法律学の勉強②【まずは、条文!】

皆さん、こんにちは。ついに、当地も梅雨に入りました。しばらく、「快晴」という感じではなく「曇り」の日や「雨」の日が続きそうです。
ちなみに、私の所属する大学で、過日、学部1年次を対象としたイベント(学園祭のようなもの)が開催されました。その日は雨が降っていました(しかも、かなり強め・・・)が、イベント自体はなんとか開催されましたが、出演者も来場者も泥だらけになっていたようです(私自身は別の用事が入っていたため、参加が叶いませんでした)。

今回のお話【まずは、条文!】

今回は【法律学の勉強】第2回目です。今回のテーマは、【まずは、条文!】です。教科書やテキストで法律について勉強するとき、皆さんは条文をきちんと見ていますか?法律の勉強をする際、条文の読解はかなり重要です。とは言いつつも、どうやって条文を読めばいいのか・・・となることもあります。そこで、今回以降、複数回に分けて【条文】に焦点を当てます。

なぜ、条文が重要なのか

法学部の授業や司法試験・公務員等資格試験の対策講義の際、レジュメや教科書、テキストを用いて行われる場合がほとんどです(私の大学の場合、ありがたいことにほぼすべての授業でレジュメがありました)。また、独学で勉強する際にも、テキストや参考書、教科書を用いることでしょう。その際、テキストや教科書などに「判例」や「学説」が掲載されていても、「条文」が掲載されていることは少ないです。では、だからと言って条文を読まなくていいのでしょうか。
結論から申しますと、【読まなくていいわけがない】、つまり、【読む必要がある】です。それは、学説や判例の存在意義にあると私は考えています。学説や判例は、条文の不明瞭なものを解釈するためのもの(もしくは、解釈しているもの)です。法律は、その性質上、起こりうるすべての事態を想定して作らなければなりません、そうなると、条文は抽象的にならざるを得ません。しかし、条文が抽象的だと「この言葉はどういうことを表しているのか?」という疑問が生じます。その疑問を解決するために、判例では言葉の意味を解釈して示します。また、学説も、その言葉の意味をめぐって争っているのです。つまり、判例や学説は【条文】を前提に存在しています。したがって、法律の学習の際、【条文】は極めて重要なものであるといえます。

条文の構成ー条・項・号

今回の記事では、1つ1つの条文の構成についてお話をします。具体的な読み方などは次回以降に・・・。

まずは、民法4条の条文を見てください。

民法
(成年)
4条 年齢十八歳をもって、成年とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

この条文は単純に1文のみで構成されています。この場合は、あまり何も考えずに、法律名(「民法」)と〇条の数字(「4条」)を見て、「民法4条」と言います。

」とは、法律の条文の基本単位(最小単位)です。「条」というものがいくつも集まって、「法律」ができています。

次に、刑法1条の条文を見てください。

刑法
(国内犯)
1条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

先ほどの民放4条とは異なり、刑法1条は2つの文で構成されています。

 ①「この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。」
 ②「日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。」

このうち、①を「1項」、②を「2項」といいます。「」とは、「条」の内容をさらに分けたいときに使います。

法律における「項」の表し方ですが、「2」「3」というように、算用数字で表します。刑法1条の条文を引用している部分(薄緑色の枠内)の「日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。」の前に、「2」と書かれています。この「2」が項を表します。

刑法
(強要)
223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

これは、強要罪(刑法233条)の条文です。この規定は、

 ①「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。」
 ②「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。」
 ③「前二項の罪の未遂は、罰する。」

という3つのパートに分かれています。それぞれ、①が1項、②が2項、③が3項です。条文引用部(薄緑色の枠内)に「2」「3」と書いてありますが、これが「2項」「3項」であることを表します。

ここで、1つ注意点があります。それは、「1項」の場合は何も示さないということです。刑法1条の条文引用部(薄緑色の枠内)「この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。」の前に「1条」と書かれていますが、「1」とは書かれていません。また、刑法233条の条文引用部(薄緑色の枠内)「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。」の前に「233条」と書かれていますが、「1」とは書かれていません。これは、ミスではなく、もともと1項は「1」と表さない(何も書かない)というルールに則った表記をしているだけのことです。もっとも、学習者用六法(『ポケット六法』など)の場合、学習者に配慮し、1項・2項・3項・・・をそれぞれ、①・②・③・・・と表しています。

民法95条の条文を見てください。

民法
(錯誤)
95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

民法95条は、4つのパートに分かれています。

 ①「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
 一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
 二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」
 ②「前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。」
 ③「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
 二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。」
 ④「第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」

①、②、③、④がそれぞれ「1項」「2項」「3項」「4項」です。

さて、今回の条文には、「一」「二」というように漢数字があります。この漢数字が「号」を表します。例えば、①にある「一」「二」はそれぞれ、「民法95条1項1号」「民法95条1項2号」を表します。同様に、③にある「一」「二」はそれぞれ、「民法95条3項1号」「民法95条3項2号」を表します。

さて、お気づきの方もいるかのしれませんが、「号」は「条」や「項」とは違う点があります。「条」「項」は「文」であるのに対し、「号」は「名詞」「体言止め」です。
実は、「号」は「条」「項」と性質を異にするものです。「条」「項」は規定そのものの内容を表すのに対し、「号」は、「条」または「項」の中で具体的事項を列挙するときに用います。そして、「号」を用いるときには、(たいてい)「次に掲げる・・・」という文言が「条」または「号」に記載されています。例えば、民法95条1項には、「次に掲げる錯誤」という文言があります。そして、「次に掲げる錯誤」の具体的な内容として、1号「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」・2号「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」が示されています。同様に、民法95条3項には、「次に掲げる場合」という文言があります。そして、「次に掲げる場合」の具体的内容として、1号「相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。」・2号「相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。」が示されています。図に示すと、このようになります。

また、「○○法1条1号」のように、「項」がない場合であっても「号」を使うことがあります。

刑法
(すべての者の国外犯)
2条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
一 削除
二 第七十七条から第七十九条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
三 第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)、第八十七条(未遂罪)及び第八十八条(予備及び陰謀)の罪
四 第百四十八条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪
五 第百五十四条(詔書偽造等)、第百五十五条(公文書偽造等)、第百五十七条(公正証書原本不実記載等)、第百五十八条(偽造公文書行使等)及び公務所又は公務員によって作られるべき電磁的記録に係る第百六十一条の二(電磁的記録不正作出及び供用)の罪
六 第百六十二条(有価証券偽造等)及び第百六十三条(偽造有価証券行使等)の罪
七 第百六十三条の二から第百六十三条の五まで(支払用カード電磁的記録不正作出等、不正電磁的記録カード所持、支払用カード電磁的記録不正作出準備、未遂罪)の罪
八 第百六十四条から第百六十六条まで(御璽偽造及び不正使用等、公印偽造及び不正使用等、公記号偽造及び不正使用等)の罪並びに第百六十四条第二項、第百六十五条第二項及び第百六十六条第二項の罪の未遂罪

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

例えば、刑法2条は項がない(正確に言うと、項が1つのみ=「刑法2条1項」とは言わない)ですが、「一」「二」・・・と漢数字が並んでいます。「一」「二」・・・はすべて「号」です。この場合、「刑法2条2号」と表します。

ちなみに、「号」をさらに細分化したいときは「イ」「ロ」「ハ」・・・を使います。

まとめ

今回は、条文の重要性と条文の構成についてお話ししました。次回以降も、条文についてお話します(あと何回になるかわかりませんが・・・)。



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