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「読みたいことを、書けばいい。」(田中泰延 著)を読んで

最後まで読んでの感想は、「くそ、やられた」であった。ちゃんと最後まで読んだ方ならわかるだろう。一冊真面目に読んだ最後がアレなのである。

さて、本の内容に触れよう。この本はいかに文章を書いていけばいいかを、コピーライターの経験をもとにまとめられたものだ。読んでみるとわかるが、内容はまともなのに終始ふざけている。じゃあ、それが許せないのかといわれるとそれだから読めたとも言える。

突然くだらないことを言い始めたと思ったら、それが実は例だったり本当に何の関係もなかったりする。軽く腹が立つもののちゃんとした文章がずっと続くよりは疲れず、今読んでいる内容が冗談か大事なところかわからないところに一種の緊張感を強いられる。結果的に先が気になるし、集中力が続く。

書いてあること自体はまともで、何を想定して文章書くのか、そこに愛はあるのか、深く調べてみると愛が生まれるなど、ただ文章を書こうとすると見落としがちなところが丁寧に書いてある。

内容はまともなのに、終始おちょくられている気分になる本なのだ。おそらくこの人がまじめな顔をしていると疲れてしまうのでおもわずギャグを挟んでしまう人なのだと思う。本一冊読んでいる間中おちょくられれば普通は腹が立ちそうなものだが、独特の愛嬌があり憎めない。内容がしっかりしたうえで感情にふり幅を持たせて最終的に最後まで読ませるところが人の心の機微をわかってらっしゃる方なのだろう。

しかし、最後のあれはひどい。どの段階で思いついたのかご本人に聞いてみたいところである。コピーライターをされていた方だから、最初にアレを思いついている可能性もあるんだよなあ。

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