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「スパイア 蠱毒の妖姫」第一話公開&制作裏話

かねてより制作中でした映画「スパイア 蠱毒の妖姫」
第一話を公開しました!


鳥取県にある人形峠。
古来より虫の妖怪伝説があり、ウラン鉱山跡でもあるこの場所を舞台にした怪奇オカルト・特撮怪獣映画。

今作、クラウドファンディングで資金を集めて制作しておりました。
まずは物語の冒頭、第一話を制作・公開を目指すとクラウドファンディング終了時にお話しましたが、それから予定の延期が重なり、かなり遅くなってしまい申し訳ありません。

サイトでのクラウドファンディング終了後も支援や協力してくださった方々もいました。本当にありがとうございました。

撮影用スパイアの制作に半年以上かかってしまったので、二話以降はより制作のスピードを上げていこうと思います。

撮影用スパイアについて詳しくはこちら↓

まだまだ、前途多難ではありますが、最初のひと段落として、第一話までの制作裏話を語っていこうと思います。

メインキャストは主人公、三崎玲花を演じる才子さん。
その助手、蝶野和也を演じる山岸赤夏さん。

今作の肝は、この二人の掛け合い。
本編をご視聴頂いた方はお分かりかと思いますが、非常に台詞量が多く、言い回しが独特なシーンが多いです。
自分で書いていてなんですが、かなり演じるにあたって難しい役だったと思うのですが、私の考えていた以上の素晴らしい形で演じてくださりました。

才子さんとは主人公ということもあり、三崎玲花というキャラクターを作り上げていくにあたって何度もディスカッションをしました。才子さんは舞台やステージ、メディア出演の経験も豊富で、さすがの役作りと演技。
おかげでイメージぴったりの三崎玲花となりました。

山岸赤夏さんは、本格的な芝居は初経験でありますが私とは付き合いが長く共に創作活動などもしてきました。
(このブログを古くからチェックしてくださってる方はご存じかと思います)
故に、こちらの描きたい意図を読み取って演じてくれました。

人形峠で何やらたくらむ謎の男、遠藤竜也を演じるのはPhantomさん。
タバコを投げ捨てる、看板を蹴り飛ばす、「ポルノや暴力表現がない世を」と主張するラジオを聞きながらいかがわしい本を読むといったコンプライアンスなど存在しない、こちらも癖の強いキャラクター。
イメージ通り、悪い悪い奴として演じていただきました。

ラストに声だけ登場するキャラクター、武田一貴を演じるのは平一平さん。
彼も今後、重要な役どころになってくるので二話以降にご注目ください。

映画冒頭、オープニングアニメが始まる前の語りは活動弁士、坂本頼光さん。
活動弁士とは無声映画に傍らでリアルタイムで声を当てると言う伝統的な芸能業。
坂本頼光さんは、水木しげる作品にもゆかりのあるベテランで、この妖怪をモチーフにした物語の導入には彼しかいないと思いお願いしました。

多くの方々の協力で作品とキャラクターに命を吹き込むことができました。



坂本頼光さんの語りから始まるオープニングアニメ。
制作はAtelier Tukiの島田つきさん。

以前、仕事で街頭紙芝居の映像を撮ったことがありましたが、とても興味深く素敵な世界だったので演出に取り入れてみました。

このオープニングは自分の中でけっこうはっきりしたイメージがあり、何度も打ち合わせをしてこだわって作っていきました。
私が書いた絵コンテを元に作画・アニメ化してもらいました。


昔話の絵本と古い妖怪画や地獄絵をモチーフに。
ちょっと危険な臭いを咥えて。

炎が青いのは、放射能のチェレンコフ光をイメージしています。

ちなみに、アニメ作画の島田つきさんは、冒頭のスパイアに襲われる女性役でも出演していただいています。
走るカットを画角を変えていくつも撮ったのでシャトルランなどと言われる現場に。
画家にシャトルランをやらせる映画……無茶な要望に応えていただきありがとうございました。

今回、時間がかかってしまった要因に脚本の路線変更というのがありました。
私は色んな所で語っているように平成ガメラが好きで当初は、ああいう路線のストーリー展開で考えていました。

しかし中々、筆が進まず、書いててもいまいちな感じに。
色んな作品を見返したり、身近な人と話してるうちに、あくまで平成ガメラとかは好きな作品であって、好きなジャンル・作りたいジャンルではないということに気付きました。

じゃあ、自分が書きたいものはどういうものかというとシリアスでリアルさを重視よりも、ハチャメチャかつブラックな要素を含んだエンタメ作品なんですよね。
過去に自分が作った作品で一番受けが良かったのは「ブロッコリー・ヘッドボンバー」だったので、他者から求められているのもそういう路線なんだと思います。
そこから路線変更し、主人公二人もちょっと(?)変わったキャラクターとして、ちょっときわどいネタとかバンバン突っ込む感じで書き直したところ、かなり筆が乗って書き上げたので、やっぱりこっちの方が向いてるんだなと。

ここに気付かずに無理やり書いてたら、なんていうか長峰さんみたいな主人公が、平成ガメラみたいな世界観で活躍して、そこにオカルト要素足して、なんならちょっと闇を抱えた美少女でも追加で出す、みたいな感じになってたんじゃないでしょうか。
それじゃ、平成ガメラやエヴァンゲリオンの劣化パクリにしかならないし、そんなもん作ってもしょうがないので。

自分らしさを出した脚本にしつつも、過去に影響を受けた作品の良い演出・技法などは積極的に取り入れていこうと言う意識で制作しました。

また、過去に見た映画・名作と言われる映画を改めて見返し、脚本や演出の参考にしました。

まず自分が怪獣映画を好きになるきっかけであるVSゴジラシリーズを全作鑑賞。
そして東宝特撮の原点である初代ゴジラ、初代モスラ、ラドンも観ました。

今作はホラー要素もあるのでホラー映画研究も。
原作を中学のころ読んで恐怖した「黒い家」。
ホラー映画のまとめで必ず名前が挙がる「ほの暗い水の底から」。

他にも「バトル・ロワイアル」や「クロスファイア」など多感な時期に影響を受けた作品を見返しました。
第二話以降に向け、今度は小説など映像以外のコンテンツも再読・研究をしていこうと思います。

※撮影用に実家から持ってきた本棚。懐かしい時代の映画のVHSが……本当に、この辺りの作品に育てられたんだなと感じます。

やはり怪獣映画なのでたくさんの子どもたちにも見てもらいたいと思っています。
第一話は人間メインなので子どもには退屈かもしれませんが、二話以降、怪獣がこれでもかってくら暴れ散らかすシーンを作って。
冒頭から、数分おきにスパイアの姿をチラ見せしようとは意識しました。

子どもってのは案外に、残酷だったりアカン感じにワクワクしたりするので、オープニングとかはそういうの意識してつくりました。
親が顔をしかめるとかは、そうでもいいんですけど、子ども自身が見てて嫌な気持ちになるのはいけないのでその辺りは意識して作ろうと思います。

※雪の人形峠でのロケ

今回の撮影ではiPhoneと自撮り棒を積極的に取り入れました。

例えば冒頭の走るタイヤのアップは、走行しながら窓からタイヤの横に自撮り棒を伸ばして撮影(危ないので道路じゃないとこで撮ってます)。

逃げる姿を足元から撮ったカットも、自撮り棒持って並走しながら撮りました。
他にも机の隙間から撮ったり、複数のiPhoneで同時に色んな画角から撮影した素材をつなげたり。

どうしても機材やスタッフの規模は小さくなりがちなので、なら業務用ではし辛い小回りを活かした画作りをしようと。
最近のiPhoneは4K撮影できるので画質も綺麗ですし。

スマホと自撮り棒使った撮影テクはTikTokでキラキラ系女子の方とかが公開してたのを参考にしました。


今回はミニチュア特撮、というのを一つの売りにしています。
第一話はスパイアの登場が少ないですが、実はけっこうミニチュアを使用しています。

冒頭の妖怪画。


人形峠にやってくる車。


大量のポスターが貼られた壁、この辺りもミニチュアです。


当然、スパイア登場シーンも。

段ボール箱。
一番上にあるのは鳥取県名産の二十世紀梨。

ペーパークラフトの段ボールに、梨記念館で見た昔のポップを貼り付けました。


スパイアは、,ストップモーションと、個別のパーツをそれぞれ直接動かしたのを後から合成という手法で動かしています。


最近、AIが色んな意味で話題となり、クリエイター各界でも賛否が起こっています。
私は映画の小道具とかデザインするのによいなと思い、積極的に取り入れてみることにしました。

AI作画を使用したのは、

冒頭の幽霊画。

いかがわしい雑誌。

月光工業のポスター。
AI生成の画像にこちらで作ったロゴを乗せました。

先住民の呪いのイメージ。



放射能のイメージ。

人間が描くとセンシティブになりがちな題材もAIは容赦なく描いてくれます。
何より、フリー素材と違って完全に一点ものだし権利関係も気にしなくてよいのが良いです。
AIで描く絵に対して色んな意見があると思いますが、実際使ってみた意見としては、思った通りの絵を出すのはなかなか難しくテクニックや手直しが必要になって来るので、AI絵というのも一つの芸術ジャンルとして認めてよいのではないかと考えます。

一方で、ちょっとした小道具でもAIではなく人の手で制作したものもあります。

作中でもひどいキャラと言われていたむしコロちゃん。


絶妙にひどい、ゆるい感じにしたかったのですが、その辺りはAIにはまだ出せないです。
デザインはよろず屋「ちょもーねこ」さん、作画は「Atelier Tuki」さん。


月光工業のロゴ。
こちらもデザインがよろず屋「ちょもーねこ」さん、作画は私がしました。



今作は音楽も全てオリジナルで制作していただきました。
私は音楽は門外漢なのでこれまではフリー音楽かクラシックを使用することが多かったですが、やはり映画は音楽も大事なので。

音楽制作はよろず屋「ちょもーねこ」さん。
メインテーマから冒頭のラジオで流れる曲、更にスパイアの鳴き声や、効果音まで制作していただきました。
こちらも何度も話合いながら制作。音楽知識がないので曖昧な言葉しか出せず、申し訳なかったです。
そんなこちらの希望をくみ取ってしっかり応えていただき、感謝です。

個人的な想いとして、作品を通してオカルトや陰謀論に夢があった時代を再現したいと思っています。

宇宙人解剖フィルムとか、ノストラダムスの大予言とか、学校の怪談とか、河童のミイラとか、ネッシーとか、どう見てもやらせが大半だけどまだたまにガチっぽいのが混ざってる心霊写真とか。

そういうので普通に盛り上がれるのが楽しかったです。

最近は大真面目に受け止め過ぎてカルト化するか、はなから嘘扱いで冷笑されたり強く批判されたり、極端な気がします。
嘘かもしれないけど、ありえないと思いつつも、全力で乗る、楽しむ、というのが好き。

昔やった台本で、天使を信じてるかという問いに

「信じてるかっていえば70%くらいかな? いたらいいな、素敵だなくらい」

てセリフがありました。
私のオカルト・陰謀論にへのスタンスはそんな感じです。

オカルトブームがあったが90年代後半、世紀末というのもあって映画とかも独特の薄ら暗い空気を纏ってた気が。
今回の作品はあの空気感を出したい、でも単なる再現や懐古主義では意味がないので、今の時代に合わせた形で一から新しく作るのを目指しました。


じゃあ、そういうオカルト的な世界を表現するのに、鳥取県っていうのが強みになるかなと考えました。
鳥取県って、正直なところ誰がイメージしてもド田舎じゃないですか。
都会を舞台にしてたら、現代日本にこんなとこ無いだろと突っ込まれそうな画でも、田舎なら成り立つんじゃないかと。
レトロかつ暗い、それこそ妖怪が住んでそうな世界。かつ、ファンタジーではなく現代日本のリアルな世界。
この田舎だからこそ、両立した世界観を描けるのではないかと思いました。


※標準的、鳥取県の風景


実際、ロケハンしてみると自分も知らなかったような素敵で危ない絵面の風景ってたくさんありましたし。
あえてその辺を前面に出していこうと思います。
水木しげるロードが成功したのも、妖怪と言うモチーフに田舎のレトロ感がマッチしたからだと思いますし。

前職の関係で観光系や行政系に多少顔は効くので、いっそ県の後援とか補助でも受けたらと考えたこともありましたが……この路線だと難しいだろうなと思い止めました。面倒くさい事例を山ほど見てきたので。

とは言え、もし県なり市なりが推してくれるなら大歓迎ですよ!
偉い人、もし見てたらどうですか? コンテンツで町おこし考えるなら投資してみませんか?
売れてから手のひら返すやつってのは私は嫌いなので、声かけるなら今のうちですぞ?


さて、何を言っても、まだ第一話。全てにおいて、これからが本番であります。
導入から物語が動き、本格的に特撮シーンも増えてきます。
これから人も、資金もより多くかかってくるのでもし記事や本編を見て、興味を持った、応援してやろうと思った方、おられたらいつでもご連絡ください。

クラウドファンディング終了していますがご支援は受けてつけております。
特撮シーンに入るとエキストラの募集などもするかと思います。
ご連絡は下記アドレスか各種SNSのメッセージにて。
taniyama227@gmail.com

ご協力いただいた皆様はエンドクレジットにお名前、記載させていただきます(個人名でも企業団体名でも可)。

映画制作については随時、報告させていただきます。
皆さま、今後ともよろしくお願い致します。

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