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東京の街、いつかの交差点

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東京をこよなく愛する気持ちを、こよなく愛している東京のごはんやさん/カフェなどを巡っているときの気持ちとリンクさせて、誰でも追体験できる幸せを記したい。という試みです。
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記事一覧

かじかむ手、傘二つ分の距離が似合う新宿

新宿には冬が似合う、そう思うのはかつて大好きなバンドが「突き刺す12月と伊勢丹の息が合わさる衝突地点」と歌ったからだろうか。

新宿は、私にとっていくつかの顔を持つ街だ。というよりも、私が生きてきた時間の中で、様々なタイミングで新宿という街を漂ったから、多面的かつ断片的にかかわりがある街だと言える。

今から10年ちょっと前、中学受験を経て、渋谷にある中高一貫女子校に進学した。校則が中々厳しい学校

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いつまでも子供でいさせてくれる日本橋

心のふるさと、お江戸日本橋。私は日本橋をこう呼びたい。

江東区深川に5年ほど住んだあと、私たち一家は中央区日本橋へと引っ越した。日本橋と言っても日本橋箱崎町、水天宮のあたりなのだが、箱崎町と言っても伝わらないので日本橋のあたり、と人には言っている。なんだか少し嘘をついているような気持ちになりながら。
この家には10歳から22歳まで住んだ。最も多感な時期を過ごしたからだろうか、私にとって「実家」は

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私と東京と、それ以外の街たち

東京という街が好きだし、東京にいてこそ私は私でいられる、と思う。

東京に住み始めたのは5歳のとき、父親の転勤でそれまで暮らしていた東北を離れ、江東区深川のあたりに住むことになった。それまで暮らしていた東北の家は広く、近くに川があり、幼稚園にはスキーウェアを着て行っていた幼い私にとって、東京はまったく驚くべき土地だった。……と言いたいところだが、正直そんなに大きな衝撃はなかった。確かに深川の家は東

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