真剣に思いました。でも、だんだんと「なければないで、なんとかなる」ということをわかってきました。

そして、いよいよ、保健師としてデビューする日が来ました。役場のみなさんの前で、ご挨拶をしました。村長さんからは「救急領域で看護師として経験があるようなので、保健師としてだけでなく、そういった分野での活躍も期待したい」とのお言葉をいただきました。たしかに救急領域で看護師していたけど、ずいぶん昔の話だし・・・とちょっと焦りましたが、いや、島ではいろいろな分野に優れてる人材が重宝されるのかもしれないと感じました。

 保健師デビューといっても、保健師の経験はありませんから、船着き場で出迎えてくれた、非常勤の島在住の保健師さんに、保健師の仕事のこと、そして島のことなどを毎日、ひとつひとつ教わりました。自分が思っていた以上に仕事量や覚えることがたくさんで、毎日があっという間に過ぎていきました。新しい仕事を覚えること、新しい島の人に出会うこと、毎日が新鮮な日々でした。

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フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。