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小売業の拡張

column vol.1157

…そういえば…、自分の専門分野である小売業の話をしてないなぁ…、と気づいたので…、本日は久方ぶりにしようかと思っております。

少子化・人口減少の影響で、黙っていればマーケットがシュリンクする中、各企業で「顧客の拡張」は命題になっております。

そこで本日は、最近気になった事例の中からいくつかご紹介いたします。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊


アプリ1つで「在庫」が見える化

まずは、鉄板のテクノロジーの話です。

今、ダイソーのアプリSNSで話題になっているのをご存知でしょうか?

〈eltha / 2024年2月29日〉

毎月約1200種類の新商品を開発し、商品約7万6000点を取り扱う大創産業

「DAISO」を始め、「Standard Products」「THREEPPY」26の国と地域に展開しておりますが、この3つのブランドの店舗在庫情報アプリ1つで確認できるようになったのです。

これには、ユーザーたちから

「そこにないならないですね~から脱却?」
「神機能」
「かなり有能」

と絶賛の声が挙がっているとのこと。

しかも、会員登録も不要で、すぐ使うことができるのも嬉しいところなのです。

在庫については、単に有り無しだけではなく

「在庫あり」
「残りわずか」
「在庫なし」
「取り扱いなし」

4段階で表示。

希望の店舗になくても、どこの店舗どれぐらいあるかが分かるため、無駄足を減らすことができます。

さらに、「ダイソーネットストア」はもちろんのこと、ダイソーファンがブランドや商品に関する情報交換交流を図るコミュニティサイト「DAISOの輪」との連携も可能に。

「タイパ」「ファン化」、そのための「DX」というのは、現在、多くの小売企業の王道ミッションとなっているだけに、今回の事例は、業界の大いなるヒントになっていくでしょう。

「コンビニ」以上「スーパー」未満

続いては「業態」の拡張についてです。

普段、生活(買い物)をしていて、コンビニに行ったけどお目当ての商品がなく、スーパーまで足を運んだという経験はありますでしょうか?

そんな手間が今後なくなるかもしれない新たな取り組みがセブン&アイ・ホールディングスから誕生いたしました。

それが、「SIP(シップ)ストア」です。

〈日テレNEWS / 2024年2月27日〉

こちらは、コンビニに食品スーパーの要素をプラスした店舗。

ブンイレブン・トーヨーカドー・ートナーシップ」の頭文字を取って「SIP」と聞けば、そのイメージがつくのではないでしょうか?

この新たなカタチの1号店が先月29日、千葉県松戸市に登場しました。

店舗面積は標準的なコンビニの1.5倍

コンビニよりも肉や野菜といった生鮮食品やチルドなどを拡充するほか、グループ各社の商品、例えばアカチャンホンポのオムツやおしりふきなども置く予定とのこと。

品ぞろえはコンビニの2倍程度になるそうです。

では、なぜこのようなタイプのお店が生まれたのでしょうか?

その大きな要因は、やはり少子高齢化です。

近い将来、3人に1人が65歳以上になる中、家族のために食事をつくるのが当たり前というルーティンから解放される「調理定年」を迎える方が増えています。

一方、若い世代では共働きが増え、調理に時間をかけない「タイパ料理」の需要が高まっています。

さらに、コロナ禍以降、高齢者を中心に自宅近くで買い物をする人が増加し、コロナ禍が収まっても、いったん定着したこの傾向はあまり変わらなくなっているのです。

こうした理由から、“近くのコンビニ”日常の生鮮や冷凍の食品などを買えるようにする狙いで、今後は、立地や地域の需要に合わせて売り場面積や品ぞろえを柔軟に変えながら全国に拡大していくとのこと。

これまで小売企業はいかに「標準化」させていくかがポイントでした。

しかし、よりエリアによってマーケットのデモグラや環境が細分化するようになっており、地域に根差した細やかな戦略が必要になってきています。

今回のSIPの開発は、そうした柔軟な寄り添い姿勢の、まさに象徴なのです。

そして小売業は「未来」に拡張する

「これからの時代」といえば、面白いと思ったのが三越伊勢丹「FUTURE FASHION WORKSHOP」です。

これは、“もしもの未来の暮らしから、ファッションの可能性を考える” リアル×メタバース横断型イベント「FUTURE FASHION EXPO」の一環として行われています。

未来を背負う子どもたちにとっての教育プログラムでもあり、同社の次なる展開を協同で考えていくクリエイティブワークでもあるのです。

〈東洋経済education×ICT / 2024年3月3日〉

参加するのは、東京の三鷹市⽴第三⼩学校の4年生、⾹川⼤学教育学部附属⾼松⼩学校の5年生、軽井沢⾵越学園の生徒たち。

子どもたちは

●365日のうち、晴れるのはわずか5日の「雨のやまない世界」
●はるか上空の空中都市を特殊なモビリティで移動する「空中で暮らす世界」
●「この週末はどこで過ごす?」「月」。そんな会話が当たり前の「月を行き来する世界」

という3つのシナリオから1つ選び、ファッションデザインを制作

⼊賞作品CG化され、三越伊勢丹のメタバースアプリ「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」内で、3月20日〜3月31日、ランウェイにも登場

さらに、大賞作品リアルファッションとして生産を実施し、何と伊勢丹新宿本店ショーウィンドウに展示されるのです(3月20日〜4月9日)。

本プロジェクト代表の三越伊勢丹・営業本部の仲田朝彦さん

「小学生・中学生は、現実的なロジック思考と拡張的な思考が入り混じり、柔軟かつ独創的な発想が生まれやすい世代。これからの未来を担っていく子どもたちとともに、社会課題や環境問題と向き合いながら想像力やコミュニケーション能力を育み、一緒にイベントに取り組んでいきたいという思いから、ワークショップを企画しました」

と、その期待を話していらっしゃいます。

子どもたちの知性や感性を育みながら、その柔らかで新しい発想を企業が取り入れていく。

トランスフォーメーションするのはデジタルだけではなく、価値観も必要であるということを改めて感じさせてくれますね😊

三越伊勢丹の挑戦の行方を、引き続き見ていきたいと思います。

〜ということで、小売業の様々な「拡張」をお届けして参りました。

こうした取り組みは他の業界にも転用できると思いますので、ぜひイノベーションのためのエッセンスを抽出していただければと思います!

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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