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「忙しい」って言わない…

column vol.1155

本日、全社員への上期評価・フィードバック面談が無事終了いたしました。

…いや…正直なところ、「上手く導かなかったなぁ…」と感じる場面も多々あり…、結果的には正直ヘコんでいます…(汗)

とはいえ、明後日には今年最後の講演があり、気持ちを切り替えていきたいと思っているのですが…

今月は小売業協会の生活者委員会やフォーラム、自社の全社研修&評価面談など、なかなかイベント多き日々でした。

とても貴重な経験を積んでいるとは思いつつ、頭に浮かぶのは、この3文字です。

忙・し

時折、ポロッと口から出てしまいそうな状況の中、気になる記事に出会いました。

プレジデントオンライン【なぜデキない人ほど「死ぬほど忙しい」アピールをしてしまうのか…現代人が抱える「多忙崇拝」という病】という記事です。

〈PRESIDENT Online / 2023年8月21日〉


「忙しいなんて、まだまだだな」

『巨人の約束 リーダーシップに必要な14の教え』の著者、ジョン・アメイチさんは、このように話しております。

職場で最もよく使われる言い訳「時間がない」だ。この言い訳が広く使われ、いとも簡単に了承されるのは、多くの人が「忙しい」を活躍ぶりを測るための尺度として使っているからだろう。

確かに「忙しい」とは魔法の言葉です。

「忙しい」ことをアピールすれば、「それだけ優秀なんだね」「がんばっている人なんだね」と周りからポジティブに評価される可能性があります。

私が若い頃(20年前)のマーケティング・広告業界は徹夜仕事が多く、「徹夜自慢」はそこら中で聞かれました😅

今は超過労働に厳しい目が注がれる時代なので、そうした慣習は減りましたが、ジョンさんの「多忙崇拝」は今だに根強く社会に残っているとも感じます。

また、「忙しい」ことを周りに伝えておけば、余計な仕事を振られなくなる可能性が高い。

つまり、評価も上がり、不本意な仕事も振られない最強の言葉なのです。

一方、「忙しい」という言葉を聞くと若い頃、先代社長に言われたことを思い出します。

「池、忙しいか?」

と聞かれ、「まぁ…そうですね…、はい、忙しいです…」と答えると、先代は笑いながら次のように返してきたのです。

ハッハッハ、忙しいと言っているうちは、まだまだだな〜

まだまだだな〜、ですって??

後々にはなりますが、それが「スターにとって忙しいことは普通のこと。あえてそれを言うのは2流、3流」という答えだったことが分かりました(笑)

スターではなくても「人」は常に忙しい

ちなみに、スターではなくても、全ての人が忙しい可能性があります。

もちろん、意図して怠けたい人は別ですが、真面目に仕事をしていると自負している人の多くは「忙しい」と感じているのではないでしょうか?

そのことを証明する1つが「パーキンソンの法則」です。

これは、簡単に言うと人は持っているお金や時間をあるだけ使ってしまうという特性を持っているということ。

時間でいえば、例えば30分で終わるような打ち合わせ1時間で設定すると、1時間フルに時間をかけてしまうのです。

仕事には就労時間があります。

それが8時間だとして、3時間で終わるようなアイデア出し8時間かけるかもしれないということです…

「いやいや、そんなことはないでしょう!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、人は無意識に大義名分を掲げて、時間をめいいっぱい使おうとしてしまいます。

「いつも以上に多角的に考えてみよう」
「事例集め(リサーチ)に今回は力を入れてみよう」
「現地を視察してきて、じっくり考えよう」

「質を高める」という大義名分のもと、労働生産性を下げてしまう

そして、人は知らず知らずのうちに、必要のないことまで理由をつけて仕事をつくってしまう傾向があることは知っておいた方が得策なのです…

ですから、先代は度々「仕事は意図的に圧縮しろ」と口にしていました。

私はよく120%〜150%の仕事を乗せられながら、「5時間で見積もった仕事は3時間で終わらすなど、短くできる工夫をしなさい」と指導を受けたものです。

効率性を考えながら、難しい場面は同僚に助けを求める。

そして、同僚との共同作業自体にも効率化を図る

そんなことを繰り返していくうちに、効率性周りを巻き込む力が磨かれ、個人としての、マネージャーとしての管理能力を身につけることができました。

これでスターになれてたらエピソードとしては完璧だったのですが(笑)、少なくとも、良きリーダー、マネージャーになるためには常に「忙しさに自らが抗う必要がある」のです。

ですから、仕事量が120%に感じる時は「忙しいのは、自分の能力の低さのせい」と、頭の中でつぶやきながら、さまざまな試行錯誤を繰り返す

そうした思考習慣を今でも大切にしています。

「忙しい」と言うとチャンスが逃げる

もう1つ言えば、「ため息つくと幸せが逃げる」という言葉があるように、「忙しい」と言うとチャンスが逃げると思っているのです。

先ほどもお話ししましたが、「忙しい」という言葉は降りかかる仕事を堰き止める効果があります。

同時に「チャンス」も堰き止めてしまう

よく20%ルールといって、既存の仕事を80%に圧縮して新しい仕事に20%分挑戦するという考え方がありますが、

一方で自主的にトライするようなことは、意外と新しいけど「今の自分でもできる」ことが多いと思うのです。

もちろん、自分にドSになれる人は別ですが、大抵の人は自分が困るようなとんでもない挑戦は自分からは望んではやらないというのが現実でしょう。

一方で、他人から頼まれる仕事の中には、時折「そんなの無理だよ〜」と思うものに遭遇する…

それこそが自分自身をジャンプアップさせる運命の仕事であることが多い。

特にそうした大きな壁仕事に次々と勇気を持って挑戦できる人スターになっていくのでしょう。

スターのことは置いておいても、私も今後も成長していきたいので、ここ数年は「無理だよ仕事」「セレンディピティ(偶然の幸福)ワーク」と呼んでトライするようにしています。

そうした仕事を引き寄せるには「忙しい」とは言わず、なるべく仕事が集まるように涼しい顔で日々を過ごす。

当然仕事が集まりやすくなるので業務を圧縮していく。

そうした工夫をすることで、40代でも成長の実感は得ることができています。

ですから、我こそはスターの素養ありと思う方ほど、極めていただきたい仕事術です😊

ちなみに、労働時間ということでいえば現代ビジネス【「日本人は働きすぎ」は本当か?じつは「日本人の労働時間」は60年代より「約700時間」減っているという「衝撃の事実」】という記事も、なかなか興味深い内容でした。

〈現代ビジネス / 2023年11月17日〉

タイトルにあるように昔に比べて日本人の労働時間は減っている

さらに、世界で見ても「働きすぎニッポン」神話に待ったがかかりそうです。

OECDの主要国の労働者一人辺り年間労働時間の統計(2019年)を見ると

韓国:1967 アメリカ:1779 イタリア:1718 カナダ:1670 日本:1644 イギリス:1538 フランス:1505 スウェーデン:1452 デンマーク:1380 ドイツ:1386

と、実は日本よりも労働時間が多い国もまぁまぁある

先述のように超過労働に対して年々厳しくなるこの国では、少しずつ「忙しい=自分の仕事をコントロールできない人」というイメージが付き始めています…

…ということで、スターを目指さなくても今後は多忙崇拝から卒業し、「忙しい」ことをあまりアピールし過ぎない方が良い予感がしますね…(汗)

そんなことを意識しながら、日々の仕事に取り組んでいきたいと思います!

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