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【映画/感想】『ひらいて』

noteの更新再開にあたりどんな作品にするか悩みましたが、せっかくなら自分が好きでNetflixで最近配信が始まった作品にしてみたいと思います。

『ひらいて』という作品です。
今まで観てきた映画の中でもトップクラスに僕が好きな作品です。
おそらく同じ作品を上げる人は少ないかと思います。

どの辺りが刺さったのかを書いていこうと思います。

(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

【歪な恋愛映画】

メインキャストは山田杏奈、芋生悠、作間龍斗。
これだけ聞くと三角関係のキラキラJK映画みたいですが全く違います。
もっとドロドロで歪な恋愛が描かれます。

個人的に秀逸だと思ったポイントを3つに分けて書いてみたいと思います。

①独占欲

主人公の愛はとにかく独占欲の強い女の子として描かれます。
好きな男の子を振り向かせるためにその彼女である美雪を自分のものにしようとする。

(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

途中までは映画やカラオケなど友達として接するが、そこからキスや体を重ねていく。

体を重ねた後に濡れた手を冷たく見つめる愛。

あくまでもたとえくんを自分のものにするための手段でしかない事が伝わってきます。

この後、夜の校舎にたとえくんを呼び出し、振り向いてもらうために服を脱ぐシーンがあります。この行動からも愛は体が先でも良いという考えがあって、そこから好きになってもらえると信じているように見えました。

そんな愛の独占欲がどう変化していくのか、はたまた変化しないのか。
愛の心情の描き方が僕はとても好きです。

余談ですが、本作の監督である首藤監督がインタビューで「なぜ体を許すことが先行してしまうと祝福されなくなるのか」と疑問を呈していたので、もしかしたらその疑問が愛に反映されていたのかもしれないです。

②爪

「爪の形そっくりね。」

愛のお母さんのセリフで作中2回出てきます。
1回目はなんてことないただのセリフだと思っていました。
愛もマニキュアを塗りながら適当に聞き流しています。
(このマニキュアで爪を着飾る行為も後々重要になってきます)

後半、とある展開から愛は引きこもりになります。
今までの1軍女子のイメージとは正反対の、髪はボサボサ、すっぴん、ずっと寝巻というだらしない人間になってしまいます。
爪もマニキュアは塗らずボロボロになった状態で日々を過ごしています。

そんな彼女に母がもう一度同じセリフを言います。

きっと愛にとっては救われたひと言なんじゃないかなと思っています。

続けざまにお母さんはその手を見て、
「手だけ見れば愛ちゃんだとわかると思うわ」と呟きます。

前述通り、愛の爪はマニキュアを塗らずボロボロの状態です。
その爪の状態が愛の心情も表していて、そんな爪を見ても愛だと認識できるとお母さんは言ってくれたわけです。
着飾らずとも愛を理解してくれる人がいる。
嘘を付かずともありのままを受け入れてくれる人がいる。

そんな母からのメッセージだと僕は感じました。

③鶴の折り紙

折り鶴で桜の木を製作し、たとえくんと表彰されるのですが、この折り鶴もとても意味があると思います。

終盤、卒業式の説明を受けながら愛は折り鶴を元の正方形に戻しています。
これは今まで作ってきた形は元に戻せるし、また新たな形になる事が出来る事を表しているのではないかなと思いました。

もちろん愛の事を表していて、多くの間違った選択をした愛がこれからの人生でまた何者かに形が変わっていくことを描いたラストだと思っています。

【最後に】

この映画めっちゃ良いのに意外と観てる人少ないんですよね、、、

もっと語りたい場面はあるのですが、ここまで読んでもらった人にはとにかく映画観てもらいたい。(切実)

この感想で観たいと思ってもらえたならこんなに嬉しいことはないです。

以上です。
読んでいただきありがとうございました。


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