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今を生きる子どもたちに一生解けない呪いを贈りたい

呪いという言葉があります。
それは何も、超常現象的なものではありません。
特定の事柄、物、人物、言葉などが、自分の心に刺さり、纏わりつき、いつまでも影響を与え続けること。
それを「呪い」と表現します。
例えば、あの時、あの人に言われた言葉がいつまでも頭に残って消えない、わかっているのにどうにもできない、それは言葉に呪われている状態です。
また、叶わぬ夢や恋をいつまでも忘れられないというのも、呪いの典型でしょう。

人物やキャラクターというものも、時に人に呪いをかけることがあります。
子ども時代から思春期にかけてくらいに出会ったキャラクターが一生、心に残り、その後の人生の性癖など全て捻じ曲げてしまった、そんな経験のある人は少なくないでしょう。

そして、特定層に呪いをかけやすいタイプのキャラクターというのが存在します。

自分にとっては、さんざん語っていますが、エヴァンゲリオンの惣流・アスカ・ラングレーが最初のそういうキャラクターでした。
あと、ガメラ3の比良坂綾奈。

この辺りには今でも呪われている、自分にとってもファム・ファタールです。

ファム・ファタール=運命の女、男を破滅させる魔性の女。


リングの山村貞子もそうでしたね。
山村貞子と言うと、井戸から出てくる化け物のイメージが定着してしまいましたが、原点では妖艶な美女なのです。
若い頃の私は常々、黒髪ロングの女性が好きだと言っていましたが、これは山村貞子の影響です。
まさに文字通り、彼女に呪われていたんです。

最近だとシン・仮面ライダーのハチオーグなんかも、特定の思春期男子の心を串刺しにして呪いをかけるタイプのキャラクターだと思います。
絶対、一生ツインテールが好きになる男子がそこそこいるでしょう。

この手のキャラクターって、ただ可愛いとかセクシーなだけじゃないんですよね。
それだけだと、呪いにまではならない。
なんだろう、独特の陰のようなものがある人が多い気がします。

男は誰でも心の奥にそういうファム・ファタールがいるのではないでしょうか。
女性にもあるのでしょうかね?

呪いをかけるものは人物やキャラクターに限らず、作品やコンテンツそのものにも存在します。

上記のエヴァンゲリオンなんかは特に、多くの人の人生に影響を与えて、沢山の呪いをかけた作品でしょう。
自分も呪われていました。シン・エヴァンゲリオンで一旦、解けましたが呪いの断片はいまだに残っているだろうし。

少し上の世代の方で、ガンダムとか宇宙戦艦ヤマトとか銀河鉄道999の話ばっかりしてる方がたまにいますが、きっと自分にとってのエヴァンゲリオンみたいな作品なんだろうなと思います。
(そして、私も若者から見たら、ああいう感じなんでしょう)

そういう心を貫く作品というのはメジャーコンテンツに限りません。

自分の場合、ネットをやり始めた頃に見た、アマチュアサイトのイラストとかテキストから強く影響を受けています。
アマチュア特有のちょっと危うい感じの作品が自分の創作活動のベースの強いところに食い込んでいる。
上手い下手じゃないんですよね。ドロドロした情熱、しかし故にキラキラして純粋なパッション、そういうものを感じられる作品。多くの作家の方は、今はどこで何をしているかもわからないし、私が影響を受けたことも知らないでしょう。

ナチスをモチーフにした絵を描いたりするのも、この当時、ネットで見ていたサイトなどでナチスの軍服やハーケンクロイツを着用した美少女イラストなどがかなり自分に刺さったからというのが大きいです。
退廃的で露悪的な、それ故の魅力。それらも呪いとなって私に纏わりついています。


なので、

「ハーケンクロイツをわざわざ使う必要があるのか?」

「ナチスの描き方だけ修正すればよい」

などと言われることがありますが、それらは全く本質をはき違えています。
ナチスでなければならない、それは自分の精神表現の根柢にある、大きな呪いだから、外しては意味がない。

ちなみに、ナチスと言えば、自分の中で大きかったのが、地元の自衛隊基地で行われた航空祭。
そこで、ほんと、一瞬だけすれ違ったお兄さんが来てたTシャツにハーケンクロイツと旭日旗が描かれていて、それがかっこよくてずっと印象に残っています。

上記の絵のベースにはそのTシャツのイメージがかなり強くあります。
わずか一瞬、すれ違うだけで、おそらく当人も気が付かないうちに、人は人に呪いをかけることがある。

私はイベント度に、上記のメインビジュアルを持っていくか、プリントされたスタッフジャケットを着ていきますが、これを見た誰かの心に同じように刺さり、影響を受けた創作活動などをするようになったらとても嬉しい。
そうやって引き継がれ、広がっていくのが文化というものです。

私は自分が創作活動をするにあたって、万人に無難に受けるものよりも誰かの心に深く刺さるものを作りたいと思っています。

作品を特にどの層に見てもらいたいか? 
そう問われた時、もちろん老若男女、全ての人に見てもらいたいが、あえて選ぶなら子どもたちに見て欲しい。
そう言うと、意外だという反応をとられることが多いです。

かつての自分がそうだったみたいに、多感な時期の少年少女にこそ、何かを感じ取って欲しい。
できることなら、心に刺さって一生抜けない何かを残したい。

子どもの頃、連れていかれた施設で見た映像に映っていた、黒髪のアンドロイドの女性が自分の初恋だ。

あるいは、あの日、見た展示が忘れられず、自分の人生に大きく影響を受けた。

そんな子が一人でも現れたら、私は創作活動をしていた意味がある。そう思って、作品制作や発表を続けています。




子どもに見せるものは配慮が必要だとか、過激なものはアングラで楽しむべきだ、そう言う人はいます。
でもそれでは意味がない、大人じゃないから、強い衝撃を受けることがある。それが強く刺さり、呪いになる。
それを贈りたいのです。自分が昔、名も知らぬ多くの作家から受け取った物を、今度は自分が少年少女に与えたい。

一生解けない呪い。
でもそれによって将来の夢ができたら、新しい出会いがあったら、作品を生み出せたら。
その時、呪いは祝福へと変わります。

呪いと祝福はコインの裏表。
今を生きる子どもたちへ、呪いと祝福を。



さて、9月9日より、私の制作中の映画「スパイア 蠱毒の妖姫」の上映イベントを行います。
こちら、大人はもちろん、たくさんの子どもたちに観てもらいたいです。
公開できているのはまだ第一話だけですが、全て完成した暁には、たくさんの呪いと祝福を生み出せる作品にできたら思います。


会場:海とくらしの史料館(鳥取県境港市花町8番1号)

期間:9月9日(土)〜16日(土)
(毎週火曜休館、11日臨時休館)

入場無料、9時半〜17時の間ループで上映します。

現在、公開しているものに新たな特殊効果などを加えたものを公開。
撮影用スパイアなど初展示。




伝奇オカルト・特撮怪獣映画
「スパイア 蠱毒の妖姫」制作中!

【予告編】


【第一話】

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