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「デジタル看護入門」第16回 〜在宅での栄養管理とICT〜

 前回までは「呼吸器」関連の話でしたが、今回からは「栄養」関連の話をします。人工呼吸器と同様に、ひと昔前までは、点滴いわゆる「持続的静脈内注射」をしている状態で、在宅療養することは、非常に困難でした。今でも、一般の方々は、点滴や人工呼吸器を使用している状況で、自宅に帰ることができるなんて、あまりイメージができないのではないでしょうか。在宅療養における、いわゆる「点滴」による栄養管理を行う場合、少し特殊な中心静脈栄養法(Total Parenteral Nutrition:TPN)が使用されます。「CVポート」と「PICC」です。

 CVポートとは、皮下に埋め込まれる「ポート」と、「ポート」経由で静脈に留置できるカテーテルから構成されている、中心静脈栄養です。「皮下埋め込み型ポート」ともいわれています。こちらで点滴を接続した後、輸液ポンプなどを使用して正確に滴下をしていきます。経口摂取が困難で、胃瘻などの導入も難しい場合、または胃瘻造設を検討している段階での栄養状態の保持、そのほか継続的な化学療法などで使用されます。もう一つ、特殊な中心静脈栄養として「PICC」があります。「PICC」(peripherally inserted central venous catheter:末梢挿入型中心静脈カテーテル)は、上腕から挿入する中心静脈カテーテルです。一般的な中心静脈カテーテルより、上腕から比較的簡単に挿入でき、感染のリスクも少ないです。しっかりと管理していけば、長期にわたり、使用できます。こちらも輸液ポンプなどと一緒に点滴を行います。対象者はCVポートの場合と、ほぼ同じ患者さんですが、CVポートによるボディイメージの変化に抵抗がある患者さんなどは、PICCを選択することもあります。

 CVポートやPICCも、関連する医療機器の進化により、点滴の管理が、ある程度、シンプルになり、点滴が必要な患者さんの在宅療養が可能となりました。しかし、シンプルになったとはいえ、まだまだ複雑な操作も必要であり、輸液ポンプなど、そのほかの高度な医療機器の使用も同時に求められます。人工呼吸器と同様に、家族や介護者への継続的なフォローが必要ですが、そのような部分をICT技術で、どうにかうまくサポートできるといいですよね。

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