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思考することを生業とするためにすべきこと

このエントリは、 コネヒト Advent Calendar 2021 の 22日目 のエントリです。 21日目は @fortkle による「 PHPDocにおける @throws の役割と個人的な使い方 2021  」でした。


ソフトウェアを扱うエンジニアやデザイナーは、 肉体労働ではなく頭脳労働をしている。近年は知識労働者(ナレッジワーカー)という言葉も出てきているが、これらは知識を活用して問題を解決し、成果を生み出す仕事である。

そんな“知識を活用して問題解決に取り組む”我々を支えるものは思考することだと、ぼくは考えている。極論、思考のもとにカスタマージャーニーマップは生成されるし、思考のもとに Twitter や Facebook は生まれた。思考することによって、我々は目の前の問題を解決に導き、仕事の成果を生み出しているのだ。

思考することの分解

では、思考することとは具体的に何をすることなのか。ぼくは、思考とは“想像すること”と“メディア化すること”とを行き来することで成り立つものである、と考えている。

想像することとは、自分の中にある感覚や概念を作り出すことを指す。思いつきのアイデアも、長年心に蓄えている思想も、それらは自分の中にある感覚や概念の情報である。詳しい定義は、以下が詳しい。

想像力(そうぞうりょく、英語: imagination、フランス語: imagination)は心的な像、感覚や概念を、それらが視力、聴力または他の感覚を通して認められないときに作り出す能力である。想像力はイメージする力すなわち経験に意味を、現実に理解を提供する助けとなり、人間が物事や現象を理解するための基本的な能力の一つである。また、学習の過程においても補完的な役割を果たす。

想像力 - Wikipedia

メディア化することとは、情報を言葉や絵などのメディアに変換することである。メディアの詳しい定義は、以下を参照したい。

メディア(media)とは、情報の記録、伝達、保管などに用いられる物や装置のことである。媒体(ばいたい)などと訳されることもある。記録・保管のための媒体とコミュニケーションのための媒体とに大別することができるが、両者には重なりがあるといえる。

メディア (媒体) - Wikipedia

つまりは、想像することで生まれた自分の中の感覚や概念を言葉や絵などのメディアにする(=メディア化する)こと、逆にメディア化された言葉や絵などのメディアから自分の中での感覚や概念を作り出す(=想像する)こと、これらを繰り返すことが思考なのだ、と思っている。

思考の連続性が、過去と現在と未来をつなぐ

さらに、想像することはメディアによって刺激されるのだが、つまりは過去に思考してメディア化されたものが、現在の思考に影響するのだ。それが思考の連続性である

思考の連続性はメディアによって支えられている。過去に思考したことが出力されたメディアがあることで新たな想像を生み、それが過去の思考と現在をつなぐ。そして、その想像がメディア化されることで未来の思考へとつながるのだ。

これは自身の思考とつながるだけではなく、他者の思考ともつながる。たとえば書籍を読むことなんかは最もわかりやすいのだが、他者が残した文章というメディアを通じて、自分の想像に刺激を与えてくれる。このような対話経験(人と話したりメディアに触れたりする経験)を増やすことで、思考はより深まっていく。

自分の思考はインターネットによって人類共有の財産になった

瓦版かわらばんが新聞になり、新聞がネットニュースになった。メディアは移り変わるが、情報を伝える"体験"は数百年経っても続いていく。思考もそうだ。古くからある文書や絵画が思考をつなぎ、現代や未来につないでいる。思考は終わらないのだ。

西暦2000年代を迎え、人類にはインターネットが普及した。インターネット上に文書が数多くある世の中になった。2021年を迎えた現在は、数多あまたの文書は検索可能になり、誰もがブログやSNSを通じて発信できる世の中になった。だけども、人類の思考はまだまだメディアに記録されていないものが大半だ。ぼくは、もっともっとインターネットにみんなの思考が溢れてほしいと思っている

この話は、思考することを生業なりわいとするためにすべきことと題している。その主題に沿うと、ぼくはみんなの思考をたっくさんメディアに書き出してくれ!と思っている。書くことでメディア化する能力は磨かれ、書いたメディアが未来のぼくらを支えてくれる。インターネットが普及した現代において、インターネット上のメディアに思考を書き出すことは、人類みんなの財産になるのだ。

まあ細かい分類とか検索性能とかは、メディアを作る側の人間だったり検索エンジンを作る側の人間だったりが考えるから、みんなはもっともっと思考をメディア化するべきだ。

Scrapbox という即時公開型書き下しメディア

そのために個人的にオススメしたいのは Scrapbox である。

このツール、なんと保存ボタンがない。書いた文章が書いた瞬間からインターネットに公開される。別に公開したくない人は private なプロジェクトを作ることも可能ではあるんだけど、 public なプロジェクトに書くのをオススメしたい。書いた瞬間から公開されることを前提に書くので、なんとなく緊張感がありつつも思い切って書ける。ただただ書き下すだけで、なんとなく思考を吐き出した気持ちになる。

実は、思考するヒントとして、脳から情報を追い出してやることも大事だと思っている。これはいろんなところで言われてそうではあるが、個人的な感覚としては脳はテーブルだったりデスクトップに近いイメージだと思っている。テーブルの上を埋め尽くしてしまうと新たな物が置けない。別のスタックに片付けて、整理しないといけないのである。思考しているものを吐き出すことは、そういうことに近い。

ここにぼくの Scrapbox があるが、真面目なことからグルメなことから音楽のことから個人的な日記からなんでも書いている。書き下すことで思考が進むと信じているし、書くことでぼく又は誰かの財産になり、それが未来の思考を作ると信じているからだ。だからなんでも書く。

おわりに

思考することについて、語り出したらキリがない。当然、哲学的に思考について語られた文献も多々あるのだが、正直あまりそういうものを読んだことがない(読みたいとは思っているが腰が重い)ので、すでに語られている切り口だったら失礼した。

それでもぼくらは思考という武器を使って、未来には 猫型ロボット も作らなきゃいけないし、 どこでもドア も作らなくちゃいけない宿命にある。そのために思考力を磨きたいし、思考の過程で生まれた文献をたくさん残していくべきだと思っている。そのためには人類皆 Scrapbox を使おう、と言うのはだいぶ過激な意見だと思うが、自分に合ったメディアやツールを利用して、みんなもインターネットに思考をばら撒いてほしい。ぼくはただ、みんなの思考が読みたいです。


最後に、ちょっとだけ PR させてください。コネヒト社では、ぼくらと一緒に家族のためのサービスを成長させてくれる方を大募集しております。ご興味のある方は、以下よりご応募いただけるととっても嬉しいです。オープンポジションとかもあるので、ご相談とかがあれば @takoba_ までご連絡ください。

明日は @ohayoukenchan によるエントリです。おたのしみに。

参考

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