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僕らは思っている10倍ぐらい過去に引っ張られている【変わりたくても変われないメカニズム】

変わりたくても変われない。
いつも同じことを繰り返す。

個人でも、組織でも、そんな声をよく聞きます。

未来を思い描く、目指す姿をありありとリアルに想像する、計画の実現に向けた実行計画を緻密にたてPDCAを回す、突発的な事態に対応できるよう柔軟なスタンスで為すことを決める。全部うまくいかないんです。そんな声。

その原因の一つにタイトルの状態があると思うのです。
「僕らは思っている10倍ぐらい過去に引っ張られている」

この事実を認識することが、最初の一歩を見出すキッカケ。そして、過去を知ることで「変わりたくても変われない」を脱却することができる。今日はそんなテーマについて書いてみたいと思います。


01.過去に引っ張られているのに、過去を正しく知らない現象


「10倍ぐらい過去に引っ張られている」とは、また強烈な表現だなぁと思われたかもしれません。パっと聞くと、過去に強烈に縛られそうなイメージで夢も希望もない感じがしますよね。

実際は違います。「10倍」って表現に騙されましたね?

数値化して表現してみましょう。

おそらく今回のタイトルで多くの方がイメージされているのは「過去があなたを引っ張る力が10ぐらいと思ったら実は100だった」みたいな状態じゃないでしょうか。そうではなく「実際には10なのに今のあなたは1ぐらいにしか過去のことを捉えていない」のです。

つまり、「過去の力が強い」のではなく、「現在の過去に対する認識が弱い」のです。

僕たちは過去に引っ張られています。それはもちろん、今ここに至る自分を作ってきたのは過去の自分だから。しかし、過去についてはいつの間にか意識からスッポリ抜け落ちています。

いまの自分は10のうち1しか認識していない状態だと捉えてください。この状況で未来を思い描き、現在の行動を見定めようとします。しかし実際には過去は10のチカラで僕たちに作用してきます。そのエネルギーを見誤っていたため、僕たちは過去に引っ張られて未来に向けた行動が取れなくなります。

しかも、その原因が「過去の認識」にあることに僕たちは気づいていません。だって、10のうち1しか認識できていない状態ですからね。そもそも「過去」によって現在が影響を受けているだなんて思いもしない。しかし、シンプルに10を捉えられていたらヤヤこしい話ではないのです。

「現在」と「未来」にばかり意識を向けて、何度も「同じことを繰り返しているなぁ」とか「うまく進まないなぁ」とか「変わりたいのに変われないなぁ」を重ねるのは、正しく過去を認識していないから。

だからまずは過去を知ることから始めましょう。


02.あなたを動かすメカニズムを知る


新しいことを始めるときにモチベーションに代表されるようなエネルギーだけじゃなくて「仕組みのデザインが大切だ」とはよく聞くようになりました。ですが、「仕組み」って言葉だけをシンプルに受け取ってしまうと大きな誤解が発生すると感じています。

この言葉は、どんな人や組織にも適用できる「普遍的な仕組み」が存在する誤解を招いているのではないでしょうか。いや、実際に普遍的な仕組みが存在すると思っているから次々に社会に出てくる「新しい仕組み」に僕たちは飛びついてしまうのです。

ですが、そもそも僕たちには「メカニズム」が存在します。そのメカニズムは僕たちの過去によって生み出されています。

メカニズムとは自分たちの持つ性質・挙動の特徴です。自分たちがどんな価値観を持っているのか、その価値観に従ってどんな挙動を取るのか、外からの刺激に対してどんなアクションを起こすのか、これらのメカニズムは人や組織でバラバラです。

「仕組み」が機能するかどうかは、メカニズムによって異なります。それぞれにメカニズムが異なるのに、同じ「仕組み」を導入したとしても機能するわけがありません。

「仕組み」を導入するためには必ずメカニズムに応じたチューンナップが必要です。また仕組みを駆動させる「エネルギー」もメカニズムに応じた発生の傾向や法則があります。

だから、「仕組み」も「エネルギー」も「メカニズム」と強い関係性があって成り立っている。「仕組み」と「エネルギー」が循環し合う関係を作りたかったら、まず「メカニズム」を知ることが大事なのです。

しかし、先に解説したとおり僕たちは自分の過去を正しく把握していないことが多いのです。つまり自分たちを動かすメカニズムを知らないと言えます。だから「変わりたくても変われない」「同じことを繰り返す」が発生するワケです。

ちなみに、個人の中によく見る現象で「いまのメカニズム」と「過去のメカニズム」の混同があります。過去に自分が持っていたメカニズムを今も持ち続けていると思い込んでしまう状態と考えてみてください。これゴースト価値観と名づけました。

例えば、過去に自分が持っていた価値観がある。その価値観は言葉にできるぐらいハッキリしたモノでした。当時の自分は価値観に沿った行動を取っていたので何も不思議なことはありません。そして、今もその行動を取り続けている。しかし、どうにも違和感がある。だけどその違和感の正体がよく分からない。これは自分の価値観が変化していることに気づいていないから起こる現象です。

しかし、「いまのメカニズム」を知るために丁寧に過去から現在までの経験を紐解いていくと、その過程で「もうすでに過去のメカニズムになったモノがある」と気づくことができます。過去と現在のズレが解消され、いまの自分にあった仕組みやエネルギーを注ぐことができるようになるわけです。


03.メカニズムを変化させていきたいとき


人や組織は「変わりたい」と思うことが多いですよね。その想いそのものはとても素晴らしいモノだと思うのです。まずはそもそも論の「何から何に変わりたいのか」を知るために自分の過去を紐解いていきましょう!と、ここまでの話はそんな内容でした。

では、実際にメカニズムを変化させていこうとするプロセスに入ります。知ったうえでどうするのか、きっと誰もが知りたいテーマですよね。


03-01.変化は緩やかなカーブを描くことを基本形に


今年の「ほぼ日手帳」に、まさに自分の言わんとしていることを書いているページがありました。

スノーボードで曲がろうとするときに、
急にギュッと曲がろうとすると、コケるじゃないですか。
だから、遠くを見ながら、ああ、曲がってるなーって、
ゆっくり大きく方向を変えていって目的地に到着する感覚。
自分の中であんな感じが理想なんですよ。
−川村元気さんが『毎日の人、隔週の人、毎年の人。』の中で。

ほぼ日手帳より


ここにあるように、基本は「ゆるやかなカーブ」を描くことなんだと思います。

人も組織も急には変われない。みんな薄々気づいていることなんだと思います。でも、世間は、やれVUCAだ、やれ不確実性だ、やれ変化が激しい時代だと、短時間での爆発的な変化をしなければ消滅するという危機感っばかり煽ってきます。

で、薄々は変われないと分かっていながらも、もしかしたら変われるんじゃないかと変に期待を抱き、結果変われないという事態を積み重ねるのだと思います。

まずは、このスノーボードの例にあるように、ゆるやかな変化を描くこと。そこが最初の一歩ではないでしょうか。


03-02.変化は非線形で訪れる


もう一つ誤解があります。「ゆるやかな変化」を目指すといつまでも変われないイメージを持ってしまいます。しかし、変化は「非線形」で訪れることも多く、あるポイントを超えると一気に大きな変化が始まることだって多いのです。


そもそも、「小さい一歩」は日常の行為だけ見ているから影響の大きさを自分で理解できないのです。

「小さな一歩を積み重ねたとき」にどんな状態になっているかをイメージしてみると分かりやすいでしょう。小さな一歩×365日を積み重ねると何が起こりますか?、小さな一歩×365日×5年を積み重ねると何が起こりますか?

ちなみに、スノーボードの例えに「過去の自分(メカニズム)を知らない」状態を乗せるなら、自分の滑ってきた経路が分からない、自分のいまの速度が分からない、自分がどんな体勢でいるのか分からない、自分の体力の消耗が分からない、自分の感じてきた気持ちよさが分からない、そんな状態だと言えそうですよね。コレでカーブできるんでしょうかね?


03-03.知ったうえでなら、覚悟できる。


ただし、過去(メカニズム)を知ったうえで、それでも辿ってきた経路の延長線上から外れる決断をすることはアリだと思います。

過去を正しく知っているということは、その先にある急な方向転換でどんな痛みを伴うかもリアルに想像できているわけです。どう考えてもメカニズムに無理が出るが、その無理も含めて呑み込み、それでもやると決める。

そこまで考えて道を変えるというなら、それは覚悟のうえでしょう。だからそれは構わないと思うのです。


04.メカニズムを踏まえて仕組み×エネルギーを考える


「僕らは思っている10倍ぐらい過去に引っ張られている」
この言葉の背景にはメカニズムがあると、少しでも感じていただければ何よりです。

過去に目が向いていないだけなんです。まずは知ろうとしてみてください。知ればきっと、自分たちのメカニズムに沿ったエネルギーと仕組みが見出せます。その先にこの3つの好循環があるはずですよ。


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