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わかりやすく藤原道長の時代を知るために〜『この世をば』〜

どうも、流-ながる-です。

いよいよ始まりました大河ドラマ『光る君へ』。
自分がこの時代について興味を持ったきっかけはなんだったかなということをふと考えた時、思い出した作品があります。

永井路子さんの『この世をば』です。新潮文庫で上下巻で購入して何度も読み込んでいました。持っていた文庫本のカバーがボロボロになってしまった後は、電子版も購入するぐらいにお気に入りの作品です。

大河ドラマ『光る君へ』の第一話を視聴して、また振り返るのもいいなと思いましたので、noteに少しだけ紹介してみようという試みです。本の紹介ははじめてなので何事もチャレンジということでやってみます。

教科書には載らない人物のほうが多いことを知る

『この世をば』は藤原道長を中心とした歴史小説です。著者は永井路子さんでこの他にも多くの歴史小説を執筆されています。女性に焦点を当てたものも多く、『この世をば』でも、道長の妻の倫子も活躍しています。
また、平安時代を取り上げた作品としては、藤原冬嗣ふじわらのふゆつぐがメインの『王朝序曲 誰か言う「千家花ならぬはなし」』、道長の息子である藤原能信ふじわらのよしのぶがメインの『望みしは何ぞ-王朝・優雅なる野望』がありますね。

2024年の大河ドラマ『光る君へ』の主人公の紫式部も登場しています。しかし『源氏物語』の作者として有名な紫式部はこの作品では中心人物ではありません。はじめて読んだ時は中学生だったので知らない人物が多く、とても新鮮であったのを覚えています。道長の妻である倫子についても教科書に載るということはなかったので、教科書に載っている以上に多くの人物が歴史に名を残しているということをよくよく理解しました。

わかりやすいけどもっと知りたくなる

道長が倫子と結婚したあたりから物語はスタートし、その死まで描かれています。冒頭は道長の妻となる倫子視点からで、結婚話からでいきなり政治の話が語られるわけではありません。自然と結婚と政治の話が融合していき、知らないうちにいつのまにか、理解できているような感覚になり、気持ちよく読めました。

史料としては、道長自身の日記である『御堂関白記』や、藤原実資ふじわらのさねすけの日記の『小右記』、藤原行成ふじわらのゆきなりの日記、『権記』など当時を生きた貴族の日記、その他にも『大鏡』、『栄花物語』など多くが挙げられていました。でもあくまで小説で、それぞれの人物に愛着を持てるような人間臭さや個性があります。それでいて難しそうなところはわかりやすく読みやすかったですね。

例えば、『尾張国郡司百姓等解文げぶみ』という史料に関係するエピソードが出てくるのですが、そのエピソードに加えて該当史料についての解説がさらりと入ってきます。メインの人物である道長に関するエピソードに加え、その当時の出来事についても丁寧に説明がされているので、読みやすいなと思いました。ドラマでいうと、ナレーションに近い印象ですね。その他にも、小説を読むのに知っておく必要があるワードについても説明がさらりと入るので、物語を楽しむことができます。

あとこれはもう好みになるのですが、人物の書き方が好きで、遠い時代の人々であり貴族という存在であるのに身近に感じることができます。道長については、それこそ『この世をば』のタイトルの元になっている歌のイメージがはじめにあったのですが、栄華を手中にしたやり手であるとか、平安貴族であるとかとっつきにくさを一気に取り払った人物設定でした。この人物設定にもそうなった理由がしっかりと感じられるので、「そうだったかも」と思わせてくるといいますか、それが読んでいて面白い部分ですね。本音をそのままぺらぺらと語る人物が少なく、その行動の裏を読め的な感じが好きでした。道長がだんだんと教科書で書かれている道長になっていく過程を見ていくのも面白いです。

また、系図も必要に応じて入っています。永井路子さんの作品ではよく系図が入っていまして、そのせいか作品にハマっていた頃は、ノートにいろんな系図を書くのが好きだったのを思い出します。出てくる人物の名前を書いたり、系図を書いてみたり、そんな楽しみ方もできました。

『この世をば』の内容とも照らし合わせて、大河ドラマがどんな展開になっていくのか、視聴をしていきたいなと思いました。

ここまで読んでくださりありがとうございました。


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