見出し画像

ひと区切り〔第12回課題〕

今年の目標のひとつ、シナリオ通信講座の全課題を出し終えました!
約半年で12本のお話を書くことは、通信講座に申し込みをしていなかったらきっとできなかったことなので、今年のはじめに(ほとんど勢いで)申込書を出してよかったなと思っています。

これまでの課題は添削前のものを掲載しています
→ 2:夜の足音
→ 3:非計画犯
→ 4:いつものカフェ
→ 5:ちっちゃな手
→ 6:ほどける
→ 7:ふりかえらずに
→ 8:お見通し
→ 9:一猫来福
→ 10:土曜日のやくそく
→ 11:憧れまで、あと3球


今日郵便局に出しに行ったら、窓口のおじさんに、締め切り間近の作家さんと思われたみたいで、「お疲れ様」の言葉を何度もいただきました。
最終の課題だったことは知らないだろうけれど、おじさんの言葉がとても嬉しかったです。


最終課題は「卒業
精神的な卒業でも良いとのことだったので、今まで書くのを避けて通ってきた恋愛ものに挑戦してみることにしました。
恋愛ものって書いていて感情が引っ張られそう、かつ、チープな感じになりそうだったので、なんとなく書きたくない気持ちが強かったのだけど、要素を盛り込んでいくと結構研究できそうですね。

タイトルはあまりしっくり来ていないけど、最終課題っぽいタイトルになりました。笑

基礎科が終了し、次は本科なわけですが、少しお休みして来月ぐらいに申し込みをしようかな。
本科は全課題20枚シナリオだそうで、20枚って絶妙な長さなので、調整するのに少し息切れを感じていたりします。
(200字詰め原稿用紙を20枚です)

何はともあれ、終了です!おめでとう私。



虹色のすごろく

人物
志田ナナ(27)OL
佐野明里(27)ナナの友人
林堅一(27)ナナの友人
時田純子(27)ナナの友人
水島桜(27)ナナの友人
中野勇希(27)ナナの友人

◯バ―(夜)
カウンターに佐野明里(27)・時田純子(27)・志田ナナ(27)の順で並んで座っている。3人ともかなり飲んでいる様子。
純子「まさかの桜がイチ抜けかー」
明里「あんなかわいい桜を、林が手放すわけないじゃん」
純子「色々あったけどねぇ。いいなあ、結婚」
ナナ「純ちゃんだってもうすぐでしょ。ほら、商社のカレ」
純子「うん…別れた」
明里「えっ?」
ナナ「純ちゃんには珍しく、ドストライクのイケメンだったのに?」
カクテルを飲み干す純子。
純子「…もういいの!あいつ、海外赴任決まったのに、プロポーズもしてくれないんだもん」
純子、ため息をつきカウンターに突っ伏す。
スマホのバイブ音。カウンターに置いてあったナナのスマホがメッセージを知らせる。差出人は林。メッセージは「土曜、行っていい?」
ナナ、スマホを持ち上げ、ひじをつく。
純子「来週の同窓会…良いことあるかな?」
明里「あのクラスいい人なんているっけ?」
純子「あ―あ。時田純子、1回休み、2コマ戻るってか、ふりだしに戻る?え?この歳でふりだしってやばくない?」
明里「何言ってんの純ちゃん」
スマホを見つめるナナの顔。

◯マンションの一室・リビング(夕方)
寝転んだナナの手が1枚の写真を持っている。
高校時代の制服を着た明里・純子・ナナがバーでの並びと同じ順で写っている。ナナの横に1人同じ制服を着た女の子がいる。
大量の写真の中に寝転んでいるナナ。
ナナ「ふりだし、か」
林堅一(27)がスーパーの袋をさげて入ってくる。
林「何してんの」
ナナ、起き上がる。
ナナ「二次会の、余興用」
林「誰の?」
ナナ「…誰かさんの」
ムスッとして、写真を片付け始めるナナ。
林、ナナの背後に座り腰に腕を回す。
林「ナナ、怒んなよ」
ナナ「…ねぇ、そろそろ、やめようよ」
林「えー、あと半年は独身だからなあ」
ナナ、集めた写真の山の1番上の1枚を見つめる。
制服を着たナナと林が写っている。

◯マンションの一室・寝室(朝)
ベッドで寝ているナナと林。ナナは目を開けたままぼうっとしている。
突然ベッド横のサイドテーブルの上にある時計をつかみ、時刻を見る。
飛び起きるナナ。
ナナ「やば!起きて!服着て!出てって!」
起こされる林。
シーツをまとい、服を拾いながら着て行くナナ。
林「…誰か来んの?」
ナナ「明里!」

◯マンションの一室・玄関外(朝)
ナナ、眠そうな林を玄関の外に追い出す。
持っていたサングラスを林の胸に押し付けるナナ。
林の着ているTシャツは前後ろが逆。
ナナ「裏から帰って」
廊下奥から明里が歩いてくる。ナナは明里に気づいていない。
林、ナナに手を差し出す。
林「今月分」
ナナは靴箱の上にあった財布から3万円を出し林に渡す。
林「サンキュー」
林、サングラスをかけ、廊下を歩いて行く。明里とすれ違う。
ナナが明里を見つける。

◯マンションの一室・リビング(朝)
テーブルについているナナと明里。
明里「…まだ続いてたの?お金まで渡してんの?」
ナナ「…うん」
明里「桜、婚約したんだよ?」
ナナ「…良くないな、とは…思ってるよ」
明里「良いわけないじゃん…」
黙り込むナナと明里。

◯路上
歩いているナナ。ジュエリーショップの前に来る。
歩道側に面したショーウインドウにイヤリングが展示されている。のぞきこむナナ。
店に入ろうとするが、窓から林と水島桜(27)が店内にいるのが見える。
桜はイヤリングを試している。
ナナは店内に入るのをやめ、トボトボと歩いていく。

◯居酒屋(夜)
ナナ・明里・純子・桜・林・中野勇希(27)を含めた20人ほどの男女が長テーブルを囲んでいる。桜と林は隣同士。桜は左手薬指の指輪を皆に見せている。
中野「桜と林?!」
桜「意外?」
林「もう3年かな」
桜「でもまだ熱々なの〜」
桜、耳のイヤリングをさわりながら、
桜「これ、こないだ買ってもらっちゃった。臨時収入だったんだもん、ね〜?」
ナナ、林を見る。愛想笑いをする林。

◯バー(夜)
カウンターに明里・純子・ナナ・桜の順で座っている。
純子「…やっぱ、いい奴、いなかったなー」
明里「だから言ったじゃん」
純子「桜がうらやましいよ、本当。あたしなんてふりだしなんですけど」
突然声をあげて泣き出す桜。
純子・明里・ナナが驚く。
純子「桜?」
ナナ「どうしたの?」
桜「…順調なんかじゃない」
明里「なんかあったの?」
桜、鼻をすすりながら
桜「聞いてくれる…?」
うなずく純子。
ナナ、視線をそらす。
桜「…付き合ってから…あたし達、一度もしてないの。結婚が決まってからも…。桜が大事だから、そういう事は慎重にしたいって言うんだけど、でも…知ってるの。浮気してんのよ、あいつ」
また大声で泣き出す桜。
ナナは桜の顔を一瞥し、考え込む。

◯ファミレス(夜)
外は雨が降っている。
席についているナナ。テーブルの上でこぶしを握っている。
林が店に入ってきて、向かい側に座る。スマホをテーブルの上に置く。
林「珍しいじゃん、こんなとこで」
ナナ「…」
林「どうかした?」
ナナ「…もう終わりにしよう。もうやだ。…もう会いたくない」
林「は?」
ナナ「家にも来ないで」
林「ちょっと待って」
声を荒げるナナ。
ナナ「もうやめるの、こんなの!」
ナナ、林をにらむ。涙をこらえている。
ナナ「他に何人いんの?桜のことが大事じゃないの?なんで…」
林はナナの顔を見ようとしない。
ナナ「…なんで…どうしてしてあげないの?」
林「…」
ナナ「結婚、するんでしょう?」
林「…ああ」
ナナ、こぶしを緩める代わりに水のコップをつかむ。
ナナ「…真剣に、考えてあげてよ」
林「ずっと考えてるよ」
ナナ「考えてる?どこが。ねえ、あんたいくつのつもりなの?外に何人も女作って、本命1人幸せにできねえのかよ」
ナナがコップの水を林にかける。
席を立ち、店を出て行く。
林はナナを呼び止めようとするが言葉が出てこない。
テーブルの上、ずぶ濡れの林のスマホ。拭こうとして触れた瞬間、待ち受け画面が映る。
待ち受けには、制服姿のナナと林の写真。
おしぼりで拭くと同時に画面がゆがみ、故障で電源が落ちる。
林、ひじをつきおしぼりを目元に当てる。

〇ファミレスの外(夜)
雨が降っている。
ファミレスから出てくるナナ。傘をさして立っている明里。
ナナが泣き始める。
明里、駆け寄ってナナを傘を入れる。
明里「よくがんばりました。お疲れ様」
雨がだんだんと小降りになる。
ナナ「私も1回休みで、ふりだしに戻っちゃったかな…?」
雨が止む。
明里、傘を傾け雨が降っていないことを確認する。傘をしまう。
明里「…これは、上がりじゃない?」
いたずらっぽく笑う明里。ナナもつられて笑う。
ナナ「上がり、かあ。たしかに」


おしまい

#毎日note #シナリオ #シナリオチャレンジ #勉強 #創作 #映画シナリオ #映画 #自主制作映画 #短編映画 #チャレンジ #ストーリーテリング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?