よもだ弘之

愛媛の山奥で生まれ、現在は、日本の食べ物や農村に関わる仕事をしています。生活者の皆さん…

よもだ弘之

愛媛の山奥で生まれ、現在は、日本の食べ物や農村に関わる仕事をしています。生活者の皆さんが、農業や農村の提供する価値を享受し続けていくために、どんな仕組みが必要なのか、あーでもない、こーでもないと考えています。 自分の”ものさし”を大事にしたいと思ってます。

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これから”よもだ”書いて行きます。

愛媛の山奥で生まれ、現在は、日本の食べ物や農村に関わる仕事をしています。 自分の”モノサシ”にてらして、”こうあるべき”、”こうしたら良い”と考えていることを、少しずつ書いていこうと思います。 あくまで私の”モノサシ”での話なので、世間の常識に照らすと、”よもだ”をくっていることが多くなります。 ”よもだ”って愛媛の方言ですが、「常識に対して文句を言う人」「我流で屁理屈こねてる人」というくらいの意味で、苦笑いとともに使われるのがしっくり来るような気がします(愛媛のなかでも地域

    • ガハハ先生ー生態系サービスの見せる化#4/4

      〇価値判断のモノサシが大切だね なるほど:先生、僕達が、新自由主義の信奉者でないことは、よくご存知のくせに、ずいぶん持って回ったおっしゃり方ですね。技術革新によって見せる化できる範囲が広がるに従って、逆に、農業・農村に関連する生態系サービスの全てを明らかにすることが難しいと実感されて来てるんじゃないでしょうか。供給サービスと他のサービスのバランスをどう取っていくのか、また、現役世代と将来の世代との間のバランスをどう取っていくのか、肝心なところは、どういう価値判断をするかにか

      • ガハハ先生ー生態系サービスの見せる化#3/4

        〇生態系サービスの枠組を活用する効果は ガハハ:デモネさんが紹介してくれた投資や、なるほど君が報告してくれた補助金は、広い意味では、いずれもPES(Payment for Ecosystem Services(生態系サービスへの支払い))に該当するんだ。私は、官民を越えてシームレスな形でデータの見せる化が進むようになった転機は、農業・農村分野に生態系サービスの枠組が本格的に持ち込まれた20年ほど前にさかのぼると考えているんだ。ところで、なるほど君、生態系サービスって、どんな

        • ガハハ先生ー生態系サービスの見せる化#2/4

          〇価値の「見せる化」の具体例は(#1からの続き) デモネ:私は、ESG投資の会社で働いている先輩に、農業関連の資金調達で、どんな取組があるのかインタビューしました。20年前のコロナ禍の時代に、消費者が購買で直接農家を応援する共感消費の動きが注目されて以来、農業や農村活性化の取組を応援するクラウドファンディングが増え続けてますが、ビジネスとして裾野を広げる上で、データに基づく見せる化が大きく貢献して来てたんです。例えば、棚田のエリアで環境配慮の取組を進めて、虫や魚などの生物多

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        これから”よもだ”書いて行きます。

          ガハハ先生ー生態系サービスの見せる化#1/4

          ガハハ先生の農業概論の別バージョンー20年後の将来の姿として、「イノベーションの未来予想図」という書籍に寄稿したものをアップしときます。 2041年5月のある水曜日の午後、ガハハ先生の研究室を、なるほど君とデモネさんの学生二人が訪ねた。オンライン主流のなか、稀少な週一回の対面でのオフィスアワーの時間だ。 〇農業・農村が提供する価値って ガハハ:いらっしゃい。よく来たね。今日は、技術革新に支えられて、農業・農村が提供する価値の「見せる化」が進んでいることについて考えてみよ

          ガハハ先生ー生態系サービスの見せる化#1/4

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#5/5

          (5)農業生態系の持続可能なマネジメントに向けて ガハハ:V型、C型を問わず、農産物は消費者ニーズに応えて、農業者が創意工夫をしながら生産する。生みだされた付加価値は市場で評価され、農業者の努力が報われるというのが基本だ。ビジネスである以上、短期的な収益を優先して当然。他方で、農地などの農業生態系を良好な状態で次の世代に引き継いでいくには、中長期的な視点がどうしても必要になる。土地利用の規制や、農業生態系の適切なマネジメントを促す政策介入を行うことが、求められるアプローチな

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#5/5

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#4/5

          (4)土地利用型農業と市場の失敗 ガハハ:「C型農業の後退」と「V型農業の健闘」という話を覚えてるかな。 なるほど:生源寺先生が、日本の農業を二つに類型化された話ですよね。付加価値型のV型農業は、施設園芸や施設型畜産に代表される集約的な農業。カロリー生産型のC型農業は、稲作に代表される土地利用型農業です。 ガハハ:この2つの農業を分けて考えないと、現状分析も課題の解釈も混乱してしまいがちなんだ。たぶん、デモネさんのモヤモヤの要因もそこじゃないかな。なるほど君が気にしてい

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#4/5

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#3/5

          (3)農業者の数が減ることの意味 ガハハ:国内の農業者の減少が、直ちに農産物供給の減少につながるのか。デモネさんが問題提起してくれたね。 デモネ:私も、現在の農業生産の現場が担い手の不足で大変な状況だということは知っています。他方で、農業者一人当たりの経営規模を大きくして、コストを下げ、競争力を高めることが重要なテーマだし、スマート農業で作業効率を高め、より少ない人手での生産を可能にしようとしていますよね。程度問題なのでしょうが、農業者が増えれば増えるほど良いということでは

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#3/5

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#2/5

          (2)消費者の数が減ることの意味 ガハハ:さて、消費者の数が減ることのインパクト、問題点について、どう考えるかな。政策課題は、何だろう。 なるほど:食料需給の面からは、それ自体が問題だとは言えない気がするんですが、デモネさんが言うように、世界のマーケットで、日本の購買力が低下すると、食料自給率が低い中では大きな問題になってしまいますね。 ガハハ:確かに、食料は戦略物資の最たるものだ。どの国も自国の需給や物価安定を優先するからね。それ以外に、何か社会課題を思いつかないかな。

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#2/5

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#1/5

          あれやこれやと考えてることを、ガハハ先生となるほど君、デモネさんの3人の言葉を借りて、並べてみようと思います-ガハハ先生の農業概論- 5月のある水曜日の午後、ガハハ先生の研究室を、なるほど君とデモネさんの学生2人が訪ねた。オンライン主流の中、稀少な週1回の対面でのオフィスアワーの時間だ。 (1)食料需給へのインパクト ガハハ:いらっしゃい。よく来たね。今日は、人口減少のインパクトと政策課題について、議論しようということだったよね。 デモネ:そうです。人口減少・少子高齢化

          ガハハ先生ー人口減少と食料問題#1/5