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意思を持たせる〔第10回課題〕

シナリオの書き方を通信講座で勉強しています。

全部で12本ある課題のうち、10本提出しました!
本当は6月いっぱいで12本全て終えるつもりだったけど、9本目で少し詰まったので6月中に終了は難しそう。
7月の初めくらいには全部提出したいです!あと2本、がんばります。

今までに出した課題は、添削前のものを公開しています。
短いものから始まって、前回(第9回)は原稿用紙(200字詰)10枚。

→ 2:夜の足音
→ 3:非計画犯
→ 4:いつものカフェ
→ 5:ちっちゃな手
→ 6:ほどける
→ 7:ふりかえらずに
→ 8:お見通し
→ 9:一猫来福


今回の課題は「非常口」でした。原稿用紙15枚。
書き出してみたら結構なボリュームで、下書きから手書きで清書に写すだけで1時間。noteに書いてみたら2000字を超えていました。
単純計算で200字×15枚なので、空欄を考えても2000字超えるのは当たり前ですね。(笑)
原稿用紙1枚が30秒くらいの換算なので、映像にすると約7分半といったところでしょうか。

今回は、頭の中で構想を作ってみたらちょうど良い分量になったと言うか、大きく削ったりもせずに収まったので、登場人物たちはある程度のびのびできたかなと思います。
前回までとは違って、登場人物たちが自分の意思で動いている感じが出てきたかなと。彼らの人生のお話なので、なるべく彼らの判断でお話が進んでいってほしいなあと、最近思っています。
今回は15ページですが、もちろんもっと長く書けたら、今回書ききれなかった設定も詳細に書けるので、もう少し掘り下げれそうですが。

次から20枚!
第2回目の課題は2ページだったので、10倍の量です。
受講を始めてから半年。ようやくここまで来れました。
次の課題も、どんなお話になるのか楽しみです。


土曜日のやくそく

人物
鈴木ゆりえ(32)ワーキングママ
橋口アイ(18)女子高生
鈴木みり(5)ゆりえの娘
鈴木花(7)ゆりえの娘
鈴木哲(4)ゆりえの息子
鈴木芳子(60)ゆりえの義母
上田宏(51)会社員

◯図書館・非常階段(夕方)
扉の横にもたれて座っている橋口アイ(18)。アイは眠っている鈴木哲(4)を抱っこしている。階段で遊んでいる鈴木花(7)、鈴木みり(5)。
鈴木ゆりえ(32)が扉を開けて出てくる。スーツ姿で買い物袋を持ち、息を切らしている。
ゆりえ「アイちゃん、ごめんね。遅くなっちゃった」
アイ「あ、ゆりえさん」
花「ママおそーい」
みり「まちくたびれちゃった」
アイ「こら、ママは花達のために土曜日も働いてるんだぞ。何か言うことは」
花・みり「おつかれさまー」
ゆりえに駆け寄るみり。
みり「ねえママ。今日アイちゃんとごはんたべたい」
ゆりえ「今日…?うーん」
アイ、みりに笑いかける。
アイ「みり、あたし今日約束あんの。また今度ね」
アイ、ゆりえに哲を受け渡す。
ゆりえ「いつもごめんね」
アイ「いやあ、遊んでもらってるのはあたしなんで」
花「アイちゃんまたらいしゅうー」
みり「ねくすとさたでー」
アイ「お、覚えたじゃん。グッバーイ」
館内に入って行く花、みり。
アイ座り込み、タバコに火をつけてスマホを取り出す。
それを見ながらみりの後に続くゆりえ。
タバコの煙。扉が閉まる。

◯鈴木家のマンション・台所(夜)
魚を焼く煙が立ち上っている。
台所に立ち、味見用の小皿を口元に持ちながら宙を見ているゆりえ。
奥のリビングで遊んでいる花、みり、哲。
哲「ママ!おさかな!」
ゆりえ「わ、やばいやばい」
みり「やばいやばい!」
ゆりえ、急いで火を止め、あたりを見回す。
ゆりえ「あ、おしょうゆないや…ごめん、ママちょっとコンビニ行ってくる」
みりが手を上げる。
みり「みりもいくー」
花「花いかなーい」
ゆりえ、エプロンを脱ぎながら
ゆりえ「じゃあ花、哲お願い」
花「はーい」

◯コンビニの前(夜)
手をつないで歌いながら歩いているゆりえとみり。
コンビニに入ろうとすると、みりがゆりえを引っ張る。みり、道の奥を指さしながら
みり「ママ、アイちゃん」
道の端にアイと上田宏(51)の後ろ姿。アイは上田と腕を組んでいる。遠ざかっていく2人。
ゆりえ「たぶん違うよ」
みり「えー?そうかなー?」
みりの手を引いてコンビニへ入るゆりえ。

◯ホテルの一室(夜)
シャワーの音。ベッドに座ってスマホを見ているアイ。
スマホがメッセージの受信を知らせる。差出人はゆりえ。本文に「花とみりがクッキー焼いたよ」とある。続いて動画が送られてくる。ベッドに横になり、再生ボタンを押すアイ。
スマホの画面にクッキーのカゴを持った花とみりが現れる。
花(動画内)「アイちゃん、クッキーだよ」
みり(動画内)「どようびもっていくね」
シャワールームのドアが開く音。腰にバスタオルを巻いた上田が出てくる。慌てて動画を閉じ、起き上がるアイ。
上田「アイちゃん、シャワー浴びてきて」
立ち上がり部屋のドアに向かうアイ。
アイ「やっぱ今日はナシ」
上田「え?今日はいいって言ったじゃん」
アイ「なしったらなし」
上田、追いかけようとする。目の前でドアが閉められる。

◯鈴木家のマンション・1階(朝)
エレベーターの扉が開き、飛び出して行く花、みり。2人の手にはラッピングされたクッキーの袋。続いて、スーツ姿のゆりえと哲。
外から鈴木芳子(60)が小走りにやって来る。
花「あっ、おばあちゃん!」
芳子「間に合った!よかったわ」
ゆりえ「お義母さん…?」
芳子「ゆりえさん。土曜日隆もゆりえさんも毎週お仕事なんですって?早く言ってよ。預かるじゃないの」
ゆりえ「あ…毎週お願いするのは…申し訳ないなって思って」
芳子「お隣の田中さんに聞いたわよ。不良の女の子に面倒見てもらってるんですって?」
ゆりえ「え?」
アイがマンションに近づいてくる。誰もアイに気づいていない。
芳子「あら、知らないの?ウリ、やってるって話よ。売春よ?そんな子に預けちゃダメでしょう?」
アイ、足を止める。
みり「おばあちゃん、アイちゃんのことわるく言わないで」
泣き出すみり。
みり「アイちゃん優しいもん。みり遊ぶもん」
芳子「みりちゃん、今日はおばあちゃんちで遊びましょうね」
来た道を走り出すアイ。ゆりえ、走っていくアイを一瞥し
ゆりえ「お義母さん、この子達ちょっとお願いします」
アイを追いかけて走り出すゆりえ。

◯図書館・非常階段(朝)
扉の横にもたれて三角座りで座り込んでいるアイ。顔を膝にうずめている。
ゆりえ、扉から出てきて、アイの隣に座る。
アイが鼻をすする。
アイ「…ゆりえさんには…知られたくなかったな…」
ゆりえ、アイを見て微笑む。
ゆりえ「…知ってたよ。だいぶ前から」
顔を上げるアイ。
アイ「え?」
ゆりえ、笑いながら
ゆりえ「アイちゃん目立つもん。有名だよ」
アイ「…そっか」
アイ、再びうつむく。アイの膝を抱える手に力が入る。
ゆりえ「今日は、夕飯うちおいで」
アイ、ゆりえの顔を見る。
ゆりえ「ごはん、一緒に食べよ」
アイ、返事に戸惑う。
アイ「…いいの?」
ゆりえ、いたずらっぽく微笑む。
ゆりえ「約束なければ」
アイ、笑おうとするが涙が溢れる。
アイ「…行く」
アイの涙を指でふいてあげるゆりえ。


おしまい


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