おふくろの味はうまい!を因数分解

私は実家を離れて久しいですが、たまに恋しくなるおふくろの味。
今でも年に1~2度帰省しますがポテトサラダや自家製の漬物など、私の好きなモノをつくって準備してくれています。
食べると懐かしいし、思い出も詰まっているので色んな感情を味わうことが出来ます。

◆塩むすびがうまかった

幼い頃はお腹が空いても夕飯前にお菓子を食べさせてもらえなかったのでそんなときは塩むすびを作ってもらって食べていました。
炊き立てご飯の塩むすびって最高にうまいですよね。
母ちゃんが目の前でにぎってくれるのでワクワクしていたのを今でも覚えています。

なぜ、母ちゃんの塩むすびがそんなにうまかったのか?

・腹が減っていたから
・炊き立てのご飯で握ってくれたから
・過去の記憶を美化している

色んな理由が考えれますが、今回は少し違った視点でマーケティング視点を入れて考えてみましょう。

◆サービス提供までにかけた手間(時間)に価値がある

大好きな彼女からもらった手紙ってすごく嬉しいし、自分で買えるようなモノでもプレゼントとしてもらうとめちゃくちゃ嬉しいもんですよね。

理由は、『自分にかけてくれた時間が透けて見えるから』だと思います。
自分の為にプレゼントを考えたり、買いに行ったり、ラッピングしたり。。
プレゼントを渡す場面を作ってくれたりと。。。
受け取った瞬間に色んな感情が込みあげてすごく感動しますよね!

例えば同じ財布だとしても、自分で買った財布は本来の役割である使い勝手の良し悪しなど機能性を重視しますが、彼女からプレゼントで貰った財布であれば、機能性以外に
『愛情』や『温かみ』などの情緒的な価値が上乗せされます。
財布を使うたびに彼女とのつながりを感じることができるので大切にしたくなる。

話は戻りますが、おふくろの味についても同じように作り手の気持ち(愛情)が透けて見えるから特別なモノとなり尚更おいしく感じるのではないかと思っています。


◆ある高級寿司店の失敗

人員不足が慢性化してサービスの質を落とさないようにということで高級なお寿司屋さんが思い切って、お客様に注文していただく形でタブレット端末を導入し客単価が下がったという話があります。

※お客様は何に対価を払っていたのか?

大衆酒場と高級寿司屋の単価の違いは何にお金を支払っているか?
の違いです。
大衆酒場はサクッと飲んで帰りたい人が利用するケースが多いと思いますが本質的な『料理』の原価や接客してくれる人のサービス料、賃料などのサービスを提供するのに必要な経費に近いイメージですね。

一方、高級寿司屋については、空間や世界観にも大きなリソースを割いています。
良い食材を使っているのは間違いないところでしょうが、それ以外に職人が一つ一つ拘って手間暇かけて準備したという『手間』に対して価値を感じているからでしょう。

富裕層の方は時間に対してもシビアです。
時間=命だからです。
お金で時間は買えないので、何よりも大切に考えます。
そんな顧客は職人さんが自分の為に時間を割いてくれたことに対して大きな価値を感じるのです。

その手間暇をかけたことを伝えるにはコミュニケーションが必要ですがタブレットを導入したことにより顧客とスタッフの接点が減ってしまい、価値の伝導率が下がったと考えることができるでしょう。

便利とコミュニケーションはトレードオフの関係にあり、便利とサービスのクオリティは比例しない、という事を考えさせらる出来事ですね。

おふくろの味にしても、彼女からのプレゼントしても、職人の手間についても、サービスには本質的な機能的価値と別に情緒的な価値がある。

その価値をを如何にして創り出すか?
が今後問われてくるのではないでしょうか。

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