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無限遠に、ピントを合わせる。

「無限遠」という言葉が好きだ。

そもそもカメラ用語なのだけれど、たぶん、僕はきちんと意味を理解できていない。ただ、撮影技法を調べていたのだったかな?何かの拍子に「無限遠にピントを合わせる」というフレーズを聞いて、いっぺんに好きになった。

無限遠に、ピントを、合わせる?

もしかしたら無限遠は、「これ以上ピントを合わせられない距離」という、もっと味気のない、もっと消極的な言葉なのかもしれない。でもまあ、いいのだ。物事には、誤解しておいた方がいいということもある。自分は、「無限遠に、ピントを合わせる」可能性がある人生の方がいい。

冒頭の写真は、千葉市にある写実絵画専門の美術館、ホキ美術館。それほど足繁く通えているわけではないのだけれど、とても好きな場所だ。写真は、美術館の建物ではなく、建物から駐車場にレンズを向けて撮った1枚。枝ぶりのとても素敵な木が立っていて、いつか絵にできたらいいなと思い、記憶の補助のためにシャッターを切った。

以前、風景画を習う機会をいただいたK先生に、この枝ぶりのいい木の写真を添えて、先生のおかげで絵を描く気持ちが高まっています、この風景を、いつか絵にできたら素敵だと考えています、とメッセージを送った。K先生からは、誠実な、風景画として成立させるための指針が添えられた返信をいただいた。ありがとうございました。

去年の年末にふと、ホキ美術館の隣にキャンプ場があることを知った。

美術鑑賞
キャンプ

という、とても遠いところにある2つの事象のそれぞれに、視認するのに十分なほどの光が当てられ、一枚の絵の中に収まっている。「無限遠にピントが合った」感じがしたので、ピントがボケる前に、生まれてはじめてのソロキャンプをしてきた。たくさんの風景画を見た、その足で。

生まれてはじめての、ソロキャンプ。

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