ちょっとブレイク「土鍋を育てる」

生鮮食品がない。ここ数日、家族全員の繁忙につき、強いては、窯たき中につき今日も買い物にも行かない、ないない。タマネギとジャガイモとニンニク、残ったハーブが少し。せっぱつまった学生時代から、修行時代、究極をのりこえるのが得意だ。食材ひとつしかなくても、職業柄、器はたくさんある!と、錯覚で豊かな気分というか、根拠のない余裕で毎日を生きているらしい。

せっかくだから、有賀薫さんのタマネギスープをつくろう。焦がしてあめ色にする段階からスープに仕立てるまで、ひとつの土鍋で。このまま食卓に出せる。土鍋を焦がすことは怖くない。

(作り方は新刊「スープ・レッスン/有賀薫 プレジデント社」を参照!)

最後にスープ状態に仕立てるのに、もう一度加水するので、そのときにせっかくの旨みである鍋の焦げ付きを、木べらで落としながら加熱すれば、8割方の焦げは落ちるし、食後ふつうに洗うだけで大部分は元に戻る。一部、名誉ある焦げあとが残る場合もある。

下が10年使いつづけている初代の土鍋。当時、約2年のトライアルを経てこの土鍋の使用を確認したのち個展で発表された想いの詰まった一品。初代は線にも迷いがあったなぁ。それよりなにより、よく育ってくれているなぁとしみじみする。

イタリアでは、薪の窯に直接入れて使ってくれている家庭もあるので、それはそれは見事に育っていてうれしい。

最初のひとすじの焦げは「汚れ」として気になるものだが、だんだんと重なるグランジっぷりは、使い手の作品となる。つくり手は、きれいなままの器より、その人が映し出される器をみると、泣きたくなるほどうれしくなる。



INFORMATION

我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
Tamami Azuma
Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM(Ginza Tokyo)
2018年11月16日~24日
※21日休廊
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F

#有賀薫さんのレシピより
「にんじんの塩スープ」


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お礼に鳥の声を!
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tamamiazuma

うつわマガジン2018

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