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24時間テレビのマラソンが偽善だと思う理由

24時間テレビの偽善性については、色々な観点から指摘されてはいると思います。
まぁでも、それは別に良いんです。気に食わなければ見なければ良いので。
ただ、ランナーの端くれとしては、24時間テレビのマラソンについては一言言いたいな、と思うわけです。

24時間テレビのマラソンの一番気に食わない事!


24時間テレビのマラソン、だいたい、その当時に旬な芸能人(今年はEXITの兼近だそうで。怪我しないと良いな。)が指名されて、番組の間中マラソンをし、番組の終わりぐらいに感動のゴールをするってやつですね。
それの何が気に食わないかって?

それは、マラソンを実態以上に過酷なスポーツに仕立て上げてしまっている事

あれを見た人は、マラソンって、それは過酷な、死にいく覚悟をもってやるスポーツみたいに思うじゃないですか。そうじゃなくても、最後は足を引きずりながらゴールする、身体を痛めつけるスポーツのように見えますよね。そうする事で、ランニングに対するハードルをものすごく上げてしまっている、そういう映像になってしまってると思うんです。
それはね、ランニングの普及という観点からも、非常に良くない!

という事で、あの番組のマラソンのおかしい所を述べていきたいと思います。

実は冷静に計算すると、、、

24時間テレビのマラソンは、だいたい100キロに設定される事が多いみたいです。
100キロと聞くと、ものすごく感じますよね。まぁ確かに、練習なしで走れる距離ではないです。
でも、ちょっと冷静になって計算してみましょう。24時間テレビなので、時間は24時間あります。もっとも、ずっと走ってる訳ではなく、定期的に休みを入れて走っていて(それ自体は正しい)、なので、実動時間は20時間くらいと考えて良いと思います。(さすがに寝てる人はいないでしょうし。ウルトラマラソン経験者から言うと、あまり休むと身体が固まってしまって、かえって走りづらいんです。)

そうすると、20時間で100キロ、1時間では5キロ、進めば良いんですよね!

このスピードって、実は、走る必要、ないんですよ!
普通の人がゆっくり歩いて、1時間で4キロくらいなんです。さっさと歩くと6キロくらいまでは可能。なので、1時間で5キロって、ちょっと速く歩くくらい、なんです。

そう聞くと、過酷だ、と信じていた24時間テレビのマラソンが、違って見えてきませんか?

私がコーチなら

さて、24時間テレビのマラソンって、実は「マラソン」する必要がなくて、歩いてでもゴールできるものだ、という話でした。
ま、それでも、トータル20時間も歩くのって、かなり大変です。なので、そのための体力を付ける必要はありますし、真夏の番組なので、炎天下に動き続けるため暑熱順化は必要です。
なので、そういうトレーニングは事前に必要だとは思いますが、「ランニングの練習」が必要か、というと、それは疑問だな、と思います。
もし、私がコーチだったら、ランニングの初心者なら、絶対に走らせないです。
それより、たくさん歩いてもらう、普段から移動で歩く習慣をつけてもらって、たくさん歩くのが苦じゃないようになってもらう。歩き方の指導も、人によってはした方が良いかもしれないですね。その上で、暑さの中で動いて、汗をかく練習をしてもらいます。給水や塩分補給もしっかりして、体が汗をかく事に、汗で身体を冷やす事に慣れてもらう。そうすると、汗の成分も塩分の少ないサラサラした汗に変わってくるそうで、そうなるまで練習してもらいます。(もっとも、この練習はサウナでも良いですよ。)

そうやって、本番では最後まで元気に歩き続けて、無事に怪我せずゴールに辿り着けるように、導けたらな、と思います。
ただし。

そんなの観て、誰が感動するか? って話な訳で。

やっぱり皆さん、大変そうだから、過酷そうだから、そんななか頑張ってるから、感動する訳、ですよね。足を痛めて、痛めた足を引きづりながら、それでもゴールを目指す。そういう映像が、テレビも欲しいんですよね。
そういう意味では、私は24時間テレビのマラソンのコーチとしては、失格なのでしょう。

わざと過酷にしているのではないか

つまりね、私の言いたい事は、見出しに書いてる事。
過酷でない事を、過酷にして、感動を演出しているんじゃないかって事です。

だって、「時間内にゴールする事」の最適解は、なるべく走らず足を痛めないように気をつけて最後まで元気を保つ事、なんですよね。
先ほど、「私がコーチなら初心者は絶対走らせない」と書きましたが、ランニングって、前にも書いた通り、何万回もジャンプする運動で、その度に体重の3倍の衝撃が身体にかかると言われているんですよ、その衝撃を受け止めるだけの脚やフォームができていない初心者が、短い距離ならともかく、フルマラソン42キロを走ったら、多くの人は、どこかしら痛めてしまうでしょう。
100キロとなると、かなりの熟練のランナーじゃないと、ずっと走るのは危険じゃないかと思います。
なので、身体への負担の大きい、走る動作はなるべく減らして、なるべく歩いてゴールできるようにしてあげる、というのが、コーチの役目のように思います。(途中で足を痛めたら、それ以降は歩くのも遅くなっちゃいますし。)

で、そんな事は、ランニングの指導をしているコーチとか、長年やってるスタッフとかは、分かってる、と思うんですよね。
ただし、突然、指名される芸能人は、分からないでしょう。ランニングについての知識も経験もないでしょうし。なので、言われるがままにランニングの練習をして、付け焼き刃の練習でできた足で走って、耐えきれずにどこか痛めて、足を引きづりながらゴールする。
毎年、そういう物語を、見せられてるんじゃないかって思うんです。

EXIT兼近へのメッセージ


という事で、今年のライナーに選ばれてしまったかねちへのメッセージ。
もし、幸運にもこの記事を読む事があったなら、ここに書いてきた事を頭に置いて、どこかのタイミングで、足を痛める前に、走るのをやめて、歩いてゴールを目指すと良いと思います。歩く方が身体が熱を出さないので休憩も短く済むでしょうし。経験上、あまり休まず動き続ける方がかえって楽だったりしますので。給水やエネルギー補給も、歩きながらでもできます。そうやって休憩時間を減らせば、歩いてでもゴールに間に合うと思います。
旧来のテレビのくだらないお約束をくつがえしてきたかねちなら、できると思います。悪い大人たちの甘言に騙されて、足とか腰とか首とか、どこかを痛めてしまったら、その後の芸能生活にも影響します。そんな、他人が苦しんでるのを観て感動するような趣味の悪い人たちのために、わざわざ怪我する必要なんて、ないですよ。

ま、読む事はないでしょうけどね。無事に怪我せず終えられる事を、祈っています。

(この記事で引用した過去記事)


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