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今週の日記#64 心臓を焼いた、入院日記

心臓を焼いた。
そのために週のほとんど入院していたので、今回は入院のあいだメモしていた行動記録をそのまま日記とする。

◇◇◇

0日目 入院準備

入院バッグはこんな感じ
(タオル、カトラリー、歯磨きセットは追加費用で借りられたのでそちらを利用)

これに加えて普段持ち歩くポーチや携帯やタブレットやメモ帳ボールペン印鑑などなど……を普段使いのバッグに入れて持っていった。

1日目

出発。朝早かったので前日までに荷物をまとめておいてよかった。
受付を済ませる。周りで受付をしている、おそらく同じ今日からの入院患者たちがみんな元気そうでビビる。みんなただの検査入院とかで、なんともなくて元気だったらいいなぁ。
病棟に到着するが、ナースステーションで書類を渡してから病室に入るまで1時間待たされる。前の人の退院に手間取っているようだった。待っているあいだロビーのテレビを見ていたら、家のすぐ近所の蕎麦屋に芸人が食レポをしにきていた。評判だが行ったことのない蕎麦屋だったので、退院したらぜひ行ってみたいと思う。
ようやく病室に案内される。4人部屋の、右奥。これで、過去の入院も合わせると大部屋の四隅のすべてをコンプリートしたことになる。別にめでたいことでもなんでもないのだけれど、ちょっと嬉しい。
薬剤師さんやら栄養士さんやら看護師さんやらいろんな人が来て説明や質問をされた。採血を採る。大病院なだけあってぜんぜん痛くなかった。「血管が細いみたいなので、細い針でゆっくり採りますね」と言われた。どこへ行っても褒められる採りやすくて健康的な血管を持つことだけが取り柄の私は、ちょっとショックを受けた。午前中に検査があると勘違いして朝食を抜きにしてしまったので、待ちに待った昼食にテンションがあがる。ごはんが220gもあってめっちゃ山盛り。ガツガツ食べた。青菜入りゆかりのふりかけを持ってきたのが大正解だった。普通のゆかりに比べてしょっぱすぎなくて、美味しい。おかずにあった冬瓜って、なんて読むんだっけ? と思って調べた。トウガン。もう夏なのに! とも思ったが、それも調べたところ、昔は夏に収穫したものを保存食として冬に食べていた名残りとのこと。なるほどなぁ。でも、あんまり私の口に合う野菜じゃないかも……。
昼すぎ、Youtubeでヘタリアの一挙配信を観る。ちょっと、世界史苦手人間的にはむずかしいかもしれない。しばらくして検査の呼び出し。外来の人も来る棟に青緑色の入院着を着てトボトボと行くのはちょっと恥ずかしい。心電図をとるとき、時間がかかるので寝てていいですよと言われ、不眠症のこの私が数十分そこらで眠れるわけなかろ、と思いながらも緊張していた疲れもあって5分でぐーーーーと寝てしまった。ホルター心電図(24時間計測するために貼りっぱなしにするやつ)を装着して病室へと戻る。Kindleでアンサングシンデレラを読むが、医療物は手術前に読むとちょっと怖いなぁ。フィクションの世界ではトラブルが絶えないし。現実はどうか分からないけれど。おやつを食べる。オモコロチャンネルを観て過ごす。最近観れていなかったからまとめて観られるのが嬉しい。パンケーキ食べ比べが美味しそうだし面白くて良かった。家に帰ったら極もちのやつ食べてみたいな。
手術の説明をしに担当の先生がやってきた。外来で診てもらった先生とは別の先生なのでこれが初対面。しっかりしてそうな先生で、外来の先生よりも100倍説明が分かりやすかった。ベテランの先生の説明ってなんであんなにわかりづらいのかな……。説明を受けて、思ったよりおおごとだぞこれは、と改めてビビったし、軽い睡眠導入剤みたいなのは入れずにやるってことは意識バリバリにあるってこと!? こわ!!とも思った。
夕食。じゃがいも入りの洋風オムレツ(後から家族に聞いたところスパニッシュオムレツというらしい)が美味しかった。
消灯までブレイバーンのニコニコ一挙配信を観る。本当はこっそり最終話まで観たかったのだけれど、普通に一気に観るにはカロリーが高すぎる……と思って消灯時間で断念した。スミスみたいな豪快な男が繊細な心に悩む展開が好きかもしれない。でもイサミみたいなクールそうな男が感情むき出しにして暴れたり叫んだりするのはもっと好きかも。
持ってきたお茶は術後安静時に飲む用なので、夜に飲む用として自販機でアクエリアスを買った。久々にスポーツドリンクを飲んだ。めちゃあまいな~。
心臓治るといいな。

2日目

6時半に起床。あまり寝られなかった(主にホルター心電図の不快感)。術後は寝て過ごさなければならないから、寝不足ぐらいがちょうどいいかも。夜行バスの寝られなさとはちょっと違う、イヤな感じの寝られなさだったなぁ。夜行バスの場合はむしろその寝られなさが心地よいともいえる。旅行の楽しさも相まってなのかな。
朝食を最後に、これから24時間食事が摂れなくなる。味わって食べる。つらい。
手術は昼すぎとのことで、自由に過ごしていていいよと言われたけれど、そわそわしてなにも手につかない。コンビニにでも行って何か探すか。アイマスクが欲しい。窓が東向きで、朝4時台から朝日がさんさんと眩しくて寝られないのだ。
アイマスクを買いにコンビニへ。病院らしく生活用品などが充実している。アイマスク、900円もした。百均で予め買っておけば良かった。でも、ちょっと立体的になっていて完全に光が入らないように工夫してあるようなので、900円は妥当の金額と言えるのかもしれない。それにしても高い。でも残り2日分の安眠には代えられない。
しばらくKindleで本を読んだりしていたら、11時半ごろに看護師さん二人がやってきて、いよいよですよ、と。手術着に着替える(着圧ストッキング? を履くのが難しかった)。でもまだ心の準備が出来ていない。看護師さんたちと、朝から眩しくて寝られない話など他愛ないことをだべりながら、自分の足で手術室の前まで歩く。部屋に入ったり進んだり曲がったり、扉を3回くらい通って、空間が無限にあるなぁ~と思いながら進んでいたら、医療ドラマでよくみるあの「使用中」のランプのついた扉が見えてきた。広い通路の右側の壁に5~6個も使用中ランプ付きの入口があって、あっけにとられた。ひとつだけじゃないんだ。
手術室に対してなにか明確なイメージがあった訳ではない。強いて言えば、医療ドラマでよく見るような銀色のデカい自動ドアがあって、ウィーンと開いて両手にゴム手袋をした先生がドッシドッシと入ってきて……本当にドラマのイメージだな。
前室のようなところの椅子に座らされ、担当の先生や麻酔の先生(?)看護師さん(?)臨床検査なんとかの人(?)やら5人くらいの先生から名乗られて挨拶をされる。なんか冠婚葬祭の式場みたいで緊張した。冠婚葬祭の式場に行ったことほとんどないのに。いや、手術室で葬とか考えたら不謹慎だな、うん。外来で会った先生もやってきた。手を取られたので手術前に挨拶として握手を求めてきたのかな? と思い握り返したら、そのまま手をひっくり返されて脈をとられた。近所のかかりつけ内科のおじいちゃん先生もそうだけど、手首の脈をとるならそうと言ってから手を取ってほしいものだ。手術名、部位(左右間違えたら大変だもんね)などの確認があり、自ら手術台に乗る。天井が青空だった。青空と、四角い窓みたいなものが貼ってありバックライトで光っていて、まるで本当の青空を覗いている気分になる。安心してもらうためのものなんだろうけど、天からダイレクトに迎えが来るかんじでちょっと怖いなと思った。死への近さを感じた。(死ぬような手術じゃないけど)

手術の内容に関しては手書きの手帳のほうに詳しく書いてあるんだけれども、医学的なことなので素人感想を載せると良くないかなというのもありここでは簡易的に書いておく。あと、痛すぎて思い出したくない、のもある。

・足の付け根から太い血管に管を通して心臓まで到達させ、心臓を焼いて不整脈を治すらしい。なんで焼いたら不整脈が治るのか仕組みはよくわからん。
・部分麻酔なので意識のあるまま心臓をちょっとだけ焼かれるが、まったく何も感じないので「いま焼いてるんですか!?」って聞いちゃった。焼いてますとのこと。
・前に読んだレポ漫画で心臓を焼かれて「ジャンプ主人公が覚醒した時の気持ちがわかった」と書いてあったので期待していたのだがぜんぜんそんなことなくてちょっとがっかりした(がっかりすな)
・緊張して全身から汗が吹き出し、足から垂れた汗が手についてそれが生暖かくてぬるっとしているものだから管を通している足の付け根から大量出血して垂れてきているのだと勘違いしてめちゃくちゃ焦った。
・痛みが出るときは「推しキャラは作中でもっと痛い思いをしている、それに比べたらこんなもの……」と思って耐えた。

前に読んだレポ漫画↓

脈が綺麗に整ったので、無事に焼灼が終わり、管が抜かれたりなんやかんやしたあと病室へストレッチャーで運ばれて戻った。ここから地獄の寝っぱなし生活18時間が始まる。針をさした足の付け根を曲げてはいけないため、翌朝まで体を起こすことが禁止されるのだ。術前に準備万端にしておこうと思ってベッドサイドにパイプ椅子を移動してそこにツボ押しボール(寝たままで腰が痛くなるので)・寝ながら飲むことができるキャップを付けたペットボトルのお茶・耳栓・アイマスクなどを置いておいたのだが、ストレッチャーからベッドへと私を動かす関係で椅子がベッドから遠くへ移動させられていて、詰んだ。看護師さんに頼んでペットボトルのお茶とスマホとタブレットだけ枕元に置いてもらった。
動かしちゃいけないというか、そもそも動けない。首から下がどんな状態になっているのか分からない。手術着のマジックテープのチクチクした面が太もものうらに当たって痛い。点滴も痛い、もちろん手術で管を通した足の付け根も痛い。痛み止めの飲み薬を貰って飲んだら速攻で効いた。95%くらい楽になる。ウトウトしていたら1時間後のチェックが来て、完全に目が覚めてしまった。若いから体力あるんだね〜普通は術後はぐったりしてるのよ〜と言われた。緊張がまだ続いてるだけです。ラジオを聴いたりドラマを観たりをローテして過ごす。端末を固定できるアームみたいなものを持っていないので、鎖骨あたりにタブレットを立てて点滴していない方の手で押さえる形になるため首が疲れる。夕食の時間になり、カーテン越しの隣のベッドから夕食のいい匂いがしてきて、グギギ……と空腹に耐えながら過ごす。夜になって、ベッドを30°まで起こすことが許可される。アンナチュラルを観ていたが突然死とか不審死とかが出てくるので怖くなってしまった。優しい内容と思っていたソーイングビーも手術の針を想起させるので怖い。ブリティッシュベイクオフを観る。面白い。すみっコぐらしの映画も観る。めちゃくちゃ面白い。早めに就寝。看護師さんにイスの上に置いてあったアイマスクを取ってもらって付け、睡眠用BGMをイヤホンで聴きながら寝ようかなと思っていたら、院内Wi-Fiが22時で切れるのでBGMも22時で止まってしまった。充電器を取ってもらい忘れたが呼ぶのも申し訳ないので、ポケモンスリープの記録は諦めて寝ることにした。

3日目

6時過ぎ、検温で起床。ちょっと早いな~。朝食の前に先生が止血バンドを外しにきた。これでもう起き上がっても大丈夫らしい。本当は前日の夜30°まで起こして良いよとなった時点で横向き寝も許されたのだが、痛くなるのが怖くて横向きになることができなかった。なので、起き上がるのもめちゃくちゃ怖い。おそるおそる起き上がる。気分はジェットコースターの登って行ってるとき、みたいな。時間をかけてようやく起き上がり、90°から見える世界を堪能する。朝食を食べる。食べ終わったころに看護師さんがやってきて、ついに立ち上がる。点滴も外され、暖かいおしぼりで体を拭き、元の入院着に着替え、顔を洗って、歯を磨いて、ずいぶんさっぱりした。汗もかいていたのでシャワーも浴びれたら最高だったんだけどな~。体重が1キロ増えていて、これはたぶん仕方のないことなんだろうけれど、ダイエットの努力が無にかえったようですごくショックだった。アンナチュラル2話を観た。リアルタイムで観たことあるかもしれない、この回。昼食と夕食が選択できるようになりますと聞いたので早速機械の前に行ってみる。「選べません」と表示された。悲しい。あとで聞こう。(結局、連休で忙しそうな看護士さんに聞くことが出来ずじまいでした)配膳マシーンはメリーさんのひつじを流しながらやって来るので、メリーさんのひつじを聴くだけでよだれがでてくる、パブロフの犬状態になってしまった。
昼食後、ちょっと横になる。看護師さんがやってきて心電図を一旦外してもらい、レントゲンを撮りに行く。寝起きなのでボーっとしていてよく話を聞いていなかったため、レントゲン後にそのまま心電図室のほうに行ってしまって、休日なのでシャッターがしまっていてビックリした。それにしても、休みの日の病院内は外来患者さんが居なくて静かで素敵だった。誰もいない大空間をひとり占めして踊りたい気分だった。ダンスなんてうまく踊れないけれど。2階から乗ったエレベーター内で先に乗っていた父と子供らしき二人が、「あのひと(私)12階に行くんだって!すっげー!」「そうだね」と会話していた。二人は7階で降りていった。大して変わらないじゃないか。無事に手術が終わったお祝いとしてコンビニで『クリームたい焼きチョコ』を買ってきて食べた。

ブレイバーンの続きを観る。やっと物語の本質に近づいた気がする。やや微熱が出てくる。術後は熱が出ることがありますと言われていたのでたぶんそれだ。しんどい。夕食。220gの白米ともこれでお別れか。家でもチートデイの日なんかに220gの白米、食おう。最高だった。食後にブレイバーンを最終話まで一気に観た。熱が37.5度まで上がった。

4日目(退院日)

6時半に採血で呼ばれて目が覚める。だから早いて。しょうがないのかな。そういえば、東京駅で迷子になった挙句夜行バスを逃すという夢を見た。近々東京に行く用事(しかも帰りが夜行バス)がある。正夢になりませんように。普段飲んでいる薬にデエビゴという眠るための薬があり、これはネットでよく悪夢を見るとかかれている。普段はそんなに悪夢を見ないのだけれど、悪夢を見たときは自分自身のストレスではなくデエビゴのせいにしてしまいたくなる。身支度をして、ホールでめざましテレビを見る。東京はアクティビティが多くていいな~。そうしているうちに最後の入院食、朝食。私の苦手な生野菜がいっぱい入っていた。なんとか頑張って食べた。入院してからすべての食事を残さず完食した。これには食堂のおばちゃんもニッコリだろう。
家族が迎えに来てくれたので、着替えをして荷物をまとめて退院。家族に「久々の娑婆の空気はどう?」と聞かれる。んなもん、最高よ。(久々ってほどでもないけどね)
帰宅すると、卒業式に行けなかったため郵送を頼んでおいた専門学校の卒業証書と、メルカリで頼んだ小物がいくつか届いていてゴキゲンハッピーゴキハッピーになった。これからお昼ご飯を食べます。

おわり

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