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【映画/感想】『ほつれる』#4

お疲れ様です。
見ていただきありがとうございます。

鑑賞直後はよくわからなかったけど、何故かずっとその映画を考えてしまう作品がありまして、それがもうアマプラに来てました。

てなわけで『ほつれる』という映画の感想です。
監督の加藤拓也さんはForbes JAPANの「30 UNDER 30」という世界に誇る30歳未満の日本人に選ばれている凄い人です。

(C)2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMAS

【物語】

主人公である綿子(門脇麦)と文則(田村健太郎)の関係は冷めきっており、綿子は木村(染谷将太)に惹かれていく。
その後、とある事があり綿子の心は更に揺れ動き、、、みたいなお話です。

【余白を楽しめる邦画】

昨今、邦画はセリフで説明し過ぎだと言われておりますが、加藤監督は真逆です。なので、ながら観すると色々見落とすことがあると思います。

最初のシークエンス。
何気ない朝。パートナーを起こさないように身支度を済ませ水を飲む綿子。
パートナーが起きてきて少し布団の話をして外出。なんてことないシーンですが、会話が淡々としていてむず痒く冷たい印象。家を出て綿子が電車に乗ると、座席は空いているのに男性の横にスッと座る。

ここまでほとんどセリフないのですが、現夫との関係は冷めていて不倫しているのがわかります。この描き方って最近の邦画だと本当に貴重だと思います。ここまで確か5分もないです。思い返してみると夫婦で寝床が違うという事も関係性が冷めきっている事をさらっと見せており、導入の描き方のスマートさに驚かされます。

個人的には余白を色々と想像するのが映画の醍醐味だと思っているので、このシーンを見せられただけで本作は楽しめると安心できました。

【死んだ会話、生きてた会話】

木村が亡くなった後の会話の対比も面白いです。
現夫である文則(田村健太郎)との会話は基本死んでいます。
業務連絡の会話のみ。避ける様に別の部屋に転がり込む綿子。ここまでだと文則にも少し同情の余地はあるのですが、後半とある事がきっかけでそんな思いも遥か彼方に吹っ飛ばされます。

【田村健太郎を嫌いになる映画】

(C)2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMAS

褒めてます。
良い印象が残らないくらい怪演していたのが田村さんでした。
完璧なネチネチ男を演じていました。

先ほどのきっかけとは終盤文則の不倫が発覚することです。

発覚するまでは不器用なりに関係修復のためにネチネチ言っていると思えていたのですが不倫してるなら話は別です。自分の事は棚に上げてネチネチ言ってたんかい。不倫を指摘された際も「今その話するなよ」とはぐらかす。気持ち悪いを通り越して恐怖でした。

それまでの言動や行動で観客はネチネチフラストレーションが溜まっているのでここで一気に爆発する事になるかと思います。
堪能したい方は是非ご覧になってみてください。

この映画は人によって誰が悪いかの印象が変わると思います。
僕は圧倒的に田村さん演じる文則が嫌いでした。
これも田村さんの演技力あっての事。素晴らしい俳優だと思います。

【最後に】

木村の死によってぐちゃぐちゃになった綿子の心が少しずつ「ほつれて」いく様を観る映画でした。

派手さはなく大衆が楽しめる作品ではないかと思いますが、別角度の邦画らしさを持った作品だと感じました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
ゆるーく更新していきますので今後ともよろしくお願いいたします。

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