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3‐1 ミラーニューロン

 脳には他者のパフォーマンスを視ると活性化する細胞があります。その名は、ミラーニューロン。

「自分はその動きをやっていないにもかかわらず、他人の動きを視た時に活性化する神経細胞」のことで、「行動を鏡のようにうつす」ところから名付けられました。

「誰かがあくびをしたら、つられて思わず自分もあくびをしてしまう」

ことがありますが、これもミラーニューロンがあくびをして、実際の動きにも反映されたと考えられます。

 ストリートでカッコいいダンスを目にすれば脳もカッコいいダンスを、バスケの試合会場で芸術的なダンクシュートを目にすれば脳もダンクシュートを、ライヴ会場で超絶ギターソロを目の当たりにすれば脳もギターソロを行っている、というわけです。

 他者のパフォーマンスを脳にインストールするミラーニューロン。

「学ぶ、は〝真似ぶ〟からきた」

 と言われますが、ミラーニューロンの発見は、この表現を裏付ける科学的根拠だと考えられます。ですから「よく視て学ぶ」は脳機能の面からも理に適った方法です。

〝キング・オブ・ポップ〟と称されるマイケル・ジャクソンは、子供の頃からステージ脇で他のパフォーマーの動きをじっと視てパフォーマンスを学んだ、というエピソードがあり、

「世界で最高の教育とは、その道を極めた人の働く姿を見ることだ」

と語っています。一流のパフォーマーは、一流の動きのコレクターでもあるのでしょう。

 現地に赴く、ライヴや公演を体験する、優れたパフォーマーの手ほどきを受ける、場に飛び込むなど、「全身で浴するリアル体験」は、これからの時代ますます大きなパフォーマンスの差となるでしょう。(可能性にアクセスするパフォーマンス医学より)

 次から次へと「初」を現実化し、メジャーリーグでの記録を更新し続けるベースボールプレイヤー・大谷翔平選手、ひとりの厳しい研鑽に次ぐ研鑽が、人間の運動と表現の限界のラインを突破してきた象徴的な例であるフィギュアスケーターの羽生結弦選手など、とんでもない若い世代が純粋にその実力で存在感を示す時代(「はじめに」より)


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