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対話と僕⑳:会議での小技

・はじめに

今回はこの2年ほど試行錯誤しながら使っている会議での小技について書いていきたいと思う。
今までの経験では意見を多く引き出したい発散の場やPJTの初期段階で使うと効果的であった。
そんなに難しい事でもなく、すぐに実践できる内容となっているので是非身近な場面で試してみてほしい。

・簡単な『条件設定』

会議が始まる前に『条件』を明確に伝えることを意識している。
『条件』の内容は難解なモノである必要はなく簡単なモノであっても『敢えて』設定する事がカギになる。
この『条件設定』が自由な発言を妨げるという思考の人は一定数いると思うが、往々にして『条件』無き自由は無秩序になり混乱を生む。

・どこまで発言して良いものやら…
・予算完全度外視はちょっとな…
・他部署がどんな取り組みしてるかわかんないからな…

などなど、各々の持っている情報量や視座によって自由だからこそ発言が阻害されることがある。
これらを解消する為に会議が始まる際に『条件』を伝えておくわけだ。

ここで気を付けたいのは『条件』というものは『発言を縛る』のではなく『方向性を示す』ものであるという認識である。
発言の少なさの原因を『自由』の程度と決めつけてしまっている人は一定数いて、そういう人は更なる『自由』を提供して発言を促す。
「もっと自由に考えてもらってよいのでアイデアを出してみましょう」なんていうセリフを聞いた事がある人もいると思う。
そうして提供された『自由』は前述のように様々な要因が加わって発言を妨げてしまうわけだ。

・予算は気にしなくてよい、ただし期限は1年以内
・予算は○○円だが、期限は気にしなくてよい
・予算も期限も気にせず先ずはアイデア出しを

どれか一つでも条件を設定する事で発言が促されるケースはよくある。
当然、条件が無くても発言が活発になるケースもあるので最初は条件無しでアイデアを募り、途中から設定を加える方法もありだ。

・『言い出しっぺ』にやらせない

前述の『条件設定』にも関連するのだが、基本的に忙しい人が多いと『発言した人間がやらされる』というプレッシャーを感じている。
それが発言を阻害しているケースを見たことがある人は多いんじゃないだろうか。
これが解消されないとどうしても発言にブレーキがかかるのだが、これを見落としたまま進行している人を見ることが多い。
これも会議開始時に伝えておくだけで効果を発揮する。

どうやって進めるか、分担をどうするか、いつまでに実行・完了するか、この辺りはアイデア出しの後にじっくりと話し合えばいい。
以前書いたように話し合いのモードを使い分けることで安心して発言できる場所や雰囲気を作る。
一度の会議でアイデア出しから案の選出までを済ます場合であっても、明確に「今はアイデアを出す時間」と「ここからは進め方や分担を決める時間」を分ける。
こうやってモードを使い分けることで発言の質は確実に変わってくる。

・書籍紹介

冒頭に書いた通りここまで述べたことは難しい内容ではなく見落としがちな小さなポイントである。
僕たちは集団でいる事で無意識的に色々な重圧や枷を背負っている。
そういった状況の全てを解消する事はできないが、なぜそうなってしまうのかを知っておくだけでも対処はできる。

そんな集団における人間の心理を研究したのが社会心理学である。
程度の差はあれ人間が陥りがちな集団心理が体系的にまとめられているので『眠れなくなるほど面白い社会心理学』は一度読んでみてほしい。

・さいごに

以上が僕が普段から実践している『会議での小技』である。
会議に限らず、条件やルールの設定はそこにいる人たちに自由を与えるきっかけであり、意見の表出に繋がる可能性が高いと思われる。
あくまでも僕の経験の中の話ではあるが、株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEOでありCULTIBASE編集長の安斎さんも『問いの設定』という表現でその必要性を述べられている。
それが前述の『条件設定』に近いのだろう。

会議やワークショップだけではなくマネジメントにおいてもこういった『条件設定』は必要なんだと思う。
この辺りは対話のスキルに関係してくるのでまた別の機会に書いていこうと思う。

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