つむじ

何も得られない貴重なこと

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河がきこえる

とある地方に旅行に行った。 普段は東京で過ごしているが、たまに地方にいくと生活の違いを体感する。なんというか東京は良くも悪くも詰まっている。人が物が広告が。反対に地方にはそれらが詰まっていないと感じる。それは不便だと言われることが多い。 都市にあるもの、地方にあるもの。(もしくはないもの。) 僕は詰まり過ぎていない街で育った。 緩やかに流れる夕焼け色に染まった河、その河辺に友達と作った秘密基地、どの方向に顔を向けても視界に入る山々、時々出る人騒がせなイノシシ。 こういうのを

    • 暗闇に浮かぶ顔

      気づけば部屋はすっかり暗くなっていて、目の前のモニターだけが光を放っている。 なにかに没頭しているとこんなことが起きる。 学生時代はゲームしている時によくあった。 朝からゲームを始めて、気づけば夜になっていてハッとする。 そしてなんだか1日を無駄にしたような気持ちになって罪悪感が押し寄せる。 本当にゲームをしたくてやっているのかどうかよくわからなくなっていた。 こういうのが嫌でゲームをやめてから結構な年月が経つ。 今日、とあるプライベートな作業を朝からしていた。 ふと

      • 餃子のタネ

        誰が作ったっておいしいものってある。 カレーがそうだ。 誰が作ったって美味しいカレーかめちゃくちゃ美味しいカレーのどちらかが出来上がる(少なくとも僕はまずいカレーを食べたことがない)。 料理下手な自分が作ったものでもおいしく感じる。 感動するほど美味しくはないが不味くはない。 そういえば餃子もそうかもしれない。 初めて行く中華料理屋では必ず餃子を頼む。 店によってサイズや具材や焼き加減が結構違う。さまざまだ。 それでも、どれも美味しい。 家で作ってもまぁまぁ美味しい。

        • 採点オンチ

          自分が面白いと思ったことを、世の中の人はつまらないと思っていたり、 世の中の人が評価しているものが、自分にとってはイマイチだったり。 そんなことが時々ある。 気にせず自分が思ったことを大事にすればいいと思うのだけれども、それを実行するのは僕にとっては難しい。 僕は自分の評価が何かとずれていた時、まず自分の方を疑ってしまう。 大抵自分が間違っていると考える。 何か見落としていたのか、勉強不足なのか、センスがないのか。 考えても理由はよくわからないことの方が多い。 なんだ

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        河がきこえる

          20分の価値

          子供の頃、時間の流れのスピードは違った。 小学校の授業の合間の20分休みでサッカーをしていた。 ボールを倉庫から取り出して、チーム分けをして、試合をして、片付けて。 20分の暇でそれだけのことをしてしまう当時のエネルギーは、 今思うと信じられないものだ。 今の僕にポンと20分の休みが与えられたら何をするだろうか。 スマホをいじったりしながらぼーっと過ごすに違いない。少なくともサッカーしに外に出るなんて発想は出てこない。 あの時間感覚は一体どこに行ってしまったんだろうか。

          20分の価値

          何はともあれ靴を履く

          ここ2ヶ月くらいだろうか、週3回程度のランニングをしている。 走るための身支度をするとき、 ほとんど毎回、今日はランニングなんてしたくないと思う。 しんどいからだ。 今日はもう中止にしようか、と思いながらランニングウェアに着替えて、 外に出たくない、と思いながら靴紐を結ぶ。 そんな気持ちでゆっくりと走り出す。 すると、だんだん気持ちが乗ってくる。 なんだ走るのも悪くないな、と思い始める。 そのうちに前回のタイムを越すことにムキになる。 走り終わるころにはもうヘトヘトだ

          何はともあれ靴を履く

          土の匂い

          匂いのもたらす効果は思っている以上に大きい。 僕はよく、お寺のような香りのお香を焚く。 焚いた途端に、一気に別の空間になる。思わず目を瞑ってしまう。 なんだか本来の人間の姿に少し近づいたような、そんな気持ちになる。 土の匂いがするところ。 どこでも好きなところにもし引っ越せるなら、そんな条件をつけたい。 縁側があると尚いい。 雨が降ると匂いが強くなって、雑草が増えると緑の匂いがする。 そんな匂いが生活の近くにあるときっと安らぐ。 ところで、東京でも雨が降るとほんのり土

          土の匂い

          呪いのスラムダンク

          漫画「スラムダンク」には何かしらの不思議な力が宿っているに違いない。 僕の本棚にはスラムダンクが全巻並んでいる。 何度読んだかわからない。 ある日の休日にボケーっと横になって本棚を眺めていた。 本棚の一角にあるスラムダンクになんとなく目が止まり、適当な巻数を手に取る。 パラパラとページをめくる。 気付けば一巻丸々読み切ってそこで意識が戻ってハッとする。 こんなことが今まで何度もあった。 スラムダンクを手に取ると一ページ目から没入して手離せなくなってしまう。呪いがかけ

          呪いのスラムダンク

          スポーツ観戦の解像度

          サッカー日本代表が強い。気が早いけど次のW杯が楽しみだ。 僕はサッカーの試合を見るのが好きだ。 他のスポーツを見ている時とは少し違う感覚がある。 例えば、野球の試合を見ているとき。 これはチャンスだ、とか この状況はやばいぞ、というのはわかる。 けれども、ヘッドスライディングやホームランを打ち込んだときの選手の身体的な感覚まではそこまで具体的に想像ができない。 野球をほとんどやったことがないからだ。スーパーファミコンぐらいの解像度でしか想像できない。 一方で、学生時代

          スポーツ観戦の解像度

          漫画リベンジャーズ

          ここ10年くらいだろうか、マンガを読むということをしていない。 もともとはどちらかというと、よく読んだほうだったと思う。 子供の頃はコロコロコミックを欠かさずに読んだし、もう少し大人になると少年ジャンプを毎週買っていた。 特に気に入った作品は全巻集めていたし、気になった話題作はレンタル屋さんで借りてたくさん読んだ。 マンガから遠ざかっていた僕だが、少し時間ができたので久しぶりに何か読もうと思った。 まず考えたのは、昔読んだ作品を読み返すことだった。 でも、それでいいのか

          漫画リベンジャーズ

          僕が3年生?今日だけ?

          僕は普段歩行者や自転車の立場で街を移動している。 そういった立場から見る車はやっぱり存在感がある。 個人的には、道路における主役はやっぱり車だと思う。大きくて速くて、うかつに接触すると吹っ飛ばされるという怖さがある。 歩いたり自転車を漕いだりしている時、車の迷惑にならないようになんとなく気をつけてしまう。車というよりも、くるま様という感覚だ。 そんな僕が最近ではペーパードライバーを卒業するために車の運転の練習をしている。当たり前だけれど、歩くのや自転車と違ってムズカシイ。

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          "毎日"の力

          飽き性の僕だが、去年あたりから続いていることがある。 シンクの掃除だ。 引っ越してから毎日掃除するようにしている。 そんなことはみんなやっていることなんだろう。けれど僕は、今の家に引っ越してくる前はほとんど掃除していなかった。 何も考えずに使い続けて、目も当てられないくらい汚れたら、オエーッといいながら掃除していた。あのヌメっとした感じを掃除するのがどうも苦手だ。 想像しただけでオエッとなってしまう。 そんなズボラな僕だったけど、引っ越してからはなぜか毎日シンクを掃除す

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          イケていない男

          僕はイケてない。 イケてるやつっていうのは、季節の微妙な変化に合わせて服装を合わせることができるもんだ。 僕はそれができない。だからイケてない。 このところ、昼は心地よい暖かさで、夜になると風邪をひきそうになるくらい寒い。 いわゆる、寒暖差が激しい、というやつだ。 昨日の夜、僕はやけに寒いなと思いながらとぼとぼ街を歩いていた。 行き交う人を見ると、薄手のニットやら、トレーナーやら、この季節にちょうど良さそうなアウターを着ている方がたくさんいた。 皆、シュッとしていた

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          脳内地図を充実させる

          僕は基本的に電車で移動することが多い。 けれど、最近は30分くらいで行ける距離なら自転車で移動するようにしている。 自転車で街を移動していると新鮮な気持ちになる。 ここをこう進むとあの駅につながるのかーとか、ここことあそこは意外と近いんだなーとか、自分の頭の中の地図にいろんな追加情報が書き込まれていく。 電車だと感じづらい距離感も、自分の足の疲労と比例する形で体感できる。 電車に乗っているとき、僕は必ずと行っていいほどイヤホンをする。そしてスマホを見るか本か読む。 対して

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          イビツな個性の集団

          街中でまわりのグループを見渡してみると、なんだか似たような趣味嗜好の人が集まっているなと感じる。 もちろんパッと見た印象でしかないので実態は違うのかもしれない。それでもやはりグループとして過ごす以上、ある程度は趣味嗜好が似ている方が過ごしやすいのは間違いないはずだ。 わざわざストレスを抱えてまで気の合わない人たちと過ごすのはできれば避けたい。 でもこの間、電車の中であからさまに趣味嗜好が違う人で構成されたグループを見かけた。傍から見たメンバーの勝手ながらのイメージは、 ヤ

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          プリンセスの爪事情

          こないだ、ディズニーシーの目玉となっているショーを拝見した。 そのショーはパークの中央にある海のエリアで行われた。 ショーの予定時刻が近づくにつれ、海を取り囲むようにぞろぞろとお客さんが集まり始める。ショーの開始時刻には海を取り囲むように360度お客さんでギッシリと埋まっていた。 僕もその中の一人としてショーの開始を今か今かと待っていた。 そしていよいよ始まった。 海上に浮かぶ船に照明が一斉にあつまる。 照明の先にはディズニーのプリンセスが立ち、その素晴らしい歌声を披露す

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