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対話と僕⑮:自己受容に繋がる感覚

・はじめに

今まで書いてきたことは自身の経験に加えて可能な限り学術的な文脈も織り交ぜながら書いてきた。
また、ある程度の再現性も意識しながら書いてきたつもりである。
しかし、今回のキーワードになる「自己受容」についてはまだ深掘りができていないので僕自身の感覚が強くなると思われる。
ここから書いていくことは、僕自身が自己肯定感が低く、コンプレックスもいくつか抱えていて、「自分らしさ」というモノが見つけられていない人間であるということが大きく影響していると思われる。
やや自分語りが多くなるが少しばかりお付き合い頂きたいと思う。

・対等な立場における自己有用感の獲得

今までの経験上、プレイヤーとして成果を上げ続けるよりはマネジメントポジションで戦略を考えたり仕組みを変革するような役割で実力を発揮できると自分を評価している。
そしてそれが発揮できるポジションは(多くの日本企業の組織体制で言うと)マネジメントポジションとなる。
有難い事に機会に恵まれて15年程度の社会人人生の半分以上をマネジメントに関わるポジションで過ごすことができている。
その中で成果が上がる事もあればなかなか思うように成果が出ない事もあった。
何れにせよ自分の戦略や仕組みの変革が影響を及ぼしているのだが、どうしてもその実感が持てない感覚が続いていた。
また、いわゆる上長としてのフィードバックは忖度が発生して正確なモノにならないケースが多いことも経験上感じていた。

そんな中で普段は利害関係のない人たちとの対話を重ねる中で、目の前の相手が新たな視点を得たり、生煮えの意見が形になっていく過程に巡り合う機会を多く得ることができた。
そこで感じた事はマネジメントポジションでは得られなかった「自分が影響を及ぼせたんじゃないか」という感覚だった。
これはいわゆる「自己有用感」と言えるのかもしれない。
詳細は省くが「自己有用感」とは一般的に「他者からの評価や他者から認められることから生まれるもの」とされています。
「評価」という感覚からは少し離れるかもしれないが、対峙している相手にポジティブな発見や変化が起こっており、そのきっかけとなった「対話」に自分が参加している。
上の立場から何かを教えたわけでもなく、共通の目標に向かって導いたわけでもなく、対等な立場で相手に起こった現象に同席している。
そして相手からはそうした現象に対する感謝ではなく、僕との対話自体を評価して対話を継続したいというフィードバックをくれた。
これが自分にとっては非常にポジティブな評価として捉えることができた。
僕の低かった自己肯定感に響いたのかもしれない。

・自分の意見・批判・行動の再評価

前述の「自己有用感」は相手に起こったポジティブな現象に対して感じた感覚であるのに対してこれから書いていく「自分の意見・能力・体験の再評価」についてはポジティブ・ネガティブ関係なく感じていたものかもしれない。
自分の発言によって相手がどう変化したか、そしてそれがポジティブなモノであったかという部分に注目をしていた自分がいたが、対話を重ねることでその部分にはあまり執着をしなくなった。
それは対話において「意見を伝える」「正しく理解したうえで批判する」「遠慮ではなく配慮しながら行動する」という事が、相手の変化のきっかけになる体験を多くしたからかもしれない。
直接的な影響ではなく「きっかけ」というところがポイントなのかもしれない。

それまではこういった対話において「正解を提供しなくてはいけない」という感覚が少なからずあったように思える。
それが受け入れられれば満足するが、受け入れられない時には大きな失望を感じていたように思える。
こうした感覚は「意見を言う事を抑制し」「批判を止め」「行動が起こらなっくなってしまう」恐れがあるように思える。
そういう意味では「正解に拘らなくなった」と言えるかもしれない。
自分の行動が相手の「きっかけ」になる可能性を見出せたとも言えるかもしれない。

だからといって何を言っても良いというわけはなく、以前に書いたような「受け手」と「送り手」の問題と言ったような感覚は必要になる。

この辺りを実践を通じて体験することができるのが「対話」なのだと思う。

・書籍紹介

以前の『対話と僕⑥:匿名対話』で紹介したエドガー・H・シャイン氏の別の書籍を紹介したいと思う。

今回紹介するのは『謙虚なコンサルティング』である。
「教える」のではなく「聴く」や「尋ねる」事で相手の気付きや変化に寄り添う事こそコンサルティングに必要であると述べられている書籍。
まさにここまで書いてきたような要素が語られている書籍である

コンサルタントに限らず、通常のコミュニケーションからマネジメント層まで様々な場面で活かすことができる要素が盛り込まれている。
「問題を解決する」ことももちろん重要ではあるが「問題を解きほぐす」為にどのように関わることができるかのヒントを得ることができる。
殆どの人にとって必要なコミュニケーションを円滑にする為に是非一度読んでみてほしい。

冒頭に自分語りとは言ったものの、ここまで書いてきたようなことは僕以外にも感じている人が多いのではないかと思っている。
「自分らしく」と言われても自信をもってそれを語れる人は少ない。
様々なしがらみから意見を言うこと自体を諦めてしまっている人も多くいる。
そんな中でここまで書いてきたような感覚を得られる「対話」には多くの可能性があるのではないかと思う。
そしてそんな「対話」を気軽に実践できる場が必要なのではないかとも思っている。
これからもその可能性を形にしていきたいと思う。

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