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敵をつくる〔本科第3回課題〕

今年の1月から始めたシナリオセンターの通信講座の記録、本科に進級して3回目の課題を終えました。

今回の課題は「帽子」
今回は敵を作って戦おう!というのを目標にお話を組み立てて行ったのですが、いざ書き始めたら、設定を作りすぎてすごいボリュームになってしまって終わらなかったので、かなり中途半端な悪者になってしまいました。

自分が書いたキャラクターってどうしてもかわいくなってしまって、ガチの悪役にできない問題も実はあります…。

めげずにまたチャレンジしたいと思います。



添削前のシナリオを全文掲載をしていますが、掲載している全ての作品において著作権は放棄していません
引用される場合は引用元を明記(こちらのページ、もしくはツイッターなど)してください。
「映像化したい」と思われた方(ありがとうございます)はご連絡ください。


天才ハカセの発明

人物
豊田ハカセ(21)発明家の大学生
長野友紀(21)ハカセの友人
島崎朝実(21)友紀の恋人
戸田華(21)朝実の友人


○大学・食堂
窓際のテーブルで豊田ハカセ(21)が数式の書かれたノートを開きながらカレーを食べている。
長野友紀(21)が隣にトレイを置く。
友紀「今日もカレーかよ」
ハカセはノートから目を離さない。
ハカセ「片手で食べれるから」
ハカセの隣に座る友紀。
ハカセは友紀に野球帽を二つ渡す。
ハカセ「できたよ」
友紀「え、もう?」
帽子にはそれぞれAとBの小さなワッペンが付いている。
ハカセ「Aが聞く方、おまえの。Bが島崎の。Bをかぶってる人の思考がAの帽子に音声として聞こえるようになっている。絶対間違えんなよ」
友紀、ハカセから帽子を受け取る。
友紀「助かるわあ。来月の誕生日どこ連れて行けばいいか本当わかんなくて」
離れた所に島崎朝実(21)と戸田華(21)がトレイに昼食を乗せて歩いている。
朝実が友紀に気づき手を振る。
友紀も手を振り返す。
ハカセ「マインドコントロールして思考を変えちゃう機能も考えたんだけど」
友紀「それはおまえ、倫理的にアウトだろ」
ハカセ「冗談だよ」

○大学・研究室
パソコンが並んでいる。
窓の外を見ているハカセ。視線の先には友紀と朝実が帽子をかぶって外を歩いている。
ハカセ、一番近くのパソコンの前に座る。
パソコンの前には数式の書かれたノート。
ヘッドホンをつけるハカセ。
朝実の声「帰りどっか寄りたいなあ」
ハカセ「動作確認、完了」
華が研究室に入ってきて、パソコンをのぞき込む。
華「ハカセくん、何してるの?」
驚いてヘッドホンを外すハカセ。
ハカセ「なんだ、戸田か」
華「また何か作ったの?」
ハカセ「いや、まだ実験中なんだけど」
ハカセ、華にパソコン画面とノートを見せる。
ハカセ「こないいだ思考を数値化して解析する論文の話してただろ。あれを応用して…」

○公園
ベンチに朝実が座っている。朝実の横にAの帽子。
朝実、Bの帽子を脱ぎ、Aの帽子と見比べる。
朝実「あさみだから、イニシャルのAの方がいいじゃん」
Aの帽子をかぶり、Bの帽子をベンチに置く。
友紀が缶ジュースを持ち、ベンチに走ってくる。
友紀「自販機、思ったより遠かった」
朝実が友紀から缶を受け取ろうと手を伸ばすと、毛虫がベンチに落ちてくる。
朝実「ぎゃ!」
朝実、立ち上がり、友紀にしがみつく。
友紀「…ただの毛虫じゃん」

○大学・食堂
ハカセが窓際のテーブルに座ってカレーを食べている。
朝実が早足で近づいてくる。
友紀が朝実を追いかけてくる。
朝実、帽子をハカセに投げつける。
朝実「何なのこれ!馬鹿にしてんの?」
友紀「朝実、違うんだって」
ハカセは帽子、友紀、朝実の顔を順番に見て
ハカセ「付き合い始めた人たちの調査によると、互いの気持ちがわからない、が悩みの7割を超えているそうなんだ。それに基づいて僕は」
朝実「そういう話してんじゃない!」
テーブルに置いてあったコップの水をハカセにぶちまける朝実。
朝実「思考がダダ漏れだなんて…人の気持ち考えたことあんの?」
出て行く朝実。朝実を追いかける友紀。

○大学・研究室(夕方)
誰もいない部屋。
タオルで頭を拭いているハカセ。
窓際のパソコンの前に開かれたノートと帽子。
帽子をつかみ、ゴミ箱に捨てる。
出て行くハカセの足。
閉まるドア。
ドアが開き、音を立てずに入ってくる足。
手がノートをつかみ、ゴミ箱から帽子を取り出す。
手の主は華。

○大学・廊下
歩いているハカセ。
Bの帽子をかぶった朝実が追いかけてくる。
朝実「ハカセくん」
振り返るハカセ。
無表情の朝実。
朝実「この間はひどい事言ってごめんなさい。友紀くんとは仲直りしたから」
朝実を見つめるハカセ。
ハカセ「…その帽子どうした?」
朝実「友紀くんがくれたの。じゃ」
歩いていく朝実。
不思議そうに見送るハカセ。

○大学・講義室
学生たちが講義を聞いている。
教室の中央に友紀と帽子をかぶった朝実。
友紀「あー、つまんねー」
真顔の朝実。友紀の方を見ず、
朝実「うん、そうだね」

○大学・食堂
窓際のテーブルに座っているハカセ、友紀、そして帽子をかぶった朝実。
友紀、朝実を指さし
友紀「こいつ、最近おかしくねぇ?」
朝実を見るハカセ。
ハカセ「友紀、この帽子どうした?」
友紀「え、ハカセがくれたんじゃん」
ハカセ「そうじゃなくて」
華がハカセの横にやってくる。
華「どう?上手くいってる?」
ハカセ「…?」
華、朝実を指さし
華「マインドコントロール」
ハカセ「は?」
華「気づいてなかった?せっかく発明したのに、捨てちゃうなんてもったいないでしょ、帽子。ハカセくんのノートの理論、完璧だったんだよ!少しプログラム直したら、結構簡単にできたの。精度あげたら企業にも売り込めるでしょ、それでまた」
ハカセ、慌てて
ハカセ「(友紀に)帽子とって」
友紀「え?」
ハカセ「早く」
友紀、朝実の帽子を取る。
ハカセ、あさみの顔の前で手を振る。
ハカセ「島崎?」
朝実、無表情のまま
朝実「何?」
華をにらむハカセ。
ハカセ「…戸田」
涙目になる華。
華「…あ、あたしはただ…ハカセくんの役に立ちたくて」

○大学・研究室
パソコンの前に山積みの本。
ハカセがノートに数式を書き込んでいる。

○大学・小教室
部屋の中央の椅子に座っている朝実。
教室の隅に座っている友紀。
ハカセがあさみの目の前で手を叩く。
水の入ったコップを手に取り、朝実にかける。
無反応のあさみ。
友紀が駆け寄り、タオルで朝実を拭く。
ハカセ「マインドコントロールっていうか、催眠術みたいなもんで、何かショックを受ければとけると思うんだ。島崎の大嫌いなものとか、知らないかな?」
友紀「嫌いなものか…」

○大学・研究室(夜)
暗く、パソコンの光だけが部屋を照らしている。
ノートに数式を書いているハカセ。
隣に座っている友紀の目が閉じかけ、頭がだんだんと傾いていくが、突然顔をあげる。
友紀「あ!」
友紀を見るハカセ。
友紀「毛虫だ!朝実の嫌いなもの」

○公園(朝)
ベンチに座っている朝実。
友紀が周りを見渡している。
茂みからダンボール箱を持ったハカセが出てくる。
ハカセ、朝実の前に立ち、
ハカセ「いいな?いくぞ。3、2、1…」
朝実の頭上で箱をひっくり返すハカセ。
朝実「ぎゃー!!!」

○大学・研究室
ドアの小窓から華が中を覗いているのが見える。
朝実と友紀は本を広げ課題をしている。
ハカセを奥でハンダゴテを使っている。
朝実「ねえ、ハカセってあんな頭いいのに同い年でしょ?飛び級とかしないの?」
友紀「あいつ、発明に没頭しすぎて授業もテストもすっぽかすんだよ。だから留年ギリギリ。毎回ヒヤヒヤしてるよ」
朝実「ふーん」
真剣なまなざしのハカセ。


おしまい

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