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忘年会で自身を報いて

忘年会シーズンだ。
 
幹事の方々、ご苦労様です。また感謝です。
 
参加者の皆様、どうぞお楽しみ下さい。

是非、閉会の際には幹事の方々に
労いの言葉を贈って頂けると幸いです!

元幹事より


突然だが、僕の会社には言い伝えがある。
 
飲み会の幹事が出来ない奴に
仕事を任すことは出来ない。だ。

「K、幹事頼む。」

遂に頼まれてしまった。
 
「はい!一所懸命やります!」と
やる気をフェイクして第一発声。
 
言い伝えは分からなくもないが
そんな決めつけんでも。と思っていた。
 
ただ、僕は後輩にバトンを渡すまで
謎に自身から溢れるモチベーションで
この難行事を乗り越えて来たようだ。


忘年会は、非常に面倒臭い行事だと思う。

プロセスが多い。気も遣う。
 
■ スケジュール調整
■ お店の下見
■ お店の予約
■ 余興の準備
■ リマインド
■ 本番の段取り

最もこれは超簡潔版のプロセスだ。 

これを見ただけでも面倒臭い気持ちになる。

あー、日中も仕事しているのに
誰かやってよ。と言いたい気持ちは分かる。
 
僕には忘年会に向けた鉄板余興があった。
 
出来た経緯は端折るが
僕の唯一の奥義であり
忘年会への考え方を変えた余興だ。
 
それは、クイズ大会だ。
 
ただのクイズ大会ではない。
 
部内の人たちの秘密をかき集め
それをクイズで暴露していく
文春クイズ大会なのだ。
 
同部署の方々の秘密を
諸先輩の方々から仕入れする。
 
ただ、大事なのは
 
当事者のオープンマインドさを見極め
当事者が嫌にならない程度
全体が楽しく笑える程度の
 
ネタを表現にする必要があるのだ。
 
必ず本番前には上長に共有して
問題がないかを確認する様は
最早、仕事みたいな段取りだ。
 
毎回、面倒臭い。とブツブツ言いながら
家に篭って制作を開始する。
 
すると、部屋から聞こえてくるのである。
 
「ははははははははあああ!」
 
はい、僕の笑い声である。
 
カフェで自身の笑い声を抑えたこともあった。
 
僕は制作中、ずっと笑っていた。
 
制作手順はこうだ。
 
ネタの選定を行なっていく。
質問文と選択肢を考える。
答えを次のページで出す。
 
その際には怒られない範囲で画像を合成して
それっぽくスキャンダル風にして笑いを誘う。
 
人を想いながら、想いを込めて笑いを追求。
上長チェックでリスクは出来るだけ軽減。
 
楽しみと苦労が混ざり合った完成物を
酒を飲みながら見返す時間が好きだった。
 
時にパワーポイント。時に紙芝居。
 
手塩を込めた作成物を披露するのである。
であれば、納得した形で世に出したい。
 
だから、他の幹事業務も一所懸命やるのである。
 
お店のレイアウトを実地で見て
カバンを置く場所を考えたり。
 
モニターチェックは入念に。
 
結構、細かくやっていたと思う。
 
余興以外への考え方も変わってくる。

僕はみんなに体験を提供するのだ。
僕の余興はその一部だと気づく。 

全行いは、皆に楽しんでもらう為。

その想いを胸に全てを試行錯誤するのだ。

忘年会準備の時だけは無垢だった。
 
サラリーマンの基本作法とか
上司から信用されたいとか 
重要であるが、一番ではない。
 
とにかく、皆が楽しんでくれれば嬉しい。

純粋無垢な自分が暴かれた気分だ。
 
ある日、文春クイズ大会を無事終えた。
 
拍手に心が跳んだ。
 
まるで千秋楽を迎えた舞台俳優かの如く
深々とお辞儀をして、テーブルに戻る。

後味スッキリなビールを流し込み
独り言を言ってしまった。

はい、僕よく頑張りました。次、何作ろう。

今年もスッキリ流していたようだ。

酸いも甘いも全て流せば良いのだ。

お酒はなくてもいい。

お好きな場所で、自身を報いて。

それが忘年会だと思う。


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