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「低賃金労働」からの卒業 Part 2

column vol.521

昨日は日本の労働生産性を向上を図る上での政府による財政政策と、政府主導によるステークホルダー資本主義経済の実現についてお話しさせていただきました。

「低賃金労働」からの脱却への「公助」「共助」に対する期待です。

…しかし、他力本願だけでは心許ない…。

ということで、個人(民間)レベルでも「低賃金脱出」の糸口になるような知恵を探りたいというのが今回です。

まず、今までも言及してきましたが、「生涯学習」「オープンイノベーション」について挙げさせていただきます。

柔軟で勤勉な個人と組織が生き残る

「生涯学習」については言うまでもないでしょう。

変化が激しく予測不能なVUCA時代は、どんどんスキルノウハウ陳腐化してしまいます。

「リスキリング」「リカレント教育」などがキーワードになっている今日ですが、最終学歴ではなく「最新学習歴」を常に更新していくことが未来への光となります。

お金がなくて…という方でも、最近は通学期間中は無料で就職後(異業種転職後)に給料の一部を月々返済できる「出世払いサービス」や、企業が採用も兼ねた学習機会の提供も生まれてきています。

ちなみに、当社はバリバリの中小企業ですが、社員の社内セミナーに予算をつけたり、新しいスキルやノウハウを学習したい個人には補助金でサポート。

補助金の条件を学習終了後、社内で学習会を開催すること必須とすることで、個人の学習を組織の学習に転換するようにしています。

次に「オープンイノベーション」についてです。

いかに内部と外部の垣根を無くして、外の知見を内部に取り込めるかが重要となります。

WEFでもメインキャストを務めるマサチューセッツ工科大学・メディアラボ教授、アレックス・ペントランドさんも「Talk outside」イノベーション時代の組織運営におけるポイントであると語っています。

副業人材の獲得(副業社員への許容)、ワーケーションによる「地域の多様性」の獲得など、ダイバシティを社内だけではなく社外にまで輪を広げ外部からも同志を集う意識が肝要になります。

よく「一人でできることなんてたかが知れている。だからこそチームだ」という言葉が聞かれますが、それを「一社でできることなんてたかが知れている。だからこそ他社(他者)を取り込んでシームレスにチームをつくっていく」というイメージです。

この辺のことは【新しい生き方「ヒューマン・オートノミー」】で詳しく書いているので、ぜひコチラもご覧くださいませ。

つまり、多様性をどこまでも取り込める柔軟性と、最新学習歴を更新し続ける勤勉な人が、これからの時代で活躍できる人材の軸になると思うのです。

「権威」を捨てたフラットな意識と組織がカギ

しかし、一方で柔軟性と勤勉さがある方も、我々ミドルエイジ以上の人材は常に雇用の面で不安が付き纏います。

例えば、45歳の私は一応…柔軟で勤勉でありたいと思っているのですが、今の会社を辞めたら再就職は苦戦することが予想されます…(汗)

一方、2025年には国民の4人に1人が後期高齢者(75歳)という超高齢化社会を迎えます。

人口は減少していき、若者は減っていきます。ということは、中高年人材の活躍は非常に重要になっていくと思うのは私だけでしょうか…?

それに、他人を理解する洞察力50代がピーク、そして判断力のピーク60歳以上だと言われています。

語彙力60代後半~70代前半が最も高い、そんな研究結果もあります。

つまり、経験(年輪)も含めて各年代ならではのストロングポイントはあるのです。

そうなのであれば「年齢の多様性」も活かすことが得策なのではないでしょうか?

一方、年齢の多様性をつくる上で一番ネックになるのが「キャリア(職位)、年齢」を重ねることで生まれる「権威意識」です。

キャリア(職位)が上だから偉い。年齢が上だから偉い。こう思っている人は残念ながら若い世代からすると一緒に働きたくないはずです…(涙)

まずは職位は権威ではなく単なる「役割」と考えることが重要だと思います。

基本的には年齢、キャリア問わず、お互いが敬意をもってフラットに繋がっていくリーダーは単に「個人では出せない成果をチームとして築いていく」ための役割と捉える。

その究極のカタチが「ティール組織」ですね。

ティール組織とは、社長や上司がマイクロマネジメントをしなくても、目的のために進化を続ける組織のことです。

〈ProSharing / 2019年1月30日〉

権威主義ではなく「役割志向」を持つと役職自体スキルノウハウ宝庫となります。

同じ部長でも「この部で自分は一番偉い。次の昇格のために目を光らす」と思っているだけの人と、「部長が果たすべき役割」を追求している人だと、キャリアの棚卸しをした時に残る経験値に雲泥の差が生まれるはずです。

私は社会全体で「権威主義」を捨てられたならば、中高年人材はとても付加価値を持ったキラキラ人材としてビジネスの現場で重宝されると信じています。

努力し続けることが前提ですが、いくつになっても年齢の多様性によって、雇用の不安が無い社会を実現できたら、不安から解放されて節約志向が薄まり、経済は今よりもずっと回っていく。

ちょっと…、理想的過ぎますか…?(笑)

「高いと売れない」からの卒業

…段々、マクロ的な視点になってきたので、もう少し現場よりのミクロな視点で話を締め括りたいと思います。

日本は長い年月、デフレのままです。

ビジネスの現場では「ちょっと勉強してくれませんか?」という言葉が常套句となり、企業はお客さまに「安さ」を提供することが「誠意」であるとするという意識も一部で見られます。

もちろん、「お値頃」で商品やサービスを提供する企業努力は必要なことです。

ただ、「社員」や「協力会社」への支払いに無理が生じてしまうのでは…ということはありますよね…。

デフレは「お値頃」偏重の総和で生まれている側面もあるかと思います。

そこで、「お値頃」偏重からの卒業を示唆する良きヒントがプレジデントオンライン【コンビニなら100円なのに…なぜホテルの「1500円コーヒー」に文句をいう人はいないのか】という記事にあったので共有させていただきます。

〈PRESIDENT Online / 2021年12月27日〉

『ファンは少ないほうが稼げます』の著者であり、ライフコンサルタントの藤あやさんは

コンビニエンスストア100円のコーヒー」と「ホテルのラウンジの1,500円のコーヒー」は、いったい何が違うのでしょうか。

と、記事の中で問うています。

ゆったりとした空間、ふかふかのソファ、行き届いたサービス。

たった1杯のコーヒーにプラスされている付加価値に納得しているから、お客さまはコンビニのコーヒーの15倍の値段でも払います

藤さんは、商品の値付けは「自分が提供しようとしている価値」について、まず自分自身が納得することが大切だと指摘します。

自分が「これくらいもらえたら、うれしいな」適正価格にするという意識です。

普通は100円コーヒーの価格に引っ張られると思います。だからこそ、逆に「1,500円を払ってもらえるだけの付加価値」を追求していく。

「1,500円払うだけの価値がある」とお客さまに満足していただくことも企業努力として必要というわけです。

付加価値の追求が「会社の価値」をつくり、それが高い収益性に繋がっていく。

そんなことを私個人としては経営を通じて追求していきたいのです。

「頑張る人が報われる社会」を期待して

…とはいえ、個人や一社でできることには限界がある…。社会全体のことを考えて、導いていくのが政府の役割だとは根本的には思います。

以前、政治家の給与や文通費の話題になった時、ダウンタウンの松本人志さんが「それだけの仕事をしてくれていたら、別にええけどなぁ…」と仰っていましたが、私も同感です。

私たちにできないことやってくれ、社会全体を豊かなものにしてくれているのだったら、その対価をもらって然るべきです。

…だから、「政治家はお金を貰い過ぎだ!」という世論がある…、、、ということは政治家の方々も受け止めていただきたい…。

もちろん、全ての人を救うというのは少し壮大過ぎるのかもしれませんが、頑張る人には豊かになるチャンスは用意して欲しい。

頑張りたいけど頑張れない人に対してのケアも含めてですけど。

noterさんだって、仕事や家事、育児、勉強など多忙な毎日を過ごしながらも、皆さん自分なりの豊かな生活を送るために一生懸命記事(作品)をアップしています。

つまり、ちゃんと自助努力をしている方々です。

真面目謙虚で、柔軟で、勤勉な方が多いと思うのがnoteの世界です。

そういった方々が報われる社会を政府がリードしてくれると良いなと思いますね。

自分も含めて(笑)、お願いしたいです。

「自助」「共助」「公助」が重なり合って、日本の労働生産性が向上していく。

そんなことを願う年の瀬の朝です。

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