メリークリスマスではない日
お誕生日おめでとう。
家人に。亡き父に。
もう慣れた。近しい人を祝うため、誕生日ケーキを買いに行くのもはばかられる。サンタさんから買うのもなんだか違うのよ。予約なしでふと買って帰ろっか!なんてことができない。お誕生日優先列があったらいいのになあと思ったり。パン屋さんもワインコーナーも混んでいる。普通の食材が追いやられてる。まだ寒いのにイチゴが並ぶ。ラッピングペーパーもクリスマス柄一色だ。
イタリア在住中も、ウキウキしながら本場でモヤモヤしてた。教会の裏に住んでいたので、生のオルガンやミサをうっとり拝聴したり、シャンシャン気分で友人らとパーティしてても、心のどこかでハッピバースデー歌ってた。
でもねでも。イタリア語でクリスマスの挨拶BUON NATALE!(よきご降誕を!)だからちょっぴりしっくりくる。けれど父も家人もご降誕なんかじゃないしね。
子どもの頃からクリスマスのシャンシャン加減は大好きだった。空を走るサンタニコラウスを見かけたし、煙突がないからお風呂場から侵入するサンタの贈り物を見つけ感極まって大泣きした。
おでんをつつく日
でもねでも。人というのは不器用で。メリークリスマスとハッピーバースデーは両方祝えない。
今日はしみじみおでんをつつく。
老舗の練り物屋さんで、鍋いっぱいのおでん種を買ってきた。10合くらい炊けちゃう大きな旅する土鍋に、ぎっしり。昆布と鰹節でとった出汁からおでんを煮る。出汁の昆布も結んだ。大根やこんにゃくの下ごしらえも充分に。ゆでたまごもうまく茹だった。巾着餅はサンタニコラウスより。
今夜の我が家には別の祝い事がふたつある。おめでとう、そしておつかれさまでした。次のステージにわたしたちは出発する。
メリークリスマスでない日おめでとう。
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