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【読書感想】天野純希『戊辰繚乱』

2017.08.16、読了。
天野純希『戊辰繚乱』

松平容保から新撰組に派遣された会津藩士『山浦鉄四郎』の物語。

ものすんごく面白かった。
歴史モノの中で幕末物が1番好きで1番苦手な私でも難しくなかった。新撰組の事も心地良く頭に入ってきた。天野さんの小説を読むのは初めてだが、文体が端的で明瞭でとても読みやすかった。

山浦鉄四郎と中野竹子の恋は創作なのかもしれないけど、リアリティがあって涙なしには読めなかった。

八重の桜を観ていないので、中野竹子という人物を初めて知ったのだけれど、この人の死に様には胸を打たれた。薙刀の使い手として、死闘の現場に立つことをどこか夢みていたに違いない竹子が、『剣士』として死ねたことは本望だったのかもしれないと思った。 .

『もののふの猛き心にくらぶれば 数にも入らぬ我が身ながらも』

この戊辰繚乱を読むと、中野竹子の辞世の句が胸にストンと落ちてくる。女でも闘える。女でも闘えた。それでも、会津に血が流れて欲しくなかったし、竹子にも生きていて欲しかったと思う。

戊辰繚乱、色んな想いが去来する本当に素晴らしい小説でした。

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