【土曜日は一首評】少しずつ嫌いに傾きゆく人に手品をわれは見せているなり/花山周子『屋上の人屋上の鳥』
『桜前線』をたのしむときは、短歌の方を先に見てから、山田航氏の解説を読むようにしている(本の構成は解説→短歌の順になっているけど)。
今回、花山周子の短歌を読み終えたあとに彼女が美術大学出身だとわかって、やっぱりそうか、という気持ちになった。それはもちろん、彼女が絵画をテーマにした歌、たとえば〈デッサンのモデルとなりて画用紙に十字よりわれの顔は始まる〉とか〈美術館を巡り巡って落ちゆけるわが内臓は深海にある〉を詠んでいるからというのもある。んだけど、それ以上に、もっと感覚的に