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【読書】汝、星のごとく

すごく読み応えがあった。
母親に悩みを抱える高校生の男女が恋に落ち、共に成長する物語。
と言ってしまえばそうなのだけれど、こんなありふれた説明ではとても説明しきれない。
主人公の櫂と暁海の心情が細かく丁寧に描かれていて、何度も心が動かされた。

櫂はいざという時でも自分のために人を切り捨てられない優しさを持った人。でもそれは裏を返せば、本当の自由に踏み切れない弱さでもあった。

暁海は何度も挫折し、その度に自分の至らなさを認め、強くなっていった人。
時には弱さを見せ、人に頼ることができた。
自由へ踏み込む覚悟ができた。

母親の存在が二人に孤独や絶望を与えた。
似た境遇にいて、それぞれ弱さを持っている。
でもその弱さへの向き合い方が違った。
それゆえに何度もすれ違う。すごく切なかった。

「誰がなんと言おうと、僕たちは自らを生きる権利があるんです」
「正しさなど誰にもわからないんです。だから君ももう捨ててしまいなさい」

本文より引用

物語に登場する一歩大人な北原先生が暁海に言った言葉。

私たちには自ら自由を選び取る権利がある。
理解していても、それに至るまでに多くのことに葛藤しているのだと思う。

真実は自分にしかわからない。
それでも他人に正解や許しを求めることで、
自分の行先を決断する責任から逃れようとしてしまうのだろう。

自由に踏み切れるのは自分しかいない。
自分の弱さ、未熟さを受け入れ、必要な時には曝け出す覚悟が必要なのだと学んだ。

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