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【夏の名残を味わう】梅酢に漬けた鶏胸肉のソテー

今年はじめて梅干しを漬けました。うまくできてとっても嬉しく、ついでにそのときに出た梅酢をボトルに入れて保管していました。その姿もとってもキュート。でも、使い慣れない調味料なので、使う機会をいつまでも伺っていました。

先日、その梅酢を使って「酢鶏」を作ってみました。そのときにうっかり梅酢を餡の「酢」の代用として使用してしまい、とても塩辛くなってしまったんですよね。梅酢は梅を塩と焼酎に漬けたときに出る液体なので、当然塩辛いです。酢と捉えるのではなく、「梅風味の塩液」だとそこで再認識しました。

だから塩代わりに使って、秋と冬の間の今、夏を思い出せるような爽やかな鶏胸肉のソテーを作ってみました。

ソテーはモモ肉だけのものではない。胸肉もとても美味

パリッと焼き上げられた皮。食べなくてもわかるうまさ。

これまで幾度となく鶏モモ肉でソテーを作ってきました。それが30を超え、物の味方が変わってきたからでしょうか、胸肉を使う頻度が増えました。それは単に味の好みが変わってきただけというわけではないように思います。

モモにはモモの、ムネにはムネの良さがあることに気づき、それを自分の機嫌や体調に自然と合わせられるようになってきたのかもしれません。

いつもはシンプルに塩で下味をつけてソテーにしていたのですが、梅酢でも作れます。梅の味はしません。それでも塩だけで作るよりもどこか優しく、軽やかなソテーになる気がして梅酢を使う意味はあると思っています。味だけでなく、梅酢という自家製の調味料を使う喜びも感じられます。梅酢を使う、という事実だけでなんだかときめいてしまい、前日から「早く焼きたい」とそわそわしてしまいます。

材料 所要時間60分(放置時間含む)
鶏胸肉 1枚(200〜300g程度)
梅酢 大さじ1
オリーブオイル 大さじ2

お好みのソースを作ったり、マスタードをつけたり自由にアレンジしてください

作り方
1 鶏胸肉に大さじ1の梅酢を軽く揉み込む
2 室温に15分ほど置いた後、キッチンペーパーで表面の水気を拭う
3 皮をピンと張り、オリーブオイルを入れたフライパンに皮目から投入
4 皮目全体にオイルがつくように撫で付けて、弱目の中火にかける
5 アルミホイルをふんわり被せ、そのまま15分ほど焼く
6 皮がこんがりと焼けていたらひっくり返す
7 アルミホイルをかけ直して、5分ほど焼く
8 器に引き上げて、10分ほど休ませてから食べる

レシピのポイント

  • 水分をしっかり拭き取る

  • 皮目から焼く意味、裏表同じ時間焼くのではない意味

  • アルミホイルを被せる意味

  • 10分休ませる意味

水分をしっかり拭き取る

ここは丁寧に。パリパリ度にも関わります。

水分はしっかりと拭き取りましょう。身側はそれほどこだわらなくても構いませんが、皮側はしっかりと拭き取りましょう。水分が残っていると油はねが多くなりますし、焼きムラの原因になります。

梅酢で作るのは少しトリッキーですが、基本的には塩で作るのと工程は同じです。塩で作る場合は、肉の1%の重量の塩を両面に振って水分を出します。だいたいスーパーで売られている胸肉1枚が200〜300gあたりだと思うので、2、3gでしょうか。両面まんべんなくで問題ないですが、私は皮パリになれというおまじないのように皮側に気持ち多めに振ります。

私は梅干しを塩分濃度18%で作ったので、大さじ1(15ml)の梅酢に15×18%で約3gの塩が含まれている計算です。塩を使うときとだいたい同じ分量になりますよね。梅酢を使う場合は、塩分濃度によっても味わいが変わると思うので、調整してくださいね。ちなみにこのソテーはかなり優しい塩味です。

普通に塩だけで焼き上げるときは、ジューシーに仕上げたり、臭いを軽減させるために塩前にレモン汁や酒を小さじ1程度かけることもあります。今回はその役割も含めて梅酢にすべて任せました。これはかなり万能なのでは?

皮目から焼く意味

皮目からじっくりと。本当にそれだけです。

もし皮が嫌いという人がいても、必ず皮付きで焼いてほしいです。肉にダイレクトに火を通すと、火が通り過ぎて肉が収縮し、肉汁が流れ出し、パサつきの原因になります。皮というワンクッションを挟むことで、身本体への熱の伝わりが穏やかになり、じっくり火を通せるからしっとり仕上げられるのです。しかも出来上がる頃には最高に香ばしい。良いコトづくめです。

皮で身を包み込んでから焼く。可愛くないですか?

だから皮側を時間をかけて焼きます。身側から多めに焼いてしまうとパサつきやすくなります。皮がパリパリで身の半分あたりまで白くなっていることを確認してから裏返して身側を焼きましょう。

アルミホイルを被せる意味

フライパンとホイルにしっかり隙間があるように。

鶏肉のソテーを焼くときは、蓋はしなくても構いません。多方向から熱が伝わりやすくなり、上述した皮をクッションにした熱の通し方ができなくなります。だからがっつり蓋をする必要はありません。

このレシピでアルミホイルを被せるのも蒸し焼きのようにするための蓋という趣旨ではなく、油を撒き散らしたくないから被せています。

鶏のソテーはとにかくコンロまわりが汚れるのが難点。ソテーはとてもおいしいのに汚れるのが嫌でもう作りたくないとなると勿体無いので、多少肉への影響はあるかもしれませんが、別に良いのです。我々はプロではないので。蓋なしで作ったものと食べ比べたって私は判別できないと思います。写真のとおり十分皮パリに仕上げられますよ。

それでも油は跳ねます。空いているスペースで野菜を焼くのも少しは油跳ね防止になるので、ネギなんかを焼くと良いですよ。

10分休ませる意味

マスタードをのせても美味。でも何もつけないのが私は好きかも。

焼き上がりをすぐに食べるのも全然おいしいのですが、焼きたては肉汁が内部で暴れ回っています。カットしたときに肉汁が流れ出るのは、ちょっと勿体ないですよね。せっかくなら口内でブシャっと溢れ出て欲しいので、肉汁を鎮静化させるためにひと呼吸おくと良いです。これはステーキなど塊肉系全般にいえることです。

とはいえここも好みなので、熱々を食べたければ焼きたてを食べてください。誰も咎めません。溢れた肉汁は付け合わせの野菜などに塗りたくって食べてもおいしいので。


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