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やっぱり信念は曲げられない(前編)

私のチームの中に、小学6年生で出会い、中学1年生になってから本格的に一緒に練習をし始めた1人の選手がいる。
彼は、小学校低学年から野球を始め、毎週末野球に打ち込んできた。
季節問わず土日は試合試合の日々を送り、ピッチャーもやっていた彼は、土日合わせて300球近く投げる時もよくあったという。
「休みたくない」「勝つために」「指導者に物申す空気ではない」...そんな中で何年も野球を続けてきた。
小学6年生の時、チームで肩と肘の健診を受けた時に肘に異常がある事を知らされた。
自覚症状はなかったが、医師からは投げる事を許されなかった。
親子でショックは隠せず、なかなか現実を受け入れられる状況ではなかった。
その頃に私と出会い、中学生から本格的に彼と野球を始めた時からまもなく1年、まだ一球も投げていない。
人一倍負けん気も強く、野球に熱いエネルギーがある選手だけに、我慢の日々、いつから投げられるか分からない日々で苦しかったと思う。
通院する病院では、手術より保存療法で回復を待つよう勧められたため、親子でとにかく我慢し、3ヶ月に1回の診察に期待を込めていた。
ただ、私も同席した診察で、毎回伝えられる事は「まだだね。また3ヶ月後様子を見ましょう」...数分の診察で、レントゲン写真を見ながら回復目処が立たない現状を突きつけられるだけだった。

できるだけ手術はしないという考えは、最初は私も賛成だったが、毎回診察で落胆し、涙を流す親子を見ると、励ましながら私も胸が苦しくなっていた。
「小学生の頃に投げすぎたんだから仕方ない」と医師に言われる。確かにその現実はウソではない。
でも、チームが勝ち続ける中、自覚症状もなく無我夢中にやっている子供がどうやって休めたら良かったのか...。
指導者が子供の将来を考え無理をさせない事以外方法はないと思う。
でも、現実を突きつけられ、医師にも厳しい事を言われるのは親子。
さらに、いつ投げられるか分からない日々を送る...これはあまりにも残酷だと思う。

その間も、小学生時代のチームメイトや指導者からは「あいつ肘ヤバイらしいよ」「アイツ終わったわ」そんな事を耳にする。
信じられないが、そう言う心ない人たちも野球界にはたくさんいる。
そんな前が見えない日々から、何とか一歩踏み出す事ができないか...という思いから、セカンドオピニオンという道を取った。(次回に続く)

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