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「【密談.特別編】緊急対談:原作者と脚本家はどう共存できるのか編」の感想

やっと時間ができたので例の消された炎上動画を見た。

(あえてurlは載せない)

結論から言うと全体的に脚本家が話していることは至極真っ当だと思った。

むしろ貴重な話も多い。

過去のことを掘り起こされて必要以上にぶっ叩かれてる黒沢久子さんも、そんなにおかしいことは言ってない。むしろ真摯に仕事に向き合っている印象だ。

一番叩かれているのは、「脚本家とは会いたくない。対峙するのは脚本であり、脚本家ではないから」という発言。これが原作者軽視だとぶっ叩かれている。

確かにある意味ぶっ叩かれてもしょうがないとは思う。

でもこの発言が100パー原作者軽視しているとは思わないし、そんなにぶっ叩くことでもないと思う。

そういうタイプの人なんだなと思うだけだ。

ただ、会わなくてもいいけど原作者と信頼関係は築くべきだと思う。それをやるのが映像化の担当プロデューサーだ。そういう意味でもプロデューサーはちゃんと仕事してたのかと思う。

あと「原作付きばかりだと脚本家が育たない」とか「予算がないから」という発言。わかるけど、それはヒット原作しか映像化しない視聴率至上主義&儲け至上主義&ケチなテレビ局の事情だからなあ。

原作ファンとしては映像化には原作通りを望むは当たり前。特に作品のコアな部分を改変されたら怒るのは当たり前。

いろんな事情があるのはわかるけど、そんなものは視聴者には関係ない。成果物がすべて。クリエイターは成果物だけで評価されることを覚悟しなきゃいけないし覚悟しているはず。クリエイターじゃないワイクラスの底辺ライターでも自分が書いた記事や本がどんなにひどい評価でも受け入れざるを得ないと思っている。

ただ、100パー原作通りにやるのが絶対いいというわけではなく、原作にプラスアルファして原作以上の映像作品に仕上げている作品もたくさんある。

そこは原作を変えるんじゃなくて映像ならではの強みを活かして作ってるってことなんだが。

「進撃の巨人」とか「鬼滅の刃」とか「呪術廻戦」とか「チェンソーマン」とか。全部アニメだけど。

実写では松本大洋の「ピンポン」がよかった。

でもまあそれはまた別の話。

あと「『セクシー~』の脚本家も自分の言われた仕事をしただけだから責めないでほしい。ボタンの掛け違いでこうなった」と言ってたけど、それは違うと思う。

誰でも閲覧可能なインスタでああいう原作者を責めるようなポストをしなければこんなことにはならなかったはずだ。

確かに言いたい気持ちもわかるけど、プロならそこをぐっと飲み込むべきではなかったか。

ワイが言っても説得力ゼロだけど。

ただ、芦原さんが自死した直後のタイミングでこの話題で動画を上げたことと、シナリオ作家協会が炎上に負けて動画を削除したのは最悪の悪手だと思う。

あと伴さんは東野圭吾のことをあんなやつなんて一言も言ってないからパナマ文書リークは炎上をあおりたいだけのひどい嘘つきだと思った。

そんでここからが本題だが、今回は脚本家vs原作者という対立構造で考えたらあかんと思う。

そもそもそういう対立構造は生まれない。

なぜなら漫画や小説のドラマ化とかにおいて、脚本家と原作者が顔合わせくらいはするかもだけど制作において直接やりとりすることはありえず、交渉はテレビ局のプロデューサーと出版社の編集側で行うのが通例だからだ。

そんで脚本家はプロデューサーからの理不尽な要求で何度も修正を余儀なくされる。

これらは何人かの信頼できる脚本家から直接聞いた話だから事実だと思う。

今回の件について最初のポストで脚本家をdisるようなことを書いたが、これも書いた通りあくまでも「原作は変えないでほしい。その条件を呑むなら映像化を許可する」という原作者の要望がドラマ制作側に伝わっていたことが前提だ。

しかしこれまで日テレ側は「小学館側から出した条件に従って制作した」的な声明を出しているが、小学館側から何の説明も反論もないから、これが疑わしくなってきた。

これだけはありえないと思っていけど、もしかしたら、芦原さんの味方のはずの小学館のドラマ化担当者が芦原さんの要望や条件を正しくテレビ側に伝えていなかった可能性も出てきた。

ドラマ化になったら原作マンガが爆売れして会社が儲かるからと「うちの原作者がめんどくさいことを言ってるけどスルーしちゃっていいすよ~」とか言ってなあなあで進めていたとしたら・・・そこまでいかなくても上層部がそう命令していたとしたら・・・それこそ万死に値する。

つくづく版権ビジネスって人の褌で相撲を取る的なクソビジネスだよな。

これまでの経験から言って、版権ビジネス担当のやつらってほぼ100パー嫌なやつらだ。自分では何も創り出せないくせになんか妙に偉そうなのだ。いろんな人が頭下げて来るから自分が偉くなったと勘違いしちゃうんだろうなあ。

そういう意味では原作者も脚本家も、金儲け主義の大企業の犠牲者と言える。

とにかく一刻も早く小学館と日テレはなぜ今回のような最悪の事態に至ったのか、その経緯・理由を調査し、結果を公表すべきだ。
特に小学館。おまえんとこにかなりの利益をもたらした作家がひとり死んでんだぞ。
マジでちゃんとやれ。

これ以上、作品を生み出す源泉たるクリエイターが冷遇されたり金儲けの道具としてしか扱われなかったり、自ら命を断ってしまうような最悪な事態が起こってほしくないと願うばかりだが、この構造が変わらない限り無理だ。
そしてこの構造を変えるのはほぼ絶望的という……。

せめて編集者・出版社は作家の味方でいてほしい。
作家を全力で守ってほしい。
そんくらいできるだろ。

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