石井妙子著『女帝 小池百合子』の感想
今、話題の本を読みました。『女帝 小池百合子』。
都知事選を前に読むべき本とか言われていますが、読んだからといって誰に投票すればいいのか微妙な気もしますが・・笑
で、感想を端的に言うと、「おもしろい。でも終盤が残念。」そんな感じです。
序盤は、とてもおもしろい。小池百合子という人物がどのようにして小池百合子に成っていったかーというのを幼少期の環境や家族などの細かい調査やインタビュー等で語られており、
「ほーなるほど~」
「なんかちょっとかわいそうやな~」
という感じで、詳しくは言いませんが、そら多少は歪んでも仕方ないかなあと感じさせられる環境。
それに、自分にも小池百合子の経験の小規模版なら経験したかもなあとか。まあ、とにかくおもしろい。
そこから中盤にかけては、政治家になるまで。エジプト・カイロでの生活ぶりやキャスターとして成り上がっていく姿が描かれていて、
「小池百合子っぽいな~」
「こんな奴まわりにおったらしんどいな~」
という感じ笑
また、常人ではありえない肝の座り方で「ウソ・大げさ・紛らわしい」のJAROを地で行くキャラクターに逆に感心するというか、近所にいたらいややけど遠巻きには動向を見守りたいと思わせる魅力すら感じる。
中盤からは政治家になってからの話。
細川⇒小沢⇒小泉⇒安倍…と、時の有力者に擦り寄り利用し裏切りながら、のし上がっていく。
上手に敵を作り、メディアを活用しながら、最終的に大臣まで登り詰める。
そんななかで、起こった水俣病訴訟やアスベスト訴訟、拉致問題では、満足な対応をせず弱者を足蹴にする。
この辺まで来ると、幼少期の環境やバイタリティ溢れるキャラクターとかで、許容できる範囲を超えてくるので、小池百合子が嫌いになってくる笑
で、終盤。
都知事らへん。ここがなあ・・・という感じ。
なんとなく、この作者の方は左寄りの人なんだろうなあとは、いろんな言葉尻とかで感じてはいて。
それでも拉致問題とか題材によっては、ゴリゴリ右派の西村眞悟にインタビューしてたり、言葉を引用したりしていて、中道に寄せてるというか、フェアに書いているんだろうなという感じだった。
けど、築地市場移転の話になると、だいぶ一方的。
移転反対派の意見ばかり出てくる。
移転賛成派は全部、東京都に丸め込まれていて内心は移りたくないみたいな前提の話になっている。
しかも、豊洲の土壌が汚染されている云々の小池百合子の主張については、特に反論なし。これまでは、すべての小池の意見に反論なりツッコミなりが入っていたのに。。ん?ってなる。
これまでの流れであれば、手を組む相手を細川⇒小沢⇒小泉、敵を自民党⇒社会党⇒中国・韓国 と設定し、自分を演出してきたのだから、
都知事となってからは、これまでのポジションとは真逆にいる共産党と手を組み、ありもしない問題を作り上げ、それに対応することで自分を演出しているというのが自然な流れのはず。
(足立康史衆議院議員によると、都議会共産党が都の予算に賛成したのは39年ぶりだそう)
そして、それによって道路の建設が遅れたり、いろいろ弊害があったはずなのに、そこはあまり触れない。
築地移転を反対していた人たちの思いを踏みにじった的なことにしかなっていない。まあ、それも一面的にはそうなんだけど、それはちょっと一面的過ぎやしませんかーという感じ。
で、こうなると、私がまだ学生とかのころの話で記憶もあいまいなアスベストの話とかも、もしかしたら片面しかこの筆者は語ってないのでは?と、疑いたくなってしまって、ちょっと冷めちゃう。
できればフェアを貫いて、冷めないまま読み切りたかったと思ってしまう。
ということで、終盤が若干残念ではありましたが、基本的にはおもしろい。というか、超おもしろい本なので、読んで損はないと思います。
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