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よく聞く「その筋トレは間違っている。」とはなんだろう。

元々は空手の補強のために始めた筋トレ(この言葉はあまり好きではないのですが、便宜上。)も、開始から15年以上が経ちました。

途中、そちら方面にちょっとだけ才能があったようで、パワーリフティング(パワリフ)という競技をしていたこともありました。

パワリフとは、五輪種目であるウェイトリフティングではなく、ベンチプレス、デッドリフト、スクワットの3種の挙上重量で優劣を争う競技です。

ちなみに、ボディビルやフィジークは、自分の範疇ではありません。

ボディビルダーの、ある意味で無駄なもの一切を削ぎ落とした筋肉は、生きた彫刻とも言うべきで、溜息がでるほどのそのかっこよさには尊敬の念を抱いてやみません。
ただ、実際に自分がしてみる、とはなりませんでした。

単純に、痩せたら弱くなるので。

まあ、15年間、妥協なく真剣にやり続けたというにはほど遠いのですが、さすがに普通のトレーニーよりは、知見も経験も実績もあるだろう、とは思います。

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表題の文言、インスタやSNSでよく見かけますね。「こんな筋トレは意味がない!」とか。

結論から言えば、「目的に対しては最善手ではない。」というのが大半です。何をしてても、意味がないということは、まずありません。当たり前ですが、何らか意味は必ずあります。

多くの人にとって、トレーニングの目的は(無自覚に)「筋肥大」なのだろうと思います。そして、人のトレーニングにわざわざダメ出しをする人の目的もまた、「筋肥大」なのでしょう。

ただ、みんながみんな、筋肥大の為にウェイトをしているわけではありません。
そして、筋肥大の最適化ために行うトレーニングが、あらゆる局面において万能、ということもありません。

インスタグラムなどでは、あえてそこの誤解を狙ってセンセーショナルに煽ってるんでしょうけどね。
そうでないとしたら、単にトレーニーとしてのレベルが低いか、だと思います。

ぶっちゃけ、「僕が◯◯になるために頑張ったこと」とか、先にも書いた「こんな筋トレはNG!」みたいなのは、無視していい内容のものがほとんどですが、怪我への注意喚起系のものは注視した方が良いかもしれません。

結局、続けることが、一番大事なんです。怪我は、その最大の阻害要因ですからね。

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「筋トレのメリット」に関して、自信とか自己肯定感とかに繋がる、というのはよく耳にしますが、いささか疑問です。

これは私のパーソナリティの問題かもしれないのですが、だんだん「何年も続けて、この程度のことしか出来ない自分が許せない。」と思うようになってくるんですよ。

調子が悪くてうんこみたいなトレーニングしか出来なかった日なんかは、運動によるストレス発散なんてものはなくて、ひたすら鬱々としています。

「自分なら出来て当たり前。」
尊大な物言いだけど、事実だから仕方がない。
しかしながら、目標の高さや重量に対する恐怖心に打ち勝ち、ひとつ階段を上っても、その次がある。そこを乗り越えても、またその次がある。どこまでいっても、キリがない。思い知るのは、挑むものの高みと、己の至らなさばかりです。

だから、煽り抜きにして、筋トレをしていたら自信がつきました、という人に対しては、「その自信はどこから来るのだろう。」と思っていました。

生きているうちにはおよそ辿り着けない場所なんていくらでもあるのに、そこで満足しちゃうのか、というか。

30代半ば過ぎあたりの頃までは、ずっとそんなことを考えてた気がします。

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そんな自分も、アラフィフも見えてくるくらいのアラフォーになりました。6月にはまたひとつ、年をとります。
40前後の時期に(去年も少し。)次々と大病を経験したこともあり、往年の力はかなり失われてしまいました。

昨夏。ビルダーではないので、バルクはない。

これは自分のアイデンティティにも繋がることだから、しばらくのあいだは、気分の落ち込みも相当でした。

それでも、生きているかぎりは、弱くなった、そしてこれからはさらに年を重ねるごとに弱くなる自分を受け入れなければいけません。

自信とか自尊心とか言ってる場合じゃありません。

ただ最近、弱くなった自分こそが、「じゅうぶん頑張ったんじゃねえの。」「自分くらいは、自分のことを褒めてやってもいいんじゃねえの。」と言ってくれてるような気がしています。

トレーニングもままならず、弱くなる一方の自分になったことで、ようやく「自信」や「自己肯定感」に繋がっていることが、なんとも不思議に思う一方、必然のような気もしています。

このあたり、なかなか、言語化は難しいですけどね。

そんなわけで、まだまだトレーニングは続けていこうと思います。20年、30年続けた自分に、どんな世界を見せてくれるかを期待しつつ。

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