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王国(あるいはその家について) 草野なつか監督 2018年作品

英ガーディアン紙・英国映画協会〈BFI〉による年間ベスト作品に選出された日本映画ということで、気になっていた映画。
ガーディアンというのは、元々は、マンチェスターで刊行された、近年、名匠マイク・リーも映画化した「ピータールーの虐殺」と言われる民衆弾圧事件も取材した、中道左派・リベラル寄りの新聞で、音楽の情報も多く(Haward DevoteやMicheal Headの特集も読んだことがあります)、イギリスに滞在したときは、ガーディアンとフィナンシャル・タイムズはよく買って読んでました。そしてBFIはBritish Film Institute(英国映画協会)のことで、テムズ川沿いの開発地区(ロンドン・アイやミレニアム・ブリッジと同時期)にできたサウス・バンク・センターというコンサート会場(ロイヤル・フェスティバル・ホールやクイーン・エリザベス・ホール)美術館(ヘイワード・ギャラリー、テイト・モダーン)などアート・コンプレックスの一角にあり、映画館や珍しい映像が見れる視聴覚室そして、カルトな映画のDVD化などもしており、よく行きました。
そんなところが、ベスト作品に選出した映画なので、楽しみに菊川のStranger 映画館に行きました。2時間30分の長尺で、休職中の主人公が地元に帰り、結婚して、家を建て、子供もできた幼馴染の家へ行き、留守番で預かった子供を川に突き落とすというストーリーを、ほとんどが室内の稽古場で、台本を読みながらの台詞を何度も何度も稽古を繰り返し、役者の台詞の響きや表情が変化しながら、だんだんこちら側もストーリーに引き込まれていくという、かなり実験的な作品であるが、「ドライブ・マイ・カー」で脚光を浴びた濱口竜介監督作品の脚本も手掛けたことがある高橋 知由さんの脚本が素晴らしい。登場人物の会話だけですが、どんどん引き込まれる映画でした。

そして、エンディングで流れるのは、インダストリアルノイズのバンドがやる暗黒フォークですが、もう凄く気に入りました。テニスコーツもカバーしてるんですね。

シナリオブック。映画は、シナリオのシーンを取捨選択し、筋が伝わるようようにした上、再構成されているので、採用されなかったシーンを読む事で、物語の背景がより浮かび上がってきます。


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