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いい一日をはじめるために、ドイツに習っている朝の習慣

ベルリンに越してくる少し前、青い木々が、街に温かな影を揺らす頃。

僕はユキさんのもとを訪ねた。彼女の著書を読み、興味を持ち、声をかけたのだ。

まるでおとぎ話にでてくるような重くて厚い木製の扉を押し開けると、小柄なユキさんが出迎えてくれた。

僕はレンガの壁が印象的な、広いリビングに通された。すぐ彼女はキッチンに戻ると言うので、ソファに腰掛けじっとしていると、何かを切る包丁のストン、ストンという音が聞こえる。

お菓子か、なにかドイツのおやつだろう。

しばらくすると両手にカッティングボードを抱えたユキさんがやってきた。

「これがドイツの朝食よ」

カッティングボードに、パンとチーズ、ハムにバターがずらりと並んでいる。どうやら切っていたのは、これらのことだったらしい。

まさかお昼過ぎにパン……?

一瞬戸惑ったが、食べてみる。

穀物がぎっしり詰まったドイツパンは、素朴で、想像していたよりもハマりそうだった。

ドイツの朝食と夕食は、火を使わない「冷たい食事」を意味する「カルテスエッセン」が基本。

昼食は会社や学校の食堂でしっかり食べるから、朝夕は控えめにしたいと考える人が多いという。

作り置きや残りの食材も、切って、テーブルに並べるだけ。

ユキさんはパンを手に取り、たっぷりバターを塗って、その上にチーズを乗せて言った。

「ドイツではこうやって食事をするの。友達を家に招待するときも。すごく気軽でいいでしょう?」

あのとき僕は、目を輝かせた。

外でお酒を飲む時間も好きだけれど、暖かい空間で過ごす時間はもっと心地いい。

あれからもう2年、moabitで過ごして4ヶ月になる。

いつの間にか自宅でも外食でも、毎日カルテスエッセンを食べるようになった。

つくる・片付ける手間がかからず、時間の余裕を生めるからだ。

ある日は「Thea & coffee」で乾燥トマトのオイルづけに、小さいボール状のモッツァレラをぺストで和えたものを。

ベルリンの街は、朝食に個性が際立つ。

Thea & coffee住所:Birkenstraße 19, 10559 BerlinHP:theaandcoffee.com

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小松﨑拓郎

「自分にも、他者にも、地球にも無理を強いない暮らし」をドイツ・ベルリンにて実践中。editor / 「灯台もと暮らし」編集長、#もとくらの現像室 オーガナイザー @ogiyk_ とのクリエイティブチーム「白梟」、オリンパスアンバサダー。湖畔住まいが夢

白梟は洞のなかで眠る

ドイツの首都ベルリンで暮らす、荻原ゆかと小松﨑拓郎が更新するマガジン「白梟は樹洞のなかで眠る」。「自分にも、他者にも、地球にも無理を強いない暮らし」をテーマに、記事を更新します。欧州で学んだ事例や考察記事を毎月4本更新します。
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コメント1件

家に人を呼んで、一緒にごはんを食べたりするのが、さりげなくて良いですよね。
オランダは朝とお昼が火を通さないものを食べるという習慣があるそうです。
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