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VUCA時代を生きていく女子たちへ~山脇学園~

今年のクリスマスは人出が多くて賑やかですね。
一方で、例年になく雪が降り積もっている地域は、インフラが止まったりして不便な日常を送っているようです。
どうか何ごともなく、穏やかに年末・年始を迎えられますように。

さて、今回は中学入試の話です。
我が家には受験生(小5)がいるので、あと1年あるとはいえ、一年後を想像して落ち着かない日々を送ったりしています。

私は息子(中3)のときに初めて中学受験というものを経験しました。
当時は右も左も分からず、とりあえず流れにのって受験日を迎えた・・という感じでしたね。
本人の希望は残念ながら叶わなかったのですが、現地で合否結果の掲示をみた直後に自分で塾へ報告し、その足でいつもの教室へ行き、翌日以降に向けて勉強を再開した彼の後ろ姿を今でも思い出します。

中学受験は、思考しない詰め込み教育だとか、早期教育どうなのとか、お金のある家庭ばかりが有利とか、いろいろ言われてはいますが・・・
いろいろな条件が揃うなら、チャレンジすることで得られるものはとてつもなく大きい、と思います。

息子のときにわりとポジティブな経験ができたので、娘の受験も早々と準備をしていたのですが、このコロナ禍でなかなか学校へ足を運ぶことができず途方に暮れていました。
なにしろ、息子のときは男子校志望だったので、女子校も共学校も、さっぱり分からないのです・・

今年の夏頃から、少しずつ校内を見学できる学校が増えてきたものの、枠は少なく毎回が争奪戦です。
最近ではだいぶコツを掴めるようになって、おかげさまでたくさんの学校(ようやく10校くらい)へ行ってお話を伺ったり、学生さんたちの様子を見たり、直接会話したりして雰囲気を感じることができています。

余談ですが、私は学校見学や学園祭に出向いて、その学校の生徒さんと直接会話するのが大好きなのでしょっちゅう話しかけて話し込んだりします。
生徒さん側は緊張しながらも、自分の頑張っていることについてたくさん質問されたり、感心されたりしているうちに気持ちがのってきて、すぐに目をキラキラしながらいっぱい喋ってくれるようになるんですよね。
私はその様子を見るのがたまならなく好きで、最後は必ず応援の言葉をかけてお礼を伝えるようにしています。

さて、学校の話です。
いろいろな教育がある中で、私が注目するのはやはり情報・IT教育と探究型学習です。
生徒の自主性を大切にし、一人一台のiPadを使って、プレゼンや校外学習の機会を増やし・・・といったアピール内容は、わりとどこも同じなので、学校見学するときには研究や実験設備、生徒自身といったごまかしようのないところを重視して見ています。

たとえば、探究型やPBLといったキーワードで大々的にアピールしていたとある学校では、校舎見学をする中で見せてくれた大教室のプロジェクターを案内してくれた先生が使いこなせず・・・
せめて模造紙でも学習成果を見られたら良かったのですが、見学する中で一度も目にすることができず・・非常に残念に感じた学校がありました。

他にも、偏差値が高くて歴史があって雰囲気も良い、親にとって申し分のないようなある学校では、物理の実験をする教室に、生徒たちの絵画や図工の作品が展示されていました。
(学園祭の時期だったのでイレギュラー対応だったのだとは思いますが)
作品自体は素晴らしい出来栄えだったのですが、あぁ、理系教育にはあまりチカラを入れていない学校なのだな・・とやはりがっかりしてしまいました。

そうした中で、こちらの学校は非常に印象が良かったです。

制服が可愛らしくて有名な学校ですが、最近ではアグレッシブな教育に注目が集まって、年々人気が高まっているようです。
実は以前に一度伺っており、そのときにリニューアル中で見学できなかった図書館をどうしても見たくてニ回目の訪問となりました。
(趣旨から外れるので割愛しますが、この施設も素晴らしかった!)

説明会にて、校長先生がスライドを使って学校の紹介をしてくれる中、私はこのスライドを見て衝撃を受けました。

『学校説明会 ー 山脇学園の志(校長)』より抜粋
https://www.yamawaki.ed.jp/sys/wp-content/uploads/2022/11/2022koutyou001.pdf

最近、どの学校へ行ってもVUCAと、Society5.0というキーワードを耳にするのでVUCAには見慣れているのですが、「DXスキル」「データ分析力」は初めて見た気がします。
世の中が求めている人材をしっかり育てたい、という意思を感じてすごく好感がもてました。

つい最近、6年間のカリキュラムを見直して「総合知」プログラムという形に変えたそうです。

『学校説明会 ー 山脇学園の志(校長)』より抜粋https://www.yamawaki.ed.jp/sys/wp-content/uploads/2022/11/2022koutyou001.pdf

以前は、英語、科学、と別々のコースになっていたものを統合し、人文科学・社会科学・自然科学の各分野を融合させたそうです。
最終的に、高校3年生は英語で論文を書くことが目標、ということなのでなかなかですね。
データを集めて分析し、それを英語で表現してプレゼンテーションする。
いまどきの高校生たちはここまで進化しているのですね。
しかも女子校で。いや、女子校だからこそ?
何れにせよ、頼もしい限りです。

『学校説明会 ー 山脇学園の志(校長)』より抜粋https://www.yamawaki.ed.jp/sys/wp-content/uploads/2022/11/2022koutyou001.pdf

このスライドの右側に実験室の写真がありますが、学校内の実験室は(失礼ながら)女子校とは思えない充実っぷりで驚きます。
それもそのはずで、2011年に閉鎖した短大の施設をそのまま活用しているのだそうです。

その凄さは、サイエンスアイランド(SI)と呼ばれる建物に入ると分かります。
個人的には、ピカピカの最新設備とか、たくさんの実験装置があるよりも、それが使い込まれていたり、研究道具や材料が雑然と置かれている方が、本気度合いを感じて魅力的に思います。

そんな実験室を見学したときに、中学3年生の「科学チャレンジコース」でマングローブの研究をしている生徒さんと会話する機会がありました。
中学の修学旅行先が西表島だったり、琉球大学の先生に指導を受けたり、マングローブ学会で発表したりしている本気の研究です。

その子は、マングローブの種を育成する最適な土の研究をしており、琉球大学の先生から預かった種を、様々な土で育てて観察していました。
その隣りでは、さやいんげんのように細長い種に衝撃を与えて、衝撃を与えた箇所と育成に与える影響を研究していました。
(その時点では、頭に衝撃を与えたものが一番、影響が大きく見えました)

感心したのは、自分自身の研究内容を自分の言葉でしっかり説明できるところです。
どんな目的のために、どんな仮説を置いて、何をしているのか?
ということを非常にロジカルにシンプルに説明できるので、同じ年齢の男子をもつ親としては驚くばかりです。
いやそればかりか、大半の社会人は彼女たちに敵わないかもしれません。
大きな声では言えませんが、私の身近にも敗北決定者はそれなりにいるなと思いました。

仮説構築力、思考力、情報収集能力・・言葉を並べるのは簡単ですが、実際に教育の現場へ浸透させて、生徒に定着させるのはまた次元の違う難しさではないかと思います。
先生方との会話でも感じましたが、校内全体に活気があって素晴らしいと思いました。

中学・高校の6年間でこうした教育を受けた子どもたちの未来はどうなるのでしょう?
最近では高大連携が盛んですが、山脇学園の場合は、芝浦工業大学と連携し、中・高での探究の学びをそのまま理系研究へと繋げていく試みが始まるそうです。

高校へ入学したら大学受験のための勉強をして、理系か文系かは好みで選び、偏差値で学校を選んで、大学入学後に初めて研究室というものを目の当たりにして戸惑う・・・
(実際に、理工学部の研究室というのがどういうもので何をしているのか全く知らないまま大学へ進学したので)
というごく普通の大学受験を経験した私にとっては、中学や高校生のときから大学という学びの場を身近に感じながら過ごせるいまの子どもたちが羨ましくてなりません。

こうした学びの場が、受験をする一部の恵まれた子どもたちだけでなく、全国にあると良いのですが。
そして、小学校と中学校の間でも、こうした学びの連携がもっともっとあると良いのですが。

とはいえ、学校教育に期待するだけでは、機会の違いでどうしても差はついてしまいます。
探プロでは、だからこその家庭教育、と考えているし、そこは以前から変わりません。
そして、あくまでも小学生時代の学びに焦点をあてたいので、これからも小学校や家庭での教育がどうあるべきなのか?じっくり考えていきたいと思います。

探プロは、2023年をどんな年にするのか?
目標でも立てられると良いのでしょうが、いま身の回りでいろんな面白い動きが同時多発的に発生しているので、この流れに乗っていればきっと見たこともない場所に行けるのではないか?
と思っていたりします。
どこへ向かうかは分からないけれども、来年も流れに身をまかせていく予定です。

教育界隈では2025年の大学入試が一つの大きなターニングポイントになるので、来年以降、学校教育の現場でおきている様々な改革や進化がこれまで以上に注目を浴びることになるはずです。
子どものいる方はご自身のお子さんについて、そうでない方はご自身の仕事場に迎える若者たちについて、関心をもつことでしょう。
さらに、全ての大人たちは、こうした次世代が世の中に出てきて一緒に働くことになる、ということを少しずつ理解して、焦りを感じるのではないかと思います。
(気づかない人も多いかもしれませんが・・・)

とはいえ、難しい言葉や概念も多いですし、分かったところで何をすれば?と途方にくれる方も多いのではないかと思います。
このnoteでは、そうした方に向けてできるだけ分かりやすく情報を伝え、そして家庭で誰でもできる学び方、体験の仕方をご紹介していこうと思います。

来年も引き続き、よろしくお願いします。

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