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数学ギョウザ

暖房がフル回転している。

入学当初は、これからどんな高校生活が始まるか楽しみだったのに、今では決められた授業を淡々とこなしてるだけ。

特に日本史の授業は退屈。佐山のボソボソとした話し方は眠気を誘う。それに体育、数学の後に日本史の授業は酷すぎ。体も頭もフル回転させた後だから寝落ちしない程が至難の技だ。

あの日も例に漏れず、爆睡していた。

そしたら夢に餃子が出てきて。特有のニンニク臭まで再現されていて。再現度高い、と思って目を覚ました。そしたら教壇で佐山が餃子を焼いて食べてんの。山盛りのご飯片手にむしゃバリと。なんとも美味しそうに餃子を頬張っていた。

その時、佐山と目が合った。

「斉藤、起きたか。何してるかって。見りゃわかるだろ、餃子を焼いてんだ。お前らいつも寝てるんだから、日本史の授業をしようが、山に登ろうが、餃子を焼いてようが同じだろ」

それが佐山の最初で最後の反抗だった。それ以来俺たちは日本史を餃子と呼ぶ。

「明日の時間割なんだっけ。体育に、そして数学餃子か」

また腹が減りそうだ。

終わり

#ショートショートnote杯

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