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【佐渡市地域おこし協力隊インタビューvol.6】ふるさと納税推進担当 江龍田 崇大

『地域おこし協力隊』
その名の通り、地域おこしを考える団体に "協力する" 人を指すが、全国的に見てもその存在は勘違いされがちである。

先日、大学卒業後に協力隊になりたいという女性と出会った。場所はどこでもいいんですと言う彼女に、その場所に住み続けたいという気持ちがない場所で働くのは協力隊の特性上おすすめしないと伝えた。

たかが引っ越し、たかが転職。全国に数千人単位でこの仕事に就いている人間がいるのにも関わらず、なぜこんなにも不安定なんだろうか。

「どんな人がいるの?」「何をしているの?」
このインタビューは、私から見た "地域おこし協力隊という職業を選んだ仲間" をただ知っていただきたいという自己満足の備忘録である。



私から見た、江龍田 崇大というヒト

エリューデンはズルい男である。
佐渡のTAKAHIROと言わんばかりの甘いマスクと人懐っこい笑顔は周りの気を瞬時に和らげ、仕事に関しても、まるで全員が彼の手の平で踊らされていたのではというくらい美しく場がまとまる会議に出た時には、狙いを定めたように射る的確な一言へ喝采を送らざるをえない。カラオケに連れて行っても昭和歌謡からあの頃流行った歌までもうなんでもござれだ。

ズルいって言われても。

そんな江龍田さんは佐渡ジオパーク仲間でもある。十数回にわたる市民講座では佐渡の至る所をマイクロバスで周り、ジオパークとはなんたるかを共にじっくりと学んだ。講座毎に彼が綴るSNSの投稿には時折歴史を絡めた独特な感想があり、同じものを見ているのにこんなにも違う視点があるのかと感銘を受けた。今後もし江龍田歴史講座があればぜひとも参加してみたいものである。

宿根木でのジオパーク講座にて、吉永小百合ポーズ(?)な一枚


実直に、コツコツと

棚村:定期的にとっても分かりやすい活動報告を佐渡市地域おこし協力隊ブログで投稿している江龍田さんですが、改めて自己紹介をお願いします!
江龍田:ふるさと納税推進担当の江龍田 崇大(えりゅうでん たかひろ)です。出身は新潟市で、2021年3月に妻と2人で佐渡へ移住し、4月から隊員として活動しています。

棚村:江龍田さんはいわゆる "孫ターン" なんですよね? 
江龍田:そうなりますね。父親の実家である佐渡には小さなころから度々訪れていました。

棚村:佐渡へ移住される前は何をされていたのですか?
江龍田:東京のIT系会社でWebのエンジニアや法人向けの営業をしていました。関西圏の大学に行ったのでせっかくなら若いうちは東京で働いてみたいと思って。実際に働いてみると最初は辛かったけれど、周囲の人にも恵まれていましたし、よく言われるような都会の窮屈さは感じませんでしたね。優秀な同期や先輩方と働いていた時間は今振り返ってみてもとても刺激的なものでした。

棚村:そんな江龍田さんが佐渡に移住したきっかけはなんだったのでしょうか?
江龍田:新型コロナウイルスの流行が大きな理由です。元々新潟へはいつか戻ろうと考えていたのですが、在宅勤務が続いたこと、結婚を考えていたこと、父親の実家(現住居)が空き家になっていたことなどいくつかの理由が重なり、予定より少し早く戻ってきた形になりました。

アイランダー2022に参加した時の一枚

棚村:何かを決める時、適したタイミングだと良い方向にとんとん拍子で決まってきますよね。佐渡で協力隊として新たな生活をスタートさせた江龍田さんですが、普段はどんな業務をしているのでしょうか?
江龍田:佐渡市役所地域づくり課のメンバー2名と返礼品を拡充するために事業者を訪問したり、寄附者向けのPR活動などを行っています。令和4年度は4億円を超えるご寄付を頂き、前年度と比較して新規事業者23社・新規返礼品275点の追加がありました。佐渡市へのご支援、また事業者の皆様のご協力に感謝いたします。

棚村:協力隊最終年度の今年はどんなことをされる予定ですか?
江龍田:今までは新規の商品数を増やすことが目標だったのですが、3年目はそれに加え、既存事業者・商品ページのブラッシュアップに注力しています。丁度今は「佐渡市ふるさと納税特設サイト」の改善も行っているところです。

棚村:具体的にはどのような改善をされているのですか?
江龍田:主にポータルサイト(「ふるさとチョイス」や「さとふる」など)での掲載内容の写真の再撮影や、紹介文などの見せ方の改善を行っています。今はポータルサイトもスマートフォンから見ている人が主流なので、どんな魅力を持つ返礼品なのか一目で分かるような「サムネイル」のラフ案から考えたりしています。

「冷えても美味しい」が伝わるようにあえておにぎりの画像にしたのだそう

棚村:たしかに以前は米袋がドンっと表示されている印象が強かったです。2枚目以降の「朱鷺と暮らす郷米」についての説明など、返礼品の特徴も分かりやすい!
江龍田:こういった変更時には、確認作業などの工数の負荷を減らし、事業者さんに「ふるさと納税=難しい、面倒」という印象にならないように気を付けていますね。


新しい着想を積極的に導入するために

東京で働いていた当時の一枚

棚村:特設サイトのページを作るときの企画や、ふるさと納税の事業者登録の提案など、前職の経験が今もとても生きている印象を受けましたが、活動で困ったことや大変だったことはありますか?
江龍田:メンバーが増える昨年の9月までは約130事業者をひとりで周っていたので大変でした!(笑)  また、事業者と言っても株式会社から個人事業主までいらっしゃいますし、取り扱っている商品や、それぞれの課題、できることの規模が違うことなど色々なことを把握するまでは時間がかかりました。事業者さんを含め、周りに気軽に相談できる方が多いので、大変ではありますが困りはしなかったですね。

FeedlyのGoogle Alertを活用するなど、アイディアをキャッチするために常日頃からアンテナを張っている

棚村:前職に引き続き人に恵まれていますね! 反対に思い出深かったことはなにかありますか?
江龍田:多忙で中々新規の返礼品登録への腰が重かった事業者さんの背中を押すことができたことかな。あとはアースセレブレーションや、旅行系クーポン、PayPay商品券などの一風変わった返礼品など拡充できたことが嬉しかったです。PayPay商品券は飲食店や宿泊施設で利用できるのでより波及効果があるのかなと。実際に佐渡に来てもらえますし、旅行客に向けて佐渡が準備している感が伝わって欲しいですね。

\観光・帰省にも/ 返礼品で佐渡島へ行こう!【船・宿泊・PayPay商品券・交通・佐渡産みやげ】の記事はこちらから



良質な仕事をするためには良質な休日を

棚村:ここまでのインタビューを読むと江龍田さんは休日返上、仕事一筋!みたいに思われそうですが、オンとオフをしっかりとつけてバランスよくそれぞれ充実されていらっしゃいますよね?
江龍田:市役所に席があることで必然的に土日がオフになるのですが、土日は仕事用の携帯の電源は切っていますね。オフはBBQが好きなので焚火をしたり、サップをしたり、加茂湖でカヤックをしたり…

棚村:仕事とプライベートの境目が曖昧になりがちな協力隊という仕事の中で正直それはかなり尊敬しています(笑)  集落の鬼太鼓にも参加されていると伺いました。
江龍田:そうですね。ただ私は集落単位の受け入れではないため、協力隊として参加しているというよりは、住民のひとりとして参加しています。

棚村:実際に鬼太鼓を披露してみていかがでしたか?
江龍田:良かったですね。コロナで集落の集まりがなかったので地域と地域に住んでいる人を知るという意味でも参加して良かったですし、12年ぶりに復活した集落の鬼太鼓ということで集落の方々がとても喜んでくれたことが嬉しかったです。門付けの時におじいちゃん、おばあちゃんが玄関に正座をして手を合わせている様子を見て、神事に対する所作の美しさを感じましたね。


最後は幕末トークで

馬川亭内「サザンカ図書館」には江龍田さんによる文庫コーナーも

棚村:退任まで1年を切りましたが、退任後の予定は決まっていますか?
江龍田:佐渡にはいたいと思っていますが、まだわかりません!(笑) 残りの期間で考えていきたいですね。

棚村:以前、自分は起業をするようなタイプではないと話されていましたが、そこに変化はありますか?
江龍田:そんなこと言ってたっけ(笑) 
そうだなぁ… 私が目指すのは小松帯刀のような人間で、めちゃくちゃマイナーだと思うんですけど当時の薩摩で偉人を挙げるとしたら、西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀、この3人! 未来を描く人の裏で実務をゴリゴリ回す人間になりたいんです。チームには理想を描く人、実務を回す人、それを発展する人が必要だと思っていて、私はトップに次ぐ裏方のNo.1として現場を回していきたいですね。

棚村:日頃の江龍田さんの働きを見ていると目指している像が明確に伝わってきます。最後に、佐渡の一番好きなスポットを教えてください!
江龍田:やっぱりアレじゃないですかね、『相川の小川砲台跡』じゃないですか?

棚村:… なんですか?
江龍田:あれ、ご存じない? これは秘密にしておきたいマイナーなスポットなんですが…。幕末の時代って異国の船がたくさん日本に来訪してきたので全国に砲台を作ったんですよ。現存しているのが佐渡島内だとここのみで、砲台の場所にするってことは地形的にも見晴らしが良い訳ですよね。ここに立つと相川の海の綺麗さはもちろんですが、「昔はここにロシアの船とかが来ていたんだなあ」というような浪漫を感じることができます。

棚村:めちゃくちゃ目が輝いてますね。そして心なしか饒舌に。
江龍田:景色的には小川砲台跡が一番なのですが、歴史的には沢根の『励風館 (れいふうかん)』が一番ですね。

棚村:れい…? どういう字ですか??
江龍田:励風館、ご存じない?  茶室風で、佐渡で初めての学校だった建物です。沢根だんごで有名なしまやさんにも励風館にちなんだ「励風最中(れいふうもなか)」というお菓子もありますよ。春先には励風館の草刈りなどのボランティアにも参加しました。励風館はもう少し日の目を浴びても良いスポットですね。あともうひとつは『真野御陵の入口にある、吉田松陰が来た時の漢詩が書かれた石碑』

棚村:サラっと3つ目いきましたね。
江龍田:幕末の有名人が佐渡にも来ていたんだなあとシミジミしますね。天皇が佐渡にいたってすごいことですよね。我ながら独特の視点を持っていると自分でも思いますが、そういう視点からも佐渡は楽しめる場所ですね!




真面目で、慎重で、それでいて茶目っ気もたっぷりのエリューデン隊員。
何やら新しい動きも始まったみたい?
今後の活動は佐渡市地域おこし協力隊活動ブログをチェック!


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