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ネコの家🐈 「旧夏目漱石邸」

2月22日はネコの日!
ということでネコにちなんだ建築をご紹介しようと思います🙂

夏目漱石のデビュー作「吾輩は猫である」
読んだことがなくても誰もが聞いたことがある
有名な作品。

その有名な作品を書いている時に住んでいた家が現在も残っていて
物語の中にはたびたびこの建物の描写がでてきます。

ただ偉人が住んだ家というだけの価値ではなく
この建物だったからこそ
「吾輩は猫である」という
有名な小説が誕生した
その背景をご紹介したいと思います!



「吾輩は猫である」とは


学校で教師をしている苦沙味先生(夏目漱石自身と言われている)
のところへ住みついた猫が
人間の毎日の生活を観察して
「人間ってアホやなぁ」と嘲笑する話。

学生のころに読んだときはよくわからなかったけど
大人になってから読むと
みんなめちゃくちゃ言いたい放題で面白いなと思えます。
なかでも迷亭という苦沙味先生の友人は
高田純次さんみたいな人で笑えました🤣


旧夏目漱石邸


現在は博物館明治村に移築されています

この建物は明治20年ごろ
医学士「中島襄吉」の新居として
東京文京区千駄木に建てられました。

ですが中島襄吉が住むことはなく
明治23年にある偉人が住むことになります。
この時に借家として住んでいたのは
なんと森鴎外
ここで約1年過ごし「舞姫」を発表しました。

その後明治36年から39年まで夏目漱石が住むことになり、「吾輩は猫である」を執筆します!

玄関から漱石さんのパネルが見えます

この家、作中では屋根に草の生えた家と
笑われる場面がありますが
当時の中流階級の典型的な家
近代化していく民家の様子が現れています。

日本の家

日本の家は古くから広い空間を障子や襖で
区切って使うという文化があり
この建物も田の字のように配置された
4部屋の和室があります。

それぞれ襖で仕切られていますが、
全部外すと広ーい1つの部屋として
利用できます!
主に冠婚葬祭など親族が集まる時に
そんな使い方がされました。

フラットで壁やドアで仕切られていない空間は
猫が自由に動き回れるうえに
襖だと隣の部屋の話し声もよく聞こえる!

猫目線で色々な角度から見た
人間のおかしな習性が題材の
「吾輩は猫である」は
そんな環境から生まれたのです!

「ふと下女の勧めた布団の上を見るといつの間にか一匹の猫がすまして坐っている。
申すまでもなくそれはかく申す吾輩である。」  
      本文より


「ある日の午後、吾輩は例のごとく縁側へ出て昼寝をして虎になった夢を見ていた。」
本文より


元は埃を出すための小さな扉は
猫の出入り口になっていたようです。


書斎

「こんなときに後からくっ付いて行って膝の上へ乗ると、大変な目に逢わされるから、そっと庭から回って書斎の縁側へ上って障子の隙から覗いて見ると、主人はエピクテタスとか云う人の本を開いて見ておった。」

「吾輩は猫である」より

玄関入ってすぐ横の書斎は
もともとは医学士のために建てられたので
診察室にする予定で造られた部屋だと
考えられています。
そのため他の部屋とは隣接せず
この部屋だけ突き出たところにあります。

入り口は2つありますが
襖ではなく壁で囲まれた部屋なので
周りの音など聞こえにくい
1人籠って小説を書くのにピッタリな空間です!

この書斎の間取りはこの先
広く普及していき
玄関横に洋間の客室がある家が増えるさきがけになりました。
(身近な例で言うとドラえもんの間取りとか)


名作を生んだ環境

例えば、4部屋しかない民家だったら
猫は自由に出入りできるけど
集中して小説書ける部屋はなかった。

逆に華族が住むような西洋館だったら
そもそも野良猫は住みつかない。
しかも壁やドアで区切られた部屋では
猫は自由に動き回れない。

となるとこの家でなければ
100年以上も読まれる「吾輩は猫である」は
誕生しなかったと言っても過言ではありません!

しかもこの作品は夏目漱石のデビュー作。
小説家にすらなっていなかったかもしれません。

夏目漱石と森鴎外、2人の文豪が相次いで住んだことは偶然なのか
それともこの家が作家向きだったからなのか?
その辺はもう少し調べてみないとわかりませんが
ただ単に「広いしええやん!」というだけの理由だったりして…


Information

この旧夏目漱石邸は現在
愛知県の博物館「明治村」に移築され
展示されています!


「吾輩は猫である」を読んでから見学しても良し
見学してから読むも良し!
とにかくこの家を知って作品を読むと
面白さ倍増です!


ここまで読んでいただき
ありがとうございました😊
また次の記事も頑張って書くので読んでもらえると嬉しいです!

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