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【プロフェッショナルに聞く 第3回】株式会社夢相続 代表取締役 曽根恵子氏 × タミヤホーム 田宮明彦

不動産や税務、建築、労務など、さまざまなプロフェッショナルに、これまで積み重ねてこられたキャリアと実績をお聞きする「プロフェッショナルに聞く」。第3回は、株式会社夢相続の代表取締役・曽根恵子様がご登場くださいました。

相続に関わるさまざまな相談に応じ、税理士や弁護士、不動産鑑定士などの専門家と連携を図りながら円満解決に向けたサポートに携わってこられた曽根様ですが、そもそもなぜ、相続の分野に進出されたのでしょうか。そこには、相続問題で悩んでいるすべての方々の幸せを願う、曽根様ならではの温かな思いがありました。そんな曽根様のキャリアについてお聞きしました。

<プロフィール>
曽根 恵子氏

株式会社夢相続 代表取締役
相続実務士®
公認不動産コンサルティングマスター相続対策専門士
株式会社PHP研究所を経て、1987年、不動産コンサルティング会社を設立。2001年、相続コーディネートに特化したサービスを提供する株式会社夢相続を分社化。相続実務士として、14,900名以上の相続相談に応じている。書籍75冊、取材1,000回超、TV出演200回超。


相続コーディネートの道に進もうと決意した“ある出来事”

田宮「曽根様は長く相続実務士として活躍されていらっしゃいますが、相続コーディネートに特化したサービスを提供するに至った理由をお聞かせください。」

曽根様「1987年に設立した不動産コンサルティング会社時代に経験した”ある出来事”が、この道に入る大きなきっかけになっています。当時、私は『土地の活用を検討されているお客様にマンションやアパートのご提案を行い、建設した不動産の賃貸管理をさせていただく』というビジネスモデルを展開していましたが、次第にお客様のニーズが変化してきたのです。」

田宮「どのような変化があったのでしょうか。」

曽根様「『マンションやアパートの建設ではなく、土地を売って欲しい』というご要望が増えてきました。詳しくお聞きしてみると、ほとんどの方が『相続税の支払いのための売却』を余儀なくされているとのこと。『相続して数年経っている』という方もいらっしゃれば、『土地に抵当権がついており、利息を払いながらここまできた』という方もいらして、相続とは実に大変なものなのだと、素人心に感じたのをよく覚えています。」

田宮「相続に関わる問題の複雑さや難しさを実感されたのですね。」

曽根様「1,000坪の土地を持つオーナー様に古い貸家が空く都度、アパートを建てて頂くご提案をして、6棟のアパートを建てて頂いていました。そのオーナー様が60代で急に亡くなったのです。奥様と4人のお子様が不動産を相続することになり、税理士に依頼して相続税を計算すると、”3,000万円”という返答がありました。不動産の賃貸料で生計を立てていらっしゃったので、奥様やお子様が払えるような額ではありません。」

田宮「突然、旦那様が亡くなられたのですね。さぞかし、ご家族様はご無念だったことでしょう。」

曽根様「私もご家族のために、なんとか尽力したいと思いました。その結果、1,000坪の土地に私道を通し、物件ごとに分筆(※) 。土地の真ん中に私道を通し路線価を下げることで、全体の土地評価が下がり、相続税を2,000万円以下に抑えることができたのです。」

※一つの土地を分割し、それぞれ登記をする手続きのこと。

田宮「1,000万円もの差が出たのですか。かなり大きな額ですね。」

曽根様「それでも2,000万円近い相続税が発生します。そこで、一部の土地を売却して相続税に当てることになりました。」

田宮「不動産に詳しい曽根様が間に入ったことで、問題が解決したのですね。」

曽根様「相続人である奥様やお子様はもちろん、税務申告を担当した税理士の先生にも喜んでいただきました。ただ、当時は今のように税理士や弁護士など専門家同士の連携が図れていませんでした。そこで、税務や法律などの専門家とお客様を繋いで、相続人の方々が不安にならないように、相続問題の解決に貢献していこうと決意しました。」

生前からご家族で”どう遺すか”について話し合い、決めること

田宮「相続人の方が相続する財産は預貯金や不動産、証券などさまざまですが、特に不動産の相続はトラブルになりやすいと聞いています。」

曽根様「預貯金や現金でしたら簡単に分けることができますが、不動産の場合はそれが難しい。そのため、経済面だけでなく、感情面でも“納得できない”と感じる相続人の方が少なくありません。」

田宮「特にご家族にとって大切な住まいを相続するとなると、『思い出のある実家だから残したい』と思う方もいらっしゃるのでは?」

曽根様「思いはそれぞれですね。売却したいと考えるご家族様もいれば、残したいと考えるご家族様もいらっしゃいます。そのため、不動産をどのように相続するかが大きなポイントとなります。」

田宮「なるほど。」

曽根様「そもそも、財産を遺して亡くなった相続人の方の多くが、遺言書を遺していらっしゃらないんです。遺言書があれば、そこに書かれた内容を優先させることができるので、トラブルが比較的少なく済みます。しかし日本では、遺言書を遺す方はまだまだ少ないのが現状です。」

田宮「では、どのようにすれば、ご家族様全員が納得する“円満解決”になるのでしょうか。」

曽根様「それは、生前から相続についてご家族同士で話し合うことです。」

田宮「生前から話し合う?」

曽根様「一つ、成功事例をご紹介しましょう。ご両親と娘さん2人の4人家族のご家庭で、お父様が亡くなり、娘さんが独立し、お母様が一人で相続したご実家に住まわれていました。しかしお母様が高齢になり、庭の手入れが行き届かなくなり、広い一軒家を持て余すようになってしまいました。そこで娘さんとお母様とで相談し、実家を売って、駅に近いコンパクトマンションを2戸購入。1戸にお母様が住み、もう1戸は賃貸に出して家賃収入を得るようになりました。」

田宮「日頃から会話の多いご家族だったのですね。」

曽根様「そうですね。それが一番の対策です。お母様は今もご健在ですが、いずれ亡くなったら、二人の娘さんにマンションを1戸ずつ相続する予定です。」

田宮「まさに円満解決ですね。素晴らしい。」

曽根様「相続に関する話し合いは、なかなかし辛いと思います。そして、親御さんは子どもがなんとかしてくれるだろうと思っているでしょうし、お子さんは親が考えてくれているだろうと思っていることでしょう。けれど、私はこう思うのです。大切な財産だからこそ、生前から“どう遺すのか”を家族みんなで話し合い、答えを出しておくべきだと。」

田宮「とても勉強になります。」

大切な財産とご家族との思いを引き継ぎ、繋いでいく

田宮「弊社は解体工事業を主軸事業にしていますので、相続に伴う解体工事を担当させていただくことがよくあります。」

曽根様「不動産を解体・売却される場合、ご家族が遺した家具などの片付けに苦労される方も多いですね。思い出の品もたくさんおありでしょうし、その気持ちは私自身も理解できます。ただ、いつまでも片付けが終わらずにいるご家族様もいらっしゃるので、家の片付けも生前から行うことをお勧めしたいですね。」

田宮「家の片付けも生前に行うのですか?」

曽根様「ええ。生前から相続に関する相談をしていれば、自ずと、家の中にも目が向くと思うんです。思い出の品がたくさんあるのであれば、一つひとつを親御さんと一緒に取り出して、昔話をしながら上手に処分してほしいですね。」

田宮「『家具や思い出の品を処分するのは難しいのでは』と思っていましたが、お子さんが実家に帰る良いきっかけになるし、ご家族の交流も深まりますね。」

曽根様「解体工事で大切にしていることはありますか?」

田宮「弊社は解体工事の総合相談窓口となってお客様に対応する”解体工事コンシェルジュ”と、空き家の査定や解体工事の業者選びなどをコーディネートする”解体工事プランナー”という専門職を配置し、お客様お一人おひとりに寄り添ったサービスを心がけています。

曽根様「おもてなしを大切にしているのですね。とても素晴らしいことだと思います。」

田宮「ありがとうございます。曽根先生のお話をお聞きして、生前から相続について話し合うことで、親子間の絆をさらに深められることを学びました。『大切な財産とご家族との思いを引き継ぎ、繋いでいく』という意味からも、ぜひ多くの方に相続を前向きに捉え、これまで以上にご家族と会話を重ねていっていただけたらと願っています。その先生、貴重なお話をありがとうございました。」


タミヤホームでは、年間1,000件の解体工事を手掛けています。
また、解体工事だけでなく、解体工事発生前の、空き家や相続、不動産に関するお悩みを解決する無料相談窓口も開催しています。
解体工事や鍛冶工事、相続、空き家、不動産についてお困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。


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